表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/2

名無しなんだし鰹出汁


小説投稿サイトに登録したので、ハンドルネームが必要になった。内輪のものなので、匿名感を出そうと思った。


昔から掲示板文化では、なんとか名無し、名無しなんとか、みたいな名前を大量に見てきた。


なので、


「名無しではないと思う」


にした。


ここで終わればよかった。


なぜか、そのあとも考え始めた。


「名無しかもしれません」


可能性はあるかな。


「名無しかもよ?」


誰に聞いてる?


「名無しとは何か」


哲学。


「名無しかも知れますぇん」


噛んでみた。


「名無し草」


放浪の旅。でも、ネット民で草?


「ななっしー」


どっかで見た。梨汁とばすやつ。


「名無しになろう?」


勧誘か。


「名無しといっしょ」


教育番組になった。


「名無しのように生きる」


人生論?


「名無しなんだし」


ちょっと開き直った。


「なぜに名無し」


それを決めたのは自分だ。


「名無しになりました」


事後報告。


「名無しではなさそうだ」


一度なったのに、また疑い始めた。


「名無しなんだよ」


キレた。


「名無しじゃないんだよ」


どっちなんだよ。


「名無しなんじゃないの」


知らんがな。


「名無しっぽい」


雰囲気で決めるな。


「名無しじゃない?」


だから俺に聞くな。


「名無しを呼べばいい」


誰を。


「名無しはおらんか」


探し始めた。


「やっぱり名無し」


見つかったらしい。


「名無しなのでしょうね」


受け入れた。


「おっとどっこい名無し」


何の勢いだ。


「静かなる名無し」


急に強そう。


「眠れる森の名無し」


起こさなくていい。


「名無し事件簿」


何があった。


「おとうさんと名無し」


知らない人を家に入れないでください。


「名無し噺」


落語か。


「なんちゃって名無し」


名無しですらなかった。


「どうにでも名無し」


投げた。


「名無しだったよね」


記憶まで怪しくなった。


「名無しさんありがとう」


誰にお礼を言っている。


「だって名無しなんだもん」


言い訳し始めた。


「名無し根性」


何を頑張るんだ。


「名無し魂」


もっと頑張り始めた。


「名無しの夜」


夜に何を思う。


「君となら名無し」


何になるんだ、二人で。


「道ならぬ名無し」


何をしたんだ。


「名無しの紙芝居」


急にかわいい。


このあたりで、風速が落ちてきた。


名無しに慣れてしまったらしい。


もう終わろうかと思った。


「そういえば名無し」


まだいたか。


さらに、なんか出た。


「名無しなんだし鰹出汁」


…………。


「名無しなんだし」の「だし」から、鰹出汁が出た。


韻は踏んでいる。


中身はないけど。


しかし、妙に気に入ってしまった。


一瞬、これをハンドルネームにしようかと思った。


だが、万が一。


ありえんけど、本当に万が一。


何かの間違いで、作品が有名になったら。


インタビューなんかされたら。


「本日は、◯◯◯の作者、名無しなんだし鰹出汁さんにお越しいただきました」


既に嫌だ。


「名無しなんだし鰹出汁さんは、どのような――」


絶対に嫌だ。出オチだ。


「鰹出汁というお名前には、何か由来が?」


ない。


「いえいえ。名無しなんだし、まで考えたら、鰹出汁が出てきました」


と、全国に向かって説明するかもしれない。


やめよう。


こうして名無し30本ノックを経て、ハンドルネームは、


「名無しではないと思う」


のままになった。


本命はまだ無い。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ