12.
理由がわからず、答えを求めて彼女の顔を凝視する。すると、彼女はうつむきながら言った。
「……だから、ずっと、気になってたの。こんなふうに、私だけ特別扱いしてもらっていいのかなって。……だけど、一線を引かれている感じもして。やっぱりそう思ってたのは私だけで、北辰くんは誰にでもそうなのかなって思ったら悲しくて……」
「…………」
「……でも、そうじゃないんだったら――」
千和さんは、思い切ったように顔を上げた。
「――独り占めして、いいですか……?」
「え――?」
俺は、千和さんの顔を、信じられない思いで見つめた。
彼女はまっすぐ俺を見ていた。
俺を通して、昴を見るのではなく。眼鏡を通して、俺の目を。
「……で、でも、俺は、プリンスじゃないし……」
「プリンスさんは関係ないよ。私を助けてくれたのも、一緒にいてくれたのも、北辰くんでしょ?」
セリフや態度は真似できても、気遣いまでは真似できない。
北辰がみせた思いやりは、演技ではなく、もともと彼に備わっていたものだろうから。
千和さんはそう言って、最後に輝くような笑顔を浮かべた。
「……私だけの、王子様になってくれる?」
初めてちゃんと見た彼女の笑顔は、息が止まってしまうほどきれいだった。




