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第五話 四天王再登場

 悪の組織フロンガースの環境破壊活動に対し人知れず日夜戦う部隊がある。


 それが環境省地球環境局環境保全部、通称環境保護戦隊エコブレイカーである!


第五話 四天王再登場


「突然ですが、私をエコブレイカーに入れていただけます?」

 その日、銀髪のチャイナドレス姿の女性が、立川広域防災基地を訪れた。

「いくらなんでも突然すぎ……ああ! あなたは!」

 応対しようとした花咲の叫び声が狭い事務所に響き渡る。

「フロンガースの基地にいた美人さんじゃなーんか。ようきたのう」

 素早くやってきた今野が脇の応接スペースへと誘導する。

「何をしているんですか今野さん! 彼女は敵ですよ。偵察に来たに違いないのに、なにあっさりと通しているんですか?」

「何って、お茶用意しとるんで」

 突然扉が強く開かれると白ひげの男が現れた。

「なんだなんだ? 何の騒ぎだ?」

 長官こと局長の登場である。

「長官! いいところに! 敵が現れたというのに今野さんがあっさりと通してしまって……」

「なにぃ? それはいかんな……」

 つかつかと応接スペースまで来ると、女性をキッと見下ろした。

「きちんと見学申込書を書いていただかないと……あ、ワシが手続きをするから、今野君はそのままお茶を……」

「長官!」


「ほっほう。それで水銀さんは環境問題に立ち向かうエコブレイカーの姿を見て改心したと」

「はい。ですから、私をエコブレイカーに入れていただければと……」

 茶色いソファに白い女性が姿勢正しく座っているだけで事務所の空気が緩んでいる。エコブレイカーの男性隊員だけでなく、事務方の男性職員まで一目見ようと囲むように覗き込んでいる。

「私は反対です! こんな美人を送りこんで男性陣を骨抜きにしようとしていることから明らかです! きっと情報を手に入れてフロンガースに流すに違いありません!」

 一人反対を続ける花咲の肩に手を置く者がいた。

 振り向けば白石が首を横に振っていた。

「駄目ですよ。花咲さん。いくらここで正当な理由で反対し続けようと、彼女の美しさに嫉妬しているとしか見れません」

「そ、そんな……。でも、目立ってないかもしれませんけど、私たちだってエコブレイカーのヒロインとして美人なんです! 嫉妬だなんて!」

 花咲が顔を赤くして声を荒げれば荒げるほど、白石は余計に冷静に目を細めて首を横に振る。

「何をいまさら……。たとえ今私の容姿が『茶髪のゆるふわカール、マスカラを使って眼力パッチリメイクにグロスを利かせたプルプル唇、白衣の下は実はへそ出しルックにローライズパンツ、ハイサイブーツのギャルファッション。週末は渋谷に出没』と言われても誰も信じないでしょう?

 きっと『ぼさぼさヘアーは三つ編みにまとめて、渦巻き牛乳瓶底メガネ、化粧なんてファンデと口紅つけておけばオッケー、白衣の下はプリントTシャツにGパン(もちろんどちらも島村か湯に黒)、歩きやすいようにスニーカー』と言われればみんな『やっぱり』と思うでしょう」

「う……それはそうだけど……で、実際はどっちなの?」

「見ての通り後者に決まっているじゃない。研究室は色々な測定器とかあって熱に弱いから年中冷房が入っているのよ。へそとか足とか出してたら冷えて仕方ないの。髪の毛だってゆるふわカールなんてしてたら邪魔だし」

「異議あり!」

 そこへ、丹羽が手を挙げて割りこんでくる。

「何よ。レッドになりそこない」

「なりそこないって言うな! その牛乳瓶底メガネをはずしたら実は美人というパターンと見た。はずすまで僕は信じない!」

「何、漫画みたいなことを言っているのよ。メガネはしょせんメガネ。はずしたら美人なんて幻想よ。まぁ、そこまで言うなら現実を見せてあげるのもいいけど」

 何のためらいもなく白石はメガネをはずした。

「…………………………」

「ほらね、美人ってわけでもなく、いっそネタにできるくらいのブスでもなく、コメントもしようがなかったでしょ?」

「ま、白石さんのことはその辺りにしておいて、わ、私は……」

 そこまで言いかけて水銀が割り込んできた。

「髪はショートで、染める? 何それ? と言わんばかりに黒のまま。メイクは眉と口紅をきりっとさせるように強調させるけど、それは男に負けたくないから。スーツにヒールで今日も仕事がんばるぞ~ルック、なのよね」

「はあぁぁぁ! ど、どこでそれを!」

「さっき通勤しているあなたを見かけたから」

「花咲君。そんな恰好じゃ、男は言いよってこなくなるぞ?」

 長官がまるで行きおくれの娘を心配するかのような表情でつぶやいた。

「心配していただかなくて結構です! と、とにかく私は嫉妬からじゃなく総合的に判断して水銀さんがエコブレイカーに入るのは反対です」

「じゃぁ、多数決を採ろうじゃないか。エコシルバーの入隊に賛成な人」

 長官の一声で手を上げなかったのは花咲と白石だけだった。

「長官! 条件があります! エコシルバーを認めるならば私をエコホワイトにしてください」

「だめ、君は支援要因だから」

「くっ」


「ふはは……見たか、エコレッドとエコホワイトの苦痛にゆがんだ顔を! これを見ることができただけでも満足じゃ!」

 フロンガースの新アジトでエコブレイカー事務所の様子が映し出されていた。

「大王キシン様も変態ですな。女性が苦しんでいる顔が見たいなどと」

 そばに控えていた三星羽がフードを揺らしてつぶやく。

「うるさい! しかし、そなたの考えた連環の計は成功しそうじゃな」

「大王キシン様、違いますぞ。これは埋復の毒でございます。水銀が降伏したと見せかけ、エコブレイカーを内部から破壊する計ですぞ。この程度を間違えているようでは11月7日に行われる横山光輝『三国志』検定は合格できませぬぞ」

「おお、そうじゃったわ。昨日も勉強したばかりだというのに……。よし、ここで練習問題を出し合おうじゃないか」

「御意。それでは私から。『呉の二代目孫策がやろうとしてできなかったことは何か?』」

「ふはは! そんな簡単なことでいいのか? 答えは『太史慈をあっと言わせること(文庫版6巻10P)』じゃ!」

「その通りです。太史慈はええっ(同17P)、おおっ(同55・56P)、うっ(同64P)、わあっ(同68P)と叫びましたが、あっとは叫んでおりませんからな」

「ふふふ、次はワシからじゃな。『官渡の戦いがほとんど描かれなかったのはなぜか?』」

「大王キシン様らしくもない。そのような簡単な問題を出されるとは……。答えは『掲載誌変更で削られたから』ですな」

「さすがよのう。これで三国志検定1級は合格じゃ! わっはっはっ!」


 再び立川広域防災基地。

「ね~ね~。さっきから何の騒ぎ~?」

 何も知らない村上がのほほんとした顔で事務所に入ってきた。

「ああ! イエロー様!」

 突然水銀が黄色い声をあげて村上のそばに駆け付けた。

「お慕い申し上げております!」

 その勢いのまま急に抱きついてきて村上は目を丸くして、水銀の肩越しに事務所の様子を眺めた。

「えっと~~。何の罰ゲーム?」

「それを罰ゲームだと思うお前は何者なんだ?」

「いや、こんなおいしい目にあわせて、有頂天になる姿をみんなで見ようって腹なんでしょ?」

「いいえ、罰ゲームではございませんわ。私、昔から強くて……他の男どもの弱さにあきれていましたの。

しかし、そこに現れたのが貴方様! 私を殺せるほどお強いなんて……これはもう結婚するしかありませんわ!」


「わっはっはっ……む? エコブレイカーの事務所の様子が少しおかしくはないか?」

 スピーカーから流れる水銀の言葉に違和感を覚え、高笑いをやめた。

「本当に水銀は我々に味方したままであろうな? まさかイエローに惚れたから埋伏の毒のふりして、本当に裏切ったのではあるまいな?」

「えっと……実はこの計略は水銀からの提案でして……」

「あ、水銀がこっち向いて舌を出しおる! まさか騙されたのはわしらなのか?」

「そうみたいですな、わっはっはっ」

「わっはっはっじゃねえ~」


 エコシルバーが味方に迎えたエコブレイカー! 今までヒロインらしくないヒロインばかり(主にピンク)だったからこれで一気に華やかになるぞ!

 でも悪の女性幹部がいないのもさみしいぞ!

 次回、新しい悪の女性幹部登場?

 



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