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第四話 ようやくブルーが主役! 海の藻屑に消える戦士!

 悪の組織フロンガースの環境破壊活動に対し人知れず日夜戦う部隊がある。


 それが環境省地球環境局環境保全部、通称環境保護戦隊エコブレイカーである!


 第四話 ようやくブルーが主役! 海の藻屑に消える戦士!


 高尾山中の洞窟、フロンガースの基地の中は数多くの死体が累々と重なっていた。

 死体を糧にしようと匂いにつられて野犬たちが集まる。

 突然野犬の一匹が足をつかまれると、悲鳴に似た叫び声をあげ皆が四散した。

 野犬が大暴れするのも意に介さぬように、つかんだ足を支えにして死体の山の下から機械の体が起きあがった。

「やれやれ……。身体を機械に改造しておいたおかげで死なずにすんだわい。どれ大王ほか四天王たちも改造して復活させるかのう……」

 前回エコブレイカーによって壊滅されたはずのフロンガースはしぶとく復活の息吹を吐き出そうとしていた。基地の洞窟には夜な夜なCO-2の笑い声とともに機械音が響き渡っていた。


「という情報をつかんだ。どうやら、フロンガースはまだ滅んでいないらしい。」

 ミーティングルームではエコブレイカー達が集まり長官の言葉に驚きを隠せなかった。

「それならば長官。もう一度フロンガースの基地に攻め込めばいいのではないですか?」

 丹羽のもっともな言葉に皆がうなづくが、長官は首を横に振った。

「私もそれを考えたが、敵もバカではない。既に基地を移した後だった」

「なぜ、それがわかったんです?」

「こういう張り紙が貼ってあった」

 エコブレイカー達にプリントが一枚一枚配られ、そこには文字と地図が書いてあった。

『フロンガース基地移転のお知らせ。一身上の都合により、基地を移しました。新しい基地の住所は群馬県××市……』

「ご丁寧にアクセスマップまであるじゃないですか。攻め込んだらいいんじゃないんですか?」

「駄目だわ。あのヘリの航続距離じゃ届かないところよ」

「おまけに関越道も、上越新幹線も通ってないから行くのは大変なところだね」

「だからって道路くらいはあるんでしょ? 普通に車で行けば……」

 再び長官がゆっくりと首を横に振った。

「お役所の予算は使い道を決められている。これは人件費、これは消耗品を買うための費用、といった具合にな……。エコブレイカーはヘリで活動するのを認められているため、航空燃料を買う予算はあるが、車で活動することを認められていない。すなわち、車を買う予算も、車を動かすガソリン代も、高速代もすべて! 一円もないのだよ」

「ほいじゃぁ、どうすればいいんかのう?」

「奴らが東京で、少なくともヘリの航続距離圏内で暴れるのを待つしかない」

「それじゃぁ、それまで待機ですか」

「その通り。みんなそれまで訓練などに励むように」

 長官がそう伝えた瞬間だった。

「サイレン? 早速フロンガースかしら?」

「茨城県東海村の原発前面海域に時限爆弾を仕掛けたとの通報です。フロンガースから犯行声明が出ています」

「愉快犯みたいなことをする奴らだ! よし、エコブルー海中捜索だ!」

「え、ワシ? 今まで何もしてなかったのに急に出番?」

「頑張れ、海丸君。時間までに見つからなかったら爆発に巻き込まれて死ぬけどね」

「マサピポもさらっとひどいこと言うのう……」

 突然会議室の扉が開き、白い影が入ってきた。

「駄目です! 今野君にそんなことはさせられません!」

「し、白石さん! エコブレイカーの会議中です。入ってこないでください」

「やっぱり理智子ちゃんは海丸君のことを……」

 村上が89式自動小銃を大事そうに抱えながらニヤニヤしていた。

「普通のウェットスーツではなく、この私が開発したウェットスーツを着ていってください! 伸縮率は従来の2.5倍! 耐熱性能は-100℃~+250℃! 1tの衝撃にも耐えるので爆風に巻き込まれようと大丈夫! たとえ中の人間が凍え死のうが焼け死のうが潰れようが、スーツは無傷! さぁ、今野君! これを着て!」

「はぁ……」

「あれ~理智子ちゃん、今野君に気があるんじゃなかったんだ? じっと見つめていることが多かったみたいだけど」

「え? ああ、私伊藤英明の大ファンで! ついでで海猿も好きなんです! だから、いつか私が開発したウェットスーツを着てもらおうと今野君の体のサイズを目測で測っていたんです!」

「六十四君の勘も当てにならなかった、ということなのね?」

 恵実がしてやったり顔で村上を肘でつついた。

「何の話かはわかりませんが、海猿の3作目は9月18日ロードショーです!」

「そっちの方が何の話かわからないよ」

「とにかくこれ着て、爆弾を探せばいいんかのう?」

 スーツを手に今野が途方に暮れていると、長官が電話を受けていた。

「はぁ、そうですか……警察が捜索して発見、処分済み……。エコブレイカーの出動の必要はない……そういうわけですね」


 頑張れ! エコブレイカー!

 組織力は警察の方が上だ!

 たった五人じゃ先に越されることの方が多いぞ!

 負けるなエコブレイカー!

 予算を削減される前にフロンガースとの戦いの実績を上げろ!


 次回、第五話 四天王再登場! ついに全面対決始まる!?



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