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第三話 あの娘がフロンガースに捕らわれた? イロイロエロエロな責めに負けるなエコブレイカー!

 悪の組織フロンガースの環境破壊活動に対し人知れず日夜戦う部隊がある。


 それが環境省地球環境局環境保全部、通称環境保護戦隊エコブレイカーである!


第三話 あの娘がフロンガースに捕らわれた? イロイロエロエロな責めに負けるなエコブレイカー!


 東京西多摩郡奥多摩町、この一角に里人から忘れ去られたようにひっそりとたたずむ鍾乳洞が一つあった。


 となりの日原鍾乳洞のように観光地化されておらず、訪れる者は猫一匹いない。


 それもそのはず。入口は大変狭く、大の大人であれば這わなければ入ることはできない。

 だが、仮に訪れた者が自然の生み出した鍾乳石を数本超えれば、不自然に地面が平たいことに気づくであろう。否、不自然というレベルではない、壁、天井、それらがすべて、明らかに人工的な『廊下』となっているのだ。

 迷路のように複雑化しているその『廊下』を奥へ奥へと進む、とそこはまるで中世の城にある王の謁見の間と違いない広間へと案内される。違いがあるとすれば、天井にはたくさんの白熱灯が灯り、壁面には大スクリーンをはじめとして、レーダー画面、各種無線機器、現代技術の代名詞ともいえる者たちに覆われていた。

「大王キシン様。高尾山で不法投棄の指揮にあたっていた怪人ナナシ様が何者かに銃撃されて落命されました」

 機械類に覆われたこの部屋で唯一中世から持ってきたのでは、と疑いたくなるビロードの赤い布で覆い、背もたれやひじ掛けに金で意匠された玉座に腰掛ける男に、側近と思しき影が報告した。

「いちいち報告せずとも知っておる。あの大スクリーンに映し出されていたのをこの目でしかと見たわ!」

 大王キシンはパチンと指を鳴らすと、怪人ナナシが狙撃されたシーンが再生される。

「むむ、何度見ても忌々しく感じるわ。そばにいた戦闘員ラッカー達の報告によるとヘリの音が聞こえていたという。まさかと思うが、噂に聞いていたエコブレイカーが本格始動したのではあるまいな」

「私が集めた情報によるとそのようでございます」

 次の瞬間ひと際高い音が広場に鳴り響き反響した。

「そうならばなぜ悠長なことをしている! 四天王を呼ばんか! それでもわが側近、三星羽(さんせいう)か!」

「はっはっは! 癇癪を起こさずとも既に呼ばれてますぜ! 四天王が一人、スモッグ只今参上!」

 でかいハンマーを肩にかけたスキンヘッド上半身裸の日焼け筋肉男が、地響きをたてんばかりに大股歩きで広間に入ってきた。

「その通りじゃ。ナナシはわしが片手間に作った怪人。これがわしの実力と思われては困るのう」

 頭部と左目以外は全身機械で白衣を着た老人が続けて入ってきた。

「ふん、Dr.クオーツよ。また機械の部分が増えたのではないか? 強い怪人を作る前に己の体を優先しているようじゃ……ふぐ!」

 老人の機械の腕は突然伸びてスモッグの口をふさいだ。その力は見た目に反してスモッグを圧倒していた。

「Dr.クオーツの名は捨てた。今はCO-2じゃと言っておろうが」

「ふがふが、わ、分かった。すまねえ」

「やれやれ、四天王同士で争っても何もならないわよ」

 続けて白いチャイナドレスを纏い、その服よりも白い肌に赤い口紅が際立つ銀髪女性が現れた。

「おう、水銀! 相変わらず美しいのう」

「鼻の下が伸びていますわよ。大王様」

「ん。これは威厳が無くなってしまうわい。あとは……」

 大王キシンはスモッグ、CO-2、水銀の3人を見渡した。

「わわ! 遅刻する~!」

「お前が早くしないからだろ?!」

「そんなこと言ったって~!」

 扉の外から聞こえてくる幼い声に皆が眉をひそめた。

「遅くなりました! すみません! 四天王のひとりノックス今到着しました」

「ごめんなさいね! 四天王のひとりソックスです!」

 声以上に幼く小さい体の兄ノックスと妹ソックスが広場に現れた。

「うむ。全員そろったようだな。早速用件だが皆も知っての通り環境保護戦隊エコブレイカーがついに始動したようだ」

「そいつをぶっ潰せというんですな。わかります」

 スモッグがハンマーをぶんぶん振り回して気合を見せた。

「やれやれ、筋肉馬鹿は黙っておれ。大王キシン様。ここはわしに任せてくれんかのう」

「え~僕たちも行きたいよ~。なぁ、ソックス!」

「うん!」

「遅刻組は黙ってなさい。大王キシン様。私ならば鮮やかなお手並みを見せることができますわ」

「うんうん。皆やる気でよろしい。だが、この件はすでに側近の三星羽にまかせておる。三星羽が失敗したら、四天王にまかせる。よいな!」


 四天王が解散した後、三星羽は戦闘員たちを集めて早速作戦会議を始めた。

「ふっふっふ。昔よりヒロインは敵にとらわれて人質になるというのが王道。今回とて例外はない。戦闘員の諸君! エコレッドを捕えてくるのだ!」

「ガース!」

「ガース!」


 立川広域防災基地の一角。エコブレイカーの事務所にサイレンが響いた。

「諸君! 大変なことになった!」

 サイレンにかき消されまいと大きな声で長官が叫ぶ。

「何があったんですか長官?」

「大事な我々の仲間が一人フロンガースにとらえられた!」

「大変じゃないですか! すぐさま助けに行こう! リーダー!」

「ええ、みんな準備して! エコブレイカー出撃よ!」



 舞台は再びフロンガースの基地。ピンクのミニスカ姿で両手両足に枷で拘束された恵実の姿があった。

「待て、お前ら。エコレッドを捕えて来いと言ったのに、なぜエコピンクがここにいる」

 三星羽が戦闘員たちを並べて問いただす。

「耳が悪いので聞き間違えました」

「目が悪いので見間違えました」

「頭が悪いのでいろいろと間違えました」

「口が悪いので有名なのは大王キシン様です」

「変態なので間違っていません」

 一人ひとりの答えにうなずきながら納得し次の指示を出した。

「まぁ、人質には変わりないだろう。適当に拷問しておけ」


「ほんじゃ、まぁ適当に電流とか流してみたり」

「うおお! お父さんは負けないぞ! こんな拷問で仲間の情報なんて吐かないぞ!」

「三星羽様! ミニスカのひげ親父が悶えている姿はあまり見たくありません!」

「しかたあるまいな。じゃぁ、適当に放っておけ」


「みんな! ここよ! エコピンクについていた発信機の反応はこの洞窟の中よ!」

「よーし、おいらの89式自動小銃が火を噴いちゃうぞ~」

「てかワシら戦闘じゃ役立たずじゃのう」

「元々、僕は法規担当だし」


「大王キシン様! 大変です! エコブレイカーが襲ってきました!」

「なぜだ! なぜこの基地が分かる!? ええい四天王よ迎え討て!」

「すでに四天王はエコイエローの銃撃の前に倒れました」

「なんだと! うわ! もうここまで来た!」


 エコピンクを助けに来たついででフロンガースを壊滅させたエコブレイカー。

 だが、環境破壊をもくろむ組織はまだまだ沢山いる!

 戦え、エコブレイカー!

 地球の環境守るため!

 でもやりすぎてはいけない!

 敵がいなくなったら予算が削減されてしまうぞ!

 マッチポンプでほどほどに!

 次回第四話、ようやくブルーが主役! 海の藻屑に消える戦士!



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