じいちゃんの家の怪
お盆と言えばホラーですねぇ~
一話読み切りですがよろしくお願いします。
※夜中にトイレに行けなくなっても責任は持ちません!
私は、心霊現象やオカルト等が小さな時から大好きだ。
幼き時よりそういうテレビ番組は、放映されていれば必ず見ていた。
お盆の時期等にある、心霊特集や体験談の再現番組は大好物だった。
しかし・・・
一度も幽霊を見たことが無い。
若い時は、一度でいいから幽霊を見たくて有名な幽霊スポットに何度も車で出かけた事がある。今は封鎖されて近づく事も出来なくなっている有名な旧犬〇トンネルも十回以上行っている。
この事は、後で書く予定だが、私の友人はそこで実際に幽霊を見ている。嘘をつくような友人でも無く、しかも3人で体験しているので、ほんとなんだろう。うらやましい・・・・
しかし!思い出したが私にも小さな時に怪奇現象を体験したことがあったのを思い出したのでここに書くことにする。
それは父方の祖父母の家での出来事だが、木造2階建ての家で、二階に上る階段が一直線でできており、ダイニングの右端にその階段部分が張り出して来ており人の上り下りの足音がダイニングにいるとすぐ聞こえるのだ。
これは私が小学一年生の頃の話になる。
~~~~~・~~~~~~
「ほら、今誰か階段を駆け上がっていった!」
また始まったかと母親がこちらを見ながらため息まじりに言う。
「水槽のカメの音でしょ。」
「いや、違うって、トントントンって誰かが階段上っていく音が今聞こえんかった?」
「いいから早くご飯食べなさい。」
こういうやり取りが、よくあった。
しかもその二階には二部屋あるのだが、一室がフランス人形??小さな私にはひどく気味悪く思えたのだが、それがびっしりと壁を埋め尽くすように並べられてあるのだ。寝かせると目を閉じて起こすと目を開ける結構リアルな女の子の人形。なぜそうなのかというと・・・
父は5人兄弟なのだが、男は長男の父だけで、あとは全員妹なのだ。4人も女の子がいれば人形だらけになるんだな・・・そして全員実家を出るときに人形は置いて行ってこの部屋に取り残されたのか。
夏休みとか正月に泊まりに来ていた時もその部屋には、気味悪くて入る事はしなかった。だから祖父母の家は、あまり好きではなかった。
しかし、小学一年生に上がる時にその祖父母の家で私の家族は、同居する事になったのだ・・・・
私は必死に引っ越したくないと駄々をこねた。あの家には何か居ると真剣に思い込んでいたからだ。だがその望みはかなわなかった。
幸い引っ越してきた時には、すべての人形は無くなっておりその二階を、私たちが使う事になったのだ。一室を両親が使い、もう一室が私と姉の共同の部屋となった。
だがしかし!人形以外にも私を怖がらせるものがこの家にはたくさんあるのだ。
祖父は彫刻家で仏像や色々な彫刻を生業にしていたので、いたるところに龍やら木彫りの仁王像みたいなのがあるのだ。
私を一番怖がらせるのは、玄関を入ってすぐの踊り場においてある2mくらいありそうなマリア像?おそらく白い石膏でできてある。幼少期の私にとって、それを薄暗い中でみると不気味以外の何物でもなかった。
引っ越してきて、しばらく何事も無く暮らしていたが、やはり誰も居ないはずなのに階段を駆け上がる足音は健在だったのだ・・・
その足音は自分だけに聞こえているのか、母は、はぐらかしたような返事しか返してこないのでわからなかったが、姉と二人で家に居るときにその音が聞こえてきた時があった。
「あ、また。今の聞こえた?」
「うん、だれか上っていく音がしたね。」
「見てきて!」
そう言って姉の背中を押しながらダイニングを出ていこうとした。
「だめ、しばらくいっちゃだめ!」
ダイニングから階段のほうに行くにはドアが一枚ありそこを開けていかなければ階段の方には行けないのだが、姉がドアノブをつかんで開けないのだ。
しばらくして恐る恐る二階に行くがやはり誰も居ない。居るのは階段を上った廊下の所に置いてある水槽に入ったミドリガメだけだ。
「なんか見た事あると?」
「知らん。」
そう言って激しく首を振るだけの姉だったが、深くは追及できなかった。もし何か見たとか聞いたらもうその家には居ることができなくなると思った。
一度友達を呼んで、正体を確認しようと試みたがそういう時は、全く足音がしないのである。そうして初めての夏休みを迎え恒例の12時から始まる恐怖体験の再現ドラマの時間になった。「あなたの知らない〇〇」と言う知ってる人もいるのではないだろうか?。一人で見るのは怖いから友達呼んでみるのだがその日は友達も留守で一人で二階で見ていたのだ。
怖いが、見逃すのが惜しかったのだ。それくらい好きなのだ。
三分クッキングも終わり、ドロロロロロロの効果音とともに始まったと思った瞬間背後の部屋のドアが開いた。
ギィィィ・・・
「〇〇ちゃん見よる?」
一瞬飛び上がりそうなくらいびっくりしたが辛うじて声は出さなかった。
実家に帰ってきた叔母が一緒に見ようと上がってきたのである。
下にもテレビはあるが、一人で見るのが怖かったらしい。しかも足音消して上ってくるなや!死ぬほどあせったやんけ!
口には出さなかったが、そんな私はあからさまに唇を尖らせながら私の座ってる横をバンバンと叩いた。テヘっとした表情とともに叔母は横に座って見始めた。
その時思ったが、二階に居るときは階段を駆け上がる足音は聞こえたことが無いのだ。
その階段は勾配がきつく歩幅も狭いので、降りるときは片足ずつ下りないと滑り落ちるのだ。小さかったせいもあるが靴下だけで降りるときはやばかった。何度か、ダンダンダンと尻もち付きながら下まで滑り落ちた記憶がある。
そして私は夏休みのある日決心した。
正体を確かめてやると覚悟を決めダイニングの扉を開け放ち、階段の方にすぐにダッシュできるように準備し、入念に動作確認と、階段前にスライディングで行けるように練習をして挑んだ。
玄関のカギはかけて誰も居ないことは確認し、ダイニングに漫画を持ち込み、その時を待った。
そして時は来た。
トントントントントン・・・・
挑むようにその音は聞こえてきたのである。
私は跳ね上がる心音を気合で抑え込むように意を決し椅子から立ち上がり、階段の方に走る・・たぶん実際にはおそるおそる忍び足で、歩いていたと思う。
練習していたスライディングなんてできなかった。
バクバクと心臓が喉から飛び出そうになっていた。
恐る恐るひきつった顔をしていたに違いないが階段を見上げた。
やはり誰も居なかった。
さすがに二階まで行く勇気はなかったが、玄関のカギはかかったままなのを確認し、怖さを紛らわせるためにそのままそっと外に出ていき友達の家に行った。
結局祖父母の家で同居したのは、一年生の一年間のみだった。やはり嫁姑がうまくいかなかったのか、すぐに引っ越した。
私は一人でこの家に居るのが嫌だったので大賛成であった。
結局今ではその家も取り壊され真相はわからずじまいだが。
そんなこんなで私はこの階段を《《恐怖のかいだん》》と呼んでいた。
読んでいただきありがとうございました。
全然怖くないやんけー!って言ったそこのあなた!次は本当に恐ろしいの投下しますよ?
ご期待ください。