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第1話 蛙との出会い。

7000文字と少しくらいの短編作品。

あっという間に読み終わる長さです。

今日中に完結予定。

表紙絵はAI(Adobe Firefly)さん作。

タイトル字は自分作です。w


挿絵(By みてみん)


 落胆。

 絶望。

 諦め。


 ある非情な結果に打ちのめされ、暗い気持ちを全身に纏い、途方に暮れたまま彷徨い歩く1人の20代後半女性。

 ――私である。


「……落選理由が"中途半端な知名度"、って1番キツイ理由だよ……」


 いっそのこと、完全に無名だった方がよかったとまで言われた。

 まるで、これまでの努力が全く無駄だったかのような否定のされ方。


「最後の望みもダメだった」


 売れない歌手、シンガーソングライターである私は、「無名の歌手」であることが条件の、ある実在の歌手の実話をベースにしたノンフィクション映画のオーディションに落ちてしまったのだ。

 アレが最後の希望だったのに。


「もうこの世で生きてる意味ない」


 トボトボと彷徨い歩いていると、見知らぬ場所、池のほとりに立っていた。

 何処かの公園の池なのかな。

 時期的に梅雨始めだからか、ゲロゲロといった蛙の鳴き声が合唱している。


 蛙でさえも楽しそうに歌っているのに、私ときたら。


「……死ぬ前に、最後だけでも楽しく歌って終わろうかな」


 私は、一曲だけ、気持ちヒットした唯一の持ち歌を、命を込めて歌った。

 聴衆は蛙たちだけ。


 歌い終わり、涙が一筋零れた。

 途中から、蛙の鳴き声は止まっている。

 もう思い残すことは何もない。


「最後に歌えたし、悔いはないわ。この池に入って死のう」


 そう言って、靴を脱いで揃える。

 柵を越えようとした、その時だった。


「ちょっとちょっとそこの人」ケロ

「だ、誰ですか?」

「ここ、ここだよ」ケロケロ

「ええっ……か、蛙さんが喋ってるの?」

「そうだよー」ケロロ


 信じられないことに、そこには小さな3センチくらいの喋るアオガエルがいた。


「アンタ、その池で死のうとしてるんだろ」ケロロ

「そうよ。邪魔しないで! 才能が無い私はもう死ぬしか無いの」

「俺の話聞いてくれたら邪魔するつもりはないけど」ケロロロ

「話? 何よ」


 死を目前にして、とうとう幻覚を見るようになってしまったようだ。

 何だか面白くなってしまった私は、この得体の知れない蛙の話を聞いてみる気になった。


「どうせ死ぬんだったら俺と代わってくれないかなーって。蛙だけに」ケロロ、ケロロ


 自分の蛙ジョークに、ウケている蛙。

 よし帰ろうか。

 って、私も心の中で蛙ジョーク仲間になってしまった。


「貴方とカワル? 何を」

「俺とアンタの人生を交換しないか。アンタがウンと言えば、俺は君の体に入り、アンタは俺の代わりに蛙になる」ケロロケロ

「何言ってるの、イヤよ! 例え自殺する命でも蛙なんて絶対ムリ」


 蛙になってどうするの。

 毎日することもなく、虫食べたりするんでしょ。






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