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プロローグ
暗闇の中、ただ輝く星を目指して走り続ける。
誰かを探し求め、誰かを追い求めていた。
それは俺ではなく、●●を無くした●でもない。
無くした何かに縋り続け
無くした何かに抱き着くように
俺ではない存在は必死にそれを追い続けた。
腕を伸ばす。掴み損ねた腕が空を切る。
一度、零れ落とした手は何かを掴めるはずもなく
ただ虚無だけを残し、俺は闇へと堕ちていく。
ごうごうと、全身で風を感じる。星が遠くなる
救いの星。希望の星。それを見上げながら、俺はただ堕ちる。
もう二度と這いあがれないように。もう二度と希望を持てないように。
そうしてやっと、俺は安堵できるのだ。
これは夢だと自覚できるから。これは幻だと理解できるから。
これは悪夢であり、現実ではない。だから目を覚ませば終われる。
そんな当たり前のことを再確認しながら、ただ堕ち続けていく。
星の光の灯さない怖い怖い闇の底。堕ちに堕ちた絶望の底。虚無の底。
あの星の光も届かないその場所で俺は…