表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

最後

「・・・・・・・・・・・」


電話に出ない。


「・・・・・・・・・・・」


俺は何度目かもわからないぐらい美香にかけ直す。


「・・・・・・・・・・・」


やっぱり出ない。


「・・・・・・・・・・・」


俺は美香の家に向かう。




インターホンを鳴らしても誰も出ない。


俺は希望を乗せてドアノブに手を掛ける。


開いた。


俺は一呼吸置いてから中に入る。



家の中は明かりが点いている。


つまり、誰か居る事を現している。


俺は一つ一つ部屋数を潰す。



そして・・・





倒れている美香を発見した。





「・・・美香っ!!!」


俺は半ば叫び声で美香を呼び、駆け寄る。


「美香?・・・・美香!・・・・美香!!」


摩っても反応が無い。


「どうしよ・・・救急車っ!」


俺は携帯電話で救急車を呼んだ。



俺も病院に同行した。




美香に病気がある事を知った。


美香の病気は肺ガン。


それもかなり進行した状態。


今の状況では手の施し様が無い。





つまり・・・美香は・・・





嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!!嫌だ!!!嫌だ!!!!


俺は何度も拒絶した。


でも、何度拒絶しても


何も変わらない。


何も変えられない。


俺は自分の無力感に涙まで出て来た。


俺は必死に涙を拭う。


こんな姿を美香の前で見せる訳にはいかないから


俺は美香の病室で美香の母親と一緒にいた。


俺は何度も心の中で美香を呼ぶ。




あの日から数日後。


美香は目を覚ましたとの報告が美香の母親からあった。


俺は走って美香の病室まで行く。


「美香!」


俺は勢いよく病室の扉をスライドさせる。


「・・・おう。久しぶり?かな」


美香は最初こそ突然の登場で驚いていたがすぐに笑顔で挨拶してくれた。


「・・・ああ、久しぶり」


俺の顔からは笑みがこぼれる。


「それにしても慌てすぎだろ。目を覚まさない訳じゃないんだから」


美香が何か言っているが俺の気持ちは変わらない。


嬉しいのだ。


仕方ない。


この気持ちはたとえ美香でも止められない。


「・・・・・・美香・・・・・・おかえり」


「・・・ただいま」




病室だったが俺は楽しかった俺が面白いネタを持って来て美香と共に笑った。


・・・・・病気という単語を頭から消す為に・・・・・




でも、病気は忘れさせてくれなかった。




美香に発作が起きたのだ。




医者の先生に死刑宣告を受けた。




『後、長くて一ヶ月です』




それを聞いた美香の母親は病気を知った時と同じぐらい泣いた。


俺は泣かなかった。


自分でも驚いた。


泣いても仕方ないと病気の事を聞いた時に十分理解したからだろうと納得した。


「ごめんね。ごめんね。美香」


美香の母親が自分を責める。


「別にあなたのせいじゃありませんよ」


美香の父親はもうこの世にいないから俺が代わりに励ます。


すると、美香の母親は首を横に振る。


「私のせい。美香の父親も肺ガンで私の前から居なくなった・・・今度は美香が・・・」


「・・・あなたのせいじゃありません・・・・・誰のせいでもありません・・・・仕方ない事だったんです」


俺は深く息を吸って・・・





「運命だったんです」





勢いよく吐いた。


それは仕方ない事。


それは運命。


受け止めるしかない事実。


美香の母親に言い聞かせる様に言ったが


本当は自分に言い聞かせていた。


本当に悪いのは俺の方だ。


俺が彼女を欲したから、


俺が彼女を好きになったから、


俺が・・・・・


美香は麻酔が切れて目を覚ました。


美香の母親が美香に駆け寄る。


「美香、ごめんね。ごめんね。ごめんね」


美香の母親が必死に謝っている。


美香は美香の母親の頭に手を乗せて・・・


「大丈夫だよ」


と声を掛けた。


一番辛いのは彼女の方なのに


一番泣きたいのは彼女の方なのに


一番苦しいのは彼女の方なのに


一番慰めて欲しいのは彼女の方なのに


彼女、美香は美香の母親を慰めていた。



美香の母親は一安心して今日は帰ろうとするのに俺もついて行こうとしたら美香が・・・


「智史。少し話せるか?」


智史さとし。俺の名前だ。


「ああ」



病室には俺と美香の二人だけ


「・・・智史・・・私の病気の事は聞いたんだろ?」


「聞いた」


「・・・・じゃあ、一つだけお願いがあるんだけどいいか?」


「何?」


「・・・・・・母さんにはああ言ったけど泣いてもいいかな?」


やっぱり、そうだよな。


死ぬ事になるんだ。


恐いのは当たり前だ。


泣きたくなるだろう。


だったら、俺がする事といえば・・・


俺は美香を抱きしめた。


「ああ」


そう言った途端に美香から嗚咽が聞こえ始めた。


俺は強く強く抱きしめた。




美香が泣き止んでから少しして美香が口を開いた。


「・・・・本当は、前から気づいてた・・・あの映画の日。私途中で走って帰っただろ?あの時、何かが出て来る感じがした後突然気分が悪くなったんだ。ごめんな」


「・・・別にいいよ」


「・・・智史・・・私・・・」


「何?」


「・・・恐い・・・恐いよ!苦しい助けて・・・」


美香がまた、泣き出した。


苦しむ彼女を俺にはどうする事も出来なかった。


「・・・最後のお願い・・・智史・・・もう此処には・・来な、いで」


「何を言っ・・・」


「また会ったら!・・・私、死にたくなくなるから・・・もう、此処には来ないで・・・お願い、だから」


「だったら、余計に会うべきだろ!・・・そんなお願い聞きたくない!」


「智史だって!・・・もう、私が死ぬ事分かってるでしょ!だったら・・・・これ以上・・苦しめないで・・・」


最後はもう吐き捨てる様に呟いた。


「・・・・私・・・智史の、事・・・・」


美香と俺が友達になった時と同じ笑顔で・・・





「・・・・・大っっっっっっっっっ嫌い!!」





「・・・・・・・・・・・」


俺は何も言えなかった。


確かに俺は美香に好かれる様な事はしていない。


美香が俺を嫌いになるのは当たり前の事だ。


・・・俺は・・・何故・・・・何もしなかったのだろう。




彼女の為に俺が出来る事・・・




「・・・それが・・・美香の願いなら・・・」



俺は病室をゆっくりと出て行った。







「・・・・・ごめん・・・・・智史・・・私・・・智史の事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大好きだよ」







あの日から三週間後。


俺は美香と会った。




美香は死体として・・・・・





最後まで読んで頂いてありがとうございます。


もう、感謝!感謝!です。



この『たった一人の……』を読んでどうでしたか?


感想をくれたら嬉しいです。



では、また何処かでお会いしましょう!!!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ