敵か?味方か?
始業式・・・
誰もいないはずの屋上には、ひと気があった。
おう、見かけねえ顔だな、一年か。
おうよおっさん。
お前、どこの組のもんだ?
俺は天下の黒井死組系青龍會第3部、青木會の長男、青木トキオじゃ。んで
え、黒井死組系の第3部!?し!失礼しました!
私、藤咲組の藤咲若人です。3年です。この学校で番長やらせてもらってました。
おう、そうか。今日から俺が番長でいいな?
え、あ、はい。
こうして例年稀に見る、なんの面白みもない、血を一滴も流さない無血番長交代が行われた。
ーーーーー
私は1年A組になった。周りも悪い感じの子はいない。二人を除いては。
自己紹介しやーす。緑川薫子でーす。父ちゃんがそっち系の世界の人なんでよろしくー!
俺は青木トキオ、薫子とは昔から家族ぐるみで。ま、察せよ。わかるだろ?今はこの学校の番長やってるからよろしくな。
自己紹介が続く気配もなく沈黙が二分は続いた。
口火を切ったのは私だった。
私は、毛美中からきました。石川翔です。
私が自己紹介をすると皆、つづいた。
ーーーーー
昼休みの屋上。
おい、おめえ。石川ってのか。
君は確か、青木くんと緑川さん。
おい、おめえなんで毛美からこっちきたんだ?なあ。俺は優等生が大っ嫌いなんだよ。
そうそう、ほんっと調子狂っって迷惑なんだけど。
あ、すみません。
今日からお前、俺のパシリな。
いや、それはちょっと。
おい、歯向かうのか?
いや、そんなつもりじゃ。
ちっ、もういい。お前はパシリでもありサンドバックだ!
そういうと、トキオは拳を振りかぶろうとした。
そして、その拳が当たることはなく、やめろ!と言う一声で止まった。
お、お前。黄山!お前も侘高なのかよ!?
ああ。青木、緑川。お前まだそんなことやってんのか。やめてやれ、明らかに敵じゃないだろ。
わかったよ、お前に免じて許してやる。
・・・
大丈夫でしたか?
黄山という男が優しく声をかけた。
ええ、ありがとうございます。黄山ってもしかして。
お察しの通りです。敬語はやめてください。お話は伺っております。翔様。