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アースの書~航海・2~

 不安を持ちつつも俺達は、俺様の船6代目号へと乗船をした。

 思った以上に船全体は奇麗に清掃されているな。

 大型の帆船、船の名前、あの船長に副船長……何となく汚れがあったり、どこか壊れていたりしていそうだと勝手にイメージをしていたが失礼だったな。


「え~ト……205番号は……あ、ここですネ」


 船内の通路を進みラティアが足を止めた。


『あ、部屋だったのか』


 俺はてっきり大部屋で雑魚寝をすると思っていた。

 だから、人目には注意しないと思っていた。

 部屋だとかなり軽減されるから楽だな。


「はイ。この船は全室4人部屋みたいです」


 なんだ、俺達だけで使えるわけでもないのか。

 俺達は3人だから、後1人は他人が入って来ると……結局は注意して航海しないといけないな。


『後1人この部屋に入って来るから、大人しく静かにしているんだぞ』


 俺はエイラの方を向き注意を促した。


「なんで、あ~しを見るのさ?」


 これは自覚を持ってない。

 となると、俺とラティアで頑張ってフォローしないといけないな。


「……その辺りの心配はなさそうでス」

 

 部屋の中を覗いたラティアがポツリと言った。

 心配はいらないとはどういう事だろ。

 ラティアが部屋の中に入り、続いて俺も部屋の中へと入った。

 部屋の内装を見た瞬間、ラティアの言葉の意味が分かった。


『なるほどな……たしかに、4人目は気にしなくて良さそうだ』


 室内には左右に置かれた2段ベッドと荷物を入れる棚が置いてあった。

 4人目を気にしなくてもいい理由は右に置いてある2段ベッド。

 上の部分がには大きな穴が空いていて、とてもじゃないがそこで寝られる状態ではない。

 張り紙も貼り付けてあって【上段は使用禁止】と書かれている。

 使用禁止とわざざわ書かれなくても誰も使わないよ……。

 このままという事は何かあったんだろうな、修理費がないとか……まぁいずれにせよ、俺達には好都合だ。

 


 俺様の船6代目号がヘイデンを出港してしばらくたった。

 今の所、船は順調に進んでいる。

 問題があるとすれば……。


「……うウ……」


 船酔いをして2段ベッドの下の段で寝込むラティアと。


「……うう……」


 そして、同じく船酔いをして上の段で寝込むエイラだ。

 俺は元々船酔いはしないタイプだからなんともないが、2人を見ていると相当つらそうだ。

 ラティアはともかく、エイラは空中に浮けるから船の揺れなんて何も問題もない。

 しかし、エイラは「せっかく船乗るんだから、それを楽しまないとね!」と言い、空中には浮かず最初は船旅を楽しんでいたが……結局はこの有り様だ。


「……船酔いが……こんなにも……辛かった……なんて……」


 船酔いから逃れようと空中に浮こうともしたが、船酔いの気持ち悪さのせいで飛ぶ事に集中出来ないらしい。

 最初から浮いていればこんな事にはならなかったのにな。

 まさに自分で自分の首を絞めるとはこの事だ。

 まぁエイラらしいといえばらしいけどな。


「……うう……ぎもぢわるいよ……」


「……うウ……うプッ!!」


『……』


 果たして2人は約3日の航海を耐える事が出来るのだろうか……。




 ◇◆アース歴9年 7月18日◇◆


 今日も快晴。

 海も穏やかだ。


「……ううウ……」


「……み、水……うう……」


 ただ、この部屋は穏やかではない。

 ラティアとエイラは相変わらず2段ベッドの上下で唸っている。

 まるでゾンビのようだ。


『はあ……水なら貰って来るから、ちょっと待ってろ。あとスープか何か食べやすい物がないかも聞いてくるよ』


 食欲がないからとラティアとエイラは朝ご飯を口にしていない。

 タフなエイラはともかく、ラティアの方は何も食べないのはまずいからな。


「……あっあり……がと……」


「……ありがとウ……ござい……まス……」


 俺はベッドから立ち上がり、部屋の外に出ようとした瞬間――。


『うおっ!! なっなんだ!?』


 いきなり船が大きく揺れ始めた。


「いやああああああああああ!! 揺らさないでぇええええ!!」


 エイラは叫びちらかし。


「……」


 ラティアの方はもう何もかも諦めたのか、無言でされるがままの状態になっている。

 っと、今は現状把握をしないと。

 俺は急いで部屋の窓際へ行き、外を見た。


『……んん? これはどういう事だ』


 外は快晴のまま。

 海が荒れている様子は全くない。

 しかし、この揺れは尋常じゃない。


『俺は外に出て様子を見て来るから、2人はここで待っていてくれ!』


「……ああい……」


「……」


 俺は部屋から飛び出し、甲板へと向かった。

 甲板に出ると数人の乗組員が海から飛び出した6本の大きく太い触手と戦っていた。

 赤黒くて吸盤の付いた触手……タコ型モンスターのクラーケンか!


「足の1本にバッテンの傷跡……船長……奴ですぜ……」


「……ああ」


 船長と副船長が銛を握りしめ、薄笑いを浮かべている。

 え、なにあの薄笑いは……。


「……俺様の船初代から5代目の仇、今回こそとってくれるわ!」


『はあ!?』


 ちょっと待て!

 あんた等の船、全部あいつに沈没させられてたのか!?

 しかも、そうなるとこれで6度目って事だよな!

 一体どんな恨みをあのクラーケンからかったんだよ!!

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