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第三章



『……初めまして。ディルク、レオナルド』

 気だるそうに欠伸をしながら近づき、ボサボサの紺色の短い髪をした男は眠そうな赤い瞳で五歳の二人が映る。

 見た目は二十歳前後の青年が歴史資料館に展示されてそうな古めかしい模様とデザインの白いフード付きのローブをタートルネックと短パンの上に着ている。


 青年はレオナルドの方に視線を向けると少しガッカリしたような目をした。

 

 

 

 

 

  第三章

 

 

 

 その日は、門出に相応しく快晴……ではなく土砂降りの雨だった。


 玄関ホールに号泣する母エレノアと兄フェリクスがレオナルドにすがるように腕に掴みながら嗚咽が響く。

 父ニコラスは、レオナルドの目線の高さに屈んで爽やかに微笑むと小さな頭を撫でた。

 「レオナルド、賢者様によろしく伝えてくれ」

 そう言ってちらりと号泣する二人を視線を移し微妙な顔をした。

「分かりました。お伝えします」


「……あと、帰れるときには戻ってくるんだぞ」

「は、はい。なるべく家に帰ります」

 

 「エレノア、フェリクス……そろそろ時間だ」

 二人はニコラスに無理矢理に引き剥がされる。

レオナルドは後ろへ下がり、アイテールの隣に来ると腕を掴んで、見送りに来てくれたニコラス、エレノア、フェリクス、ジーク、メリッサ、他の使用人達を見た。家の者、全員と行っていいくらい玄関に大勢の人間が見送りに揃っていた。

 

 「いってきます!」

 レオナルドはそう言って手を振ると、一瞬で姿を消した。

 「「!!」」

 「……」

 「やだ!レオちゃんがパパみたいに消えたわ!いつの間にそんな魔法!」

 エレノアの暢気な声がホールに響いた。


  

 

 

 

 

 

 


  澄んだ冷たい空気、土の匂い。

 

 流れる小川の穏やかな水音。

 青々とした草木。木の葉で太陽光は遮られ日陰になっている。

 

 ミーンミーン、蝉の鳴き声が聞こえる。

 急に気温が変わり、暑い日差しを浴びて汗が吹き出す。

 

 「いつも思いますが、ここの空気は素晴らしいですね。ですが、この暑さはどうにかしてほしいです」

 アイテールの声が漏れ、レオナルドもこの場所が気に入っているので自然と返答する。

 「あぁ」

 

 ここはディローレンティス王国。同盟国の中で一番大きな国であり、ニコラスの故郷だ。

そして、この国の付近だけずっと夏。オンリーサマーなんて呼ばれたりしている。茹だるような暑さが一年中続くのは勘弁して欲しい。元々四季のある地域だったみたいだが、冬が無くなり、秋、春といつの間にか消えてしまった。昔は異常気象だと騒がれたみたいだが今はこれが当たり前になっている。

森の中と言えど、暑い。


 

 王国内にあるノルン地方の外れにあるシンシアの大森林。今回は初めてだが、繰り返しのお陰ででここの地理も施されている結界もどんなものか知っていた。

 

 レオナルドとアイテールは目的地に向かって歩き始める。前方が蜃気楼のようにゆらゆらと視界が歪む。

 果てしなく木々が続く景色は、一瞬にして変化する。

 

結界内に入ったのだ。

 

白樺の並木道。

先程よりも木漏れ日の明度が上がった。

 いつもと同じ光景といつもと違う赤茶色が奥の方に見えた。

少し冷えた風が吹き抜けている。気温が十度くらい下がって春のような陽気。

 

(三歳の時点で違うけど……は?!)

 

 小さなシルエット。

並木道の中間に一人の少女が仁王立ちで立っている。彼女は師匠の子供で、1人でいることが好きな大人しくしっかりした娘だ。

父親の弟子のレオナルドとディレクに関わることは、ほぼ皆無。必要最低限話すことはあったが、こうして出迎えてくれたことはない。

 

 ヒラヒラとレモンイエロー色のワンピースが風で揺れている。そして、可愛らしい少女の顔は不機嫌に歪んでいた。

 

 近づくと視線の近い勝ち気な顔をした少女はギロリとレオナルドを睨み付けている。

 

 背中まで伸びた真っ直ぐな赤茶色の髪が風で揺れ、小さな右手で自分の髪を耳に掛けた。

 

 「レオ、待ちくたびれたわ」

幼い見た目にそぐわない大人びた口調。

 「?!」

 レオナルドはジャケットの胸ポケットの懐中時計を取り出すと時間を確認した。どう見ても予定の時間よりも三十分早い。

 少女の眉がピクッと動いて、可愛い頬がぷくっと膨らむ。

 

 

 師匠の娘、ミーナ。初対面の筈なのに名前を言い当てた。今日、来る事は事前に連絡してあるのでおかしくないかもしれない。だが、ミーナのこの態度は何か引っかかる。

 

 「返事は?」

 ミーナは眉を寄せ不機嫌な顔をした。

 「は、ハイッ」

 「ミーナは、パパ様とそれだけ長く一緒に居られたから嬉しいけれど……パパ様はずっと待っておられたのよ、それがも()()もするなんて!」

 そう言ってため息をついた。


 ミーナから意外な言葉が出てレオナルドは耳を疑う。百周、その数字はレオナルドにはただ一つしか思い当たらない。

 「え?」

 「それだけがっかりさせたのよ。ちゃんと反省しなさい」

 

 「それって」

 尋ねようとしたら突然、後ろのアイテールがレオナルドに向かって呟く。

 「あの方意外と繊細なんですね」

 ミーナはキョトンとした顔でアイテールを見る。

 「……もしや!貴方はアイテール様でしょうか?」

 「ええ」

 その返事を聞いた途端ミーナは態度を変えて、スカートを摘まんで少し屈む姿勢になり、この国特有の淑女の礼をした。

 「ご挨拶が遅れました。わたくし、ミーナ・ローズ・オルセンと申しますわ」

 「ご丁寧にありがとうございます。レスリー・カザンです。この事は他言無用でお願いしますね。なので、いつも通りでお願いします」

 「え……し、承知いたしましたわ。」

 困惑しながらも承諾しているミーナには、レオナルドの事は視界に入ってないようだ。

 

 「では、お二方。中へ御上がりくださいませ」

 

 師匠の家は三角屋根で石のレンガを積み上げたの何処にでもあるような民家だ。ここに師匠と娘のミーナが二人で住んでいる。二人にしては、少し部屋数も多くて広い。

 

 応接間へ案内されると応接セットが見えた。

 奥の長ソファに座る青年がこちらに気づくと爽やかに微笑む。

 彼は立ち上がるとドアまで出迎える。にへら顔の師匠と目が合いレオナルドは、胸に手を当て礼をする【紳士の挨拶】をした。

 骨張った傷だらけの手が差し出され、その手をとり握手する。


 飄々とした緩い表情の青年が師匠だ。年代物の白いローブを羽織り、その下はだぼっとしたシルエットの寝間着を着ている。

 彼こそがレオナルドの師であるラファエル・オルセン。この国、世界的に有名な賢者で若い見た目だが二百年は生きているらしい。

 

 「いらっしゃい、レオ」

 赤の他人には見せない親しみのこもった笑顔。

対照的に不安げな表情で師匠を見上げる。

 「……師匠は記憶があるんですね?」

 「うん、お前にこの異常が分かるのに俺が分からないと思ってたの?」

 尤もな事を言われ師匠の舐めてんのかと言いたげな圧を向けてきて怯んだ。

 「す、すみません。一度もそのような話をされてなかったので……確認です」

 

 「フッ……まだひよこみたいなお前に話して意味ねぇだろ?」

 「ひよこって……師匠」

 見た目は幼児だが、最初以外はどの時間も精神年齢は大人なレオナルドに「ひよこ」といいのける師匠に困惑する。

 

 師匠はソファのところまで戻ると元の席にどかっと腰掛けた。レオナルドも向かいの席に腰掛けようと視線を向けた瞬間、子供のシルエットが座って居るのが見えた。その人物を知覚すると驚いて心臓はヒュッと縮こまる。

 「……っ!!?」

 

 年の近い子供が座っていた。小さな頭を上げてじっとこちらを見上げている。

 その子の赤い瞳は、太陽に照らされた水辺のように煌めいている。懐かしそうに目を細めてホッとした顔をしたように見えたがすぐにその表情を変えた。

  

 窓から漏れた太陽光で輝く金髪が揺れて幼い丸い顔が此方を向くとニヤリと勝ち誇った生意気な顔で笑う。

 「よう、お前が()()だ」

 その男は、ここには居るはずのない者だ

 「……な、ディルク!!」

 

 言葉にしても目の前の事が信じられない。目の前には、幼く可愛い顔をした親友で兄弟弟子のディルク・チェイス・デルヴィーユ。

 デルヴィーユ帝国、第四皇子がそこに座って膝に乗せて淡い黄色の猫を撫でていた。

 「な、なんでお前が!まさか、俺みたいに記憶が?!」

毎回そんな素振りのなかった男のいつもと違う行動。今回は予定外のことばかり連続している。



 「とりあえず座れよ」

 「、ああ」

 質問攻めしょうとしたが勢いを削がれて親友に言われるまま隣に腰掛ける。ディルクは赤い目を細めて視線を逸らし、向かいのブラックコーヒーの入ったカップをとると一口含んだ。

(子供のくせにブラック……)


 にこにこと笑顔の師匠ラファエルはアイテールの方を向いて空いた席に掌を向ける。

 「アイテール様もどうかお掛けください」

 「ありがとうございます。私の事はお気遣いなく」

 そう言って、レオナルドの隣にやや密着して腰掛ける。

 (ちかい……)

 

 「まさか、こうして弟子の二人が揃ってくれるとは……いいな」

 しみじみとそう言う師匠。弟子二人はお互いの顔を見つめニヤリと笑う。

 そんな話をしているとドアが開く。ワゴンを引いてミーナが入ってくる。ワゴンにはティーポットとカップが二つ乗せてある。

 

 レオナルド達のところまでくると紅茶をカップに注ぎ、レオナルドとアイテール残されても向かいのテーブルへ置いた。

 

 「前回の記憶も能力も保持してるお前達に、今さら教える事はない」

  

 師匠の爆弾発言に二人驚く。確かにレベル的にも知識も弟子にしてもらう必要は無いかもしれない。けど、この人は本当に魔術研究も独自に作り出した魔術はどの魔術師も喉から手が出るほど欲しいだろう。

修行は厳しかったし子供だからと手を抜かれてはないが、実力不足という理由で、ある程度しか教えて貰えていない。一度帰されて、実績を積んだらまた指導してやると言われ、それぞれ魔術研究や古代魔法の解読など実績を積んだがお呼びがかかったことは一度もない。

なのに、教える事がないなんて話が違う。


 「「えっ」」

 「それに明日から俺は王宮勤務なる。二人には、助手としての仕事をしてもらう」

 「助手ですか……それに私達、異国の人間ですよ。特にディルクは……」

 同盟国とはいえディルクは異国の皇子だ。

 「あぁ、大丈夫。話はしてるし、その代わりローブで顔を隠してもらう。色んな人間が出入りするからな」

ローブ一枚は、心許ないが二人には変装魔術を習得しているのでなんの心配はない。

 

 「よし!お前らがどれだけ動けるか知りたい。とりあえず、外出るか!」

 ラファエルは席を立ち、ゆったりとした袖を捲る。

 

 応接間を出ようとしたラファエルのローブを掴んだミーナは、ぎろりと父を睨む。

 「ちょっと、パパ様……その格好で外に出ないで下さい!着替えてくださいまし!」

 

 「……はぁい」

 ラファエルは、まるで子供みたいに唇を尖らせる。どっちが親か分からない。

 


 

 

 

 

 

 

 輝く満天の星空に三日月が浮かぶ。

 あっという間に時間が過ぎて森の中は濃紺に染められ、冷たい夜風が吹き抜ける。

 

 白銀のストレートの髪と青色の夜着が肌を撫でるように揺れる。レオナルドはバルコニーの手摺に腰掛けて月を眺めていた。

幾度も時を繰り返し、師として魔術師として後悔しないよう出来る事は全てやったつもりだ。

 百周目にして、くるりと回すと姿を変える万華鏡の如く何もかも変わってしまった。

 まるで、新たな時を歩めと言われているみたいに大聖霊といつの間にか契約していて、今まで存在を知らなかった怪物の存在を知って、師匠との初対面の違い。

 

 (そういや、ディルクと話してないな……明日でいいか)

 

 「……レオ、こんなところにいたのか」

 幼い声で呼ばれ振り返ると月明かりに照らされて輝く黄金の髪とぱっちり大きな赤い瞳の親友が近づいてきている。小さな体を動かして近づくその姿は可愛らしい。

 「……夜更かしか?()()

 そう呼ぶと眉間に皺を寄せて不機嫌な顔をした。

 「は?その呼び名止めろ」

 怒りを滲ませたその反応にレオナルドは目尻が熱くなる。時を繰り返すこの旅は、暗闇を進んで行くような孤独なものだった。

 

 

 「……」

 再度、三日月を見上げる。ディルクにこの地で出会い無茶な修行を二人でなんとか乗り越えた。【何度も時を繰り返してる】という荒唐無稽な話も半信半疑だが聞いてくれた。

 本当の意味で信じてもらえた事は今まで無かったが、レオナルドにとって聞いてもらえたことに意味がある。

 

 でも、今回は話さなくてもいい。

今までにない新しい瞬間だ。

 


 ディルクは、レオナルドの隣に腰掛ける。

 「また、会えたな。親友」

 ディルクは眩しそうに瞼を細目ながらレオナルドの方を見つめる。

 「ああ」

 短く返事をして、乾杯でもするようにどちらかともなく拳をこつんと軽くぶつけ合う。 拳の向こうにはニッと笑う親友の顔がある。

 

 「お前が死んでから大変だったんだぞ」

 自分の死後を思い出話のように語られる事がむず痒いような何とも言えない違和感を感じながらもレオナルドは、遺されたディルクや他の人達の顔が浮かび申し訳なく思いながら返事をした。

 「……うん」

 「お前の仕事は引き継ぎされててなんの問題もなかったけど……てか、お前誰に刺されたか覚えてるか?」

 こんな話をしていても、涙ひとつ見せず思い出話にしてしまうのは彼の長所かもしれない。

 「……カトリーナ、じゃないのか?いつもそうだった。あいつがお前を斬りかかってきて俺が庇って死ぬ、それがいつもの流れだ」

 

 「……」

 「……それにしても、何故……今回は覚えてるんだ?……しかも強さまで合わせてくるなんて……」

今日の組手、なんと互角だったのである。今でも信じられないがディルクは本当に強かった。

 悪態を付きながらもそう質問すると視線を逸らし夜空を見上げる。幼いディルクの表情は影に隠れていく。

 言いにくそうに重い口を開く。

 「……俺、お前が目の前で刺されて気が動転してたんだろうな……あの女を捕まえて、それから……愚兄の所へ行った。けど、アイツは死んでたんだ……残ってたのは、アーノルド・ブルストロード、セドリック・マクミラン。二人だけはあの時のカトリーナの行動に恋の熱も冷めたみたいだ」

 

 「……ん?アーノルド?セドリック?誰?」

 そう言うと可哀想な者を見る目でレオナルドを見ると呆れたようにため息をつく。

 「はぁ?何回も繰り返してるんだろ?名前くらい覚えろよ……お前が興味のない者の名前を覚えるのが苦手なのは知ってるが、あいつらはマリアンナを陥れた奴等だろ!?」

「……う~ん、……毎回、名前を……忘れるんだよな」

「アーノルドは、皇帝専属騎士であり公爵令息。セドリックは、宰相で侯爵令息だ」

「……あー、分かった。ありがとう」

「残りの二人は覚えてるか?」


 「そこまでくると立派な才能だよ。長い詠唱は覚えられるくせに……なぜあいつらの名前を覚えてくれないんだ……アトランティッドの民の名前は覚えたてただろ?」

 ディルクが呆れつつも冗談混じりでそう言うとばつの悪そうに視線を泳がせる。

 「……なぁ」

 

 「まあ、また会えて嬉しいよ。何度も繰り返してるからって簡単にサクッと死ぬなよ!まだまだ、お前には長生きしてもらわねぇと僕が困る!」

 「……ああ」

 

 「よし、ちゃんと聞いたか?グー」

 ディルクは反対側を向いてそう言うと低い男のような声が向こうから聞こえてくる。

 「うむ、ちゃんと聞いたぞ。にしても、人間とは面倒な生き物だのう」

 

 レオナルドはその声の主が気になり、手摺をしっかりと握り、体を傾ける。

 

 「!!」

 

 月明かりに照らされて輝く黄金の鬣が夜風で揺れる。そこには猫がピンと背筋を伸ばした猫が座っていた。こちらに気付くと青色の瞳と目が合う。

 

 「よう、我の事はその便利な目で確かめるといい」


 

 便利な目、それはスキルの事だろう。


 魔神グリフォン

 かつて四魔神の一体に仕えていた魔物。特別な力を貰い魔神化。

鷹の上半身と獅子の下半身を持つ火を司る魔神。人を伴侶にし、気紛れで国を築き上げた。その国は現在のデルヴィーユ帝国。

 

 

 

 「へ?え?」

 「ほっほうー!そなた驚いておるな」

 猫は目を細めて白いキバを見せてニヤッと笑っているように見えた。

 「不思議なことでもないぞ。お主もディルクと変わらぬではないか」

 

 「……ん?」

 「それは、内緒なんで言うのはやめて頂きたいです」

 いつの間にか背後に立っていたアイテールが猫の姿をしたグリフォンに口止めをする。

 いい生地で仕立てた侍従用の制服姿のアイテールはにこにこと嘘臭い愛想笑いを浮かべている。

 「……アイテール、久しいのう」

 「ええ、お久しぶりです。噂では長い眠りにつかれたと聞き及んでおりましたが、目覚めてられたのですね」

 

 「外が騒がしかったのでな。目が覚めてしまった……アイテールこそ人の子に手を貸すなんて珍しい」

 「……そうですね。レオナルド様が少々不憫でしたので、つい」

 「ほほう!それは気になるのう!詳しく、たのむ。不憫で言えば、我のディルクも負けとらんぞ」

 アイテールとグリフォンの話が思わぬ方へ逸れていき、レオナルドは相手が相手なので注意しにくくなり、手すりを下りて部屋へ戻る。


 (……ね、寝るか)

 

 開けっ放し窓から入り、右側のベッドに潜り、目を閉じた。

 

 「寝るのか?」

 声が上から聞こえて、瞼を開けるとディルクがこちらを見下ろしていた。

 「ああ。お前も明日早いし、早めに寝ろよ」

 ディルクは返事をする前にレオナルドが寝ているベッドの隣に滑り込む。

 「おやすみ」

 背を向けて自然に寝始める。

 

 「???」

 戸惑っているうちにツッコミを入れるタイミングを失い、体が幼児のお陰で窮屈に感じることも無かったので少し奥にずれる。

 

 

 「……おやすみ」


 




ここまで拝読ありがとうございます。

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