男爵令嬢ルルーリアのお話2
熱がある間はお勉強はお休みです。熱が下がるとまたお勉強が始まりました。
でも、ルルーリアは今度は吐いたりするようになりました。
レオニダスはとっても心配して毎日ルルーリアのお見舞いにいきました。
『え! 王子さまはお仕事してないの!?』
『少しはしていますよ。お嬢様、なかなかツッコミが鋭いですね』
ルルーリアはよく熱が出たり、吐いたりということが増えました。なかなかお勉強はすすみません。
そんな中、レオニダスは王妃さまに呼ばれました。
「食事に入っているあんな微量の毒にさえ耐性がない娘では王族は務まりませんよ。すぐに毒殺されてしまいます。まぁ私はそれでもいいですが」
ルルーリアは男爵家に引き取られる前は平民として暮らしていました。平民なら毒殺の危険性はまずありません。だから高位貴族なら当たり前に幼少期に身に着けている毒への耐性が身についていないのです。
「ルルは貴族として暮らしている期間はまだまだ短いのです! 長い目で見守って下さい!」
レオニダスは愛しているルルーリアのために王妃さまに必死でお願いしています。
「では教育も長い目で見守れと? 貴族令嬢なら誰でもできることや学園で習ったことも身に着いていないのに?」
王妃さまはとても冷ややかです。
「あの娘がこのままならあなたは王にはなれませんよ。第2王子はあなたと年が離れていますがすでに優秀ですからね」
レオニダスは何も言い返せずとぼとぼと部屋を後にしました。
『王子さまってけっこうヘタレね』
『お嬢様、どこで覚えたのですか? そのヘタレという言葉は』
そんな調子で王妃教育は遅々として進みません。しかし、ルルーリアは少しだけ毒には慣れたようで酷く体調を崩すことは少なくなりました。
そんなときに視察のお仕事がレオニダスに舞い込みました。レオニダスはせっかくだから息抜きにとルルーリアも一緒に行かせたいと思いました。
陛下と王妃は反対しました。しかしレオニダスはこっそりルルーリアも一緒に視察に連れて行きました。
『しさつってお仕事でしょう? 王子さまは遊びだと思ってるの?』
『お嬢様のツッコミが鋭すぎてばあやは何も言えませんね』