男爵令嬢ルルーリアのお話1
「たとえその目が再び私を映しても」は今年中に完結予定。(あくまで予定……でもそうなる様がんばります)
ちょっと行き詰って妄想気味なので書いてしまいました。
『ねぇ、ばあや。いつもの男爵れーじょーのルルーリアが悪役れーじょーを断罪して王子さまと婚約する話はあきちゃったわ。ほかのお話をしてよ』
『おや。お嬢様はこのお話がお気に入りでしたのに。どうなさいました?』
『だって、マナーやお勉強をならったらわかるわよ。ルルーリアが王妃になんてなれるわけないわ』
『ふふふ。ではお嬢様、以前まではルルーリアが王子さまと婚約したところまでしかお話していませんでしたが……今日は婚約した後のことをお話しましょうか』
『え? あのあとのお話もあるの?』
『はい。お嬢様、実はルルーリアのお話はばあやが若いころに本当にあったお話なのですよ』
『ええ! マナーのなってない男爵れーじょーに王子さまが恋をして婚約者と婚約破棄なんてあるの!?』
『ございますよ』
『ん? でもほんとにあったことなら…王族にルルーリアっていう名前のひとはいないわよね? それに王子さまの名前も聞かないわ。他の国のお話なのかしら?』
『ふふ。お嬢様。今から続きをお話しますね』
男爵令嬢のルルーリアとレオニダス第1王子は無事婚約しました。
当たり前です。なぜなら学園の卒業パーティーで派手に宣言してしまったのですから。公爵令嬢との婚約を破棄してルルーリアと婚約すると。
王族の言葉を簡単にやっぱりあれはなしで!なんてできません。
ルルーリアとレオニダスは手を取り合って、うっとりしています。その日からルルーリアは王宮に部屋を与えられてそこで過ごすようになりました。
でも幸せな時間は長く続きませんでした。
王妃教育が始まったのです。勉強に時間がとられて2人ではなかなか会えません。
王妃さまは勝手に婚約破棄した王子に大変お怒りでした。
でも皆の前で宣言してしまった手前、ルルーリアをすぐに追い出すこともできないのでしぶしぶ教育を始めたのです。
始まって2日目でルルーリアは熱を出しました。ルルーリアにとって勉強はとても難しいものでした。
マナー・歴史・経済・外国語・護身術…たくさんのことを学ぶ必要がありました。でも、ルルーリアが熱を出したのはお勉強のせいではありませんでした。
『あら、おとぎ話じゃなくて本当のお話みたいに思えてきたわ!』
『えぇ、お嬢様。だって本当にあったお話ですから』
『どうして熱をだしたのかしら?』
『ふふ。あててみてください』