人格
[私はおかしな人生だった。生まれて何年かは普通の家庭、強いていえば父親が居ないくらいだった
おかしくなったのは父親が、、、来た?連れてきた?生えてきた?
……………多分生えて来た時だ。
その日から母の泣き声が止まらなかった
そんな事があったのが、確か小学生の頃だったかな
有名なギタリストの孫だって意味わかんない自慢ばっかりして
彼と同じラストネームなんか沢山いるのに]
[中学に入ると、父親は私にも手を出してきた。
困った事にモデルのように顔のいい私は……]
[脅されてたから、仕方なくと言うのは、言い訳になるのかしら
抵抗したところでと言うのは猿でもわかる
私は別に減るもんじゃないと思う事で心を保った
表向きの私は優等生
夜は恋人ごっこに付き合う
高校までそれを続けられ、高校卒業と同時に飽きられた]
[顔も頭もよかった私は当然の事ながら就職に困らなかった
大手企業の事務に配属されドンドン結果を出してドンドン出世して行った
27歳で営業部長に選ばれたのは自分でも凄いと思ったわ]
来年にはもっと力をつけて
再来年には幹部かしらね
そして将来は
うふ
うふふふふ
[電車の入ってくるホームでコーヒーを飲みながら1人ニヤニヤしてた
ええ、多分ホームに居たのがいけなかったわね]
―――――――え?
[全然知らない女が
それはそれは私を憎んだ顔で私を突き落とした
[誰だっけ]
「なぁ、あんたも新人?一緒に頑張ろうぜ!」
[全然思い出せないわね]
「お前やるなぁ、俺もすぐ追いついてやるぜ」
[でも、突き落とすくらいだから、相当恨んだのよね]
「俺と付き合ってくれ!頼む!なぁ、いいだろ!?」
[あ、なんか思い出してきた]
「おい!話とちがうぞ!俺の売上あげたら付き合ってくれるって!」
小学校に入るまでは普通の女の子だった彼女
強いて他と違うところと言えば父親が居ないこと
病死だった
彼女が小学校に通い始めた頃、彼女に父親が出来た
再婚だった
幼き彼女の心には、どうやらモヤがかかったようで
イタズラ、、、と言うには度が過ぎたことばかりしていた
母親はあまりの酷さによく泣いていたという
中学に上がると彼女は父親の寝込みを襲った
そして動画を撮影
パソコンに保存
コピー
ここまですれば言うことは大体1つ
[毎月幾らかちょーだい♡パーパ♡]
定期的に動画を更新しつつ
そんな生活を計6年
高校卒業と同時に飽きたのか動画を削除し
名前を変え別の都市へ引っ越した
そしてある大企業の面接を受ける
そこで面接官の顔と名前を覚え
その中で一番地位の高い人物を調べ
バーから出てきて酔ってる彼と「偶然」鉢合わせ
ホテルへいき
、、、、不思議な事に彼女はその面接に1発合格した
そして彼女は入社するとあっという間にアイドルとなった
なんてったって顔がいいもんだから少し誘って寝れば評価なぞ幾らでも着いてきた
そいつはそんな時現れた
いや、現れたと言うのは少し違う
初めから隣にいたが彼女は興味がなく
認識をしていなかっただけである
彼女にぜひ付き合ってくれと頼むそいつ
彼女は思った
[あら、利用出来そうね]
彼女は売上を自分にくれるなら考えてあげると伝える
そいつは馬鹿正直に自分の手柄を彼女の物としてドンドン報告した
当然彼女の評価は上がりそいつの評価はさがった
そしてそれは彼女が営業部長に選ばれた日の事である
「なぁ、、いつになったら受けてくれるんだ」
んーそうね、もう少し考えさせて
「なんだと!もう7年!こうしているじゃないか!俺は君を信じて!!このままじゃ俺は首だ!」
あら、じゃあ今決めたわ。あんたの売上はもう要らない
二度と関わらないで
「そんな、、俺は今までお前の為に!」
彼氏面しないでくれない?
どっか行ってちょうだい。目障り
「あ、、あぁ、、、くそが、、、くぞが!」
走り去る姿もブッサイクね
誰があんなやつと付き合うってんのよ
あんなやつの人生なんて知ったこっちゃないわ
そいつが自殺したのはその次の日の事
それはそれはとてつもない剣幕をしたそいつの両親に呼ばれた彼女
渡された遺書には
本気で彼女に惚れてた事
本気で彼女を信じてた事
本気で振られてショックだった事
そしてそのせいで生きる気力を失った事
そいつの両親は泣きながら
いや、泣きすぎて何言ってるか分からないけど
なんか怒ってるのはわかった
彼女がぼうっとしてると相手の母親が叫んだ
「どう責任とってくれんのよ!!!!!!」
責任?なんで私が?なんで私が悪いの?
おかしくない?だって
だってだってだってどう考えたって
「ブサイクに育てた方が悪いじゃない」
落ちゆく体と蘇る記憶
思い出した。こいつあいつの―――――――――――
グシャ