これであなたの企業もGoogleに。OKR、KPI←待て、落ち着け
うちの会社、OKRやKPIを導入したんだけど、指標がちょっと使い辛いんだよなぁ。
それでいて、指標の補正は一度も無いし。
これを読んで、ギクリと来た読者は居るでしょうか?
または、OKRやKPIは知らなくても、新しく使っている指標が、目標として使うには、ちょっと現実を反映してない、なのに自社はそのまま使い続けている、という読者向けの記事となります。
内容に野球をたとえ話に使いますので、野球を知らない方には、解らないかもしれません。
また出たよ……。
IT、見える化等、コンサルタント会社の新しい流行に、定期的に現場が振り回される時期が来ました。
OKRやKPI、国外の流行を国内に導入して手数料で金儲けをしよう。
この例年のお決まりの流れに、日本の企業の経営方針は、全てキャバクラの中で決まっていると嘯くのは、私だけでしょうか?
OKRやKPIは、目標は違えど、重要指標を作成して、具体的な数字を達成していく手法です。
この指標という物について、コンサルであれ、自社であれ、お前ら本当に理解して運用出来ているのか、といった内容になります。
では、野球を例に、指標の話をしてみましょう。
野球の打撃分野では、長年の間、打撃5タイトルが大きな指標として使われて来ました。
打率の一番高い首位打者。
最もホームランを打った最多本塁打。
最も打点を獲った最多打点。
最も安打を打った最多安打。
そして、最も盗塁を獲った最多盗塁です。
打者はこの5タイトルに特化する事を目指し、3割打者、30本塁打、30盗塁のどれかを越え、数年安定すれば、一流選手の仲間入りとされてきました。
その前提で言えば、近年、打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーを2年連続で達成した、2015年-2016年ヤクルトスワローズの山田哲人選手は、超一流の選手と言えます。
逆に、根拠を問えば、心理的な数値でしかない打率3割を少し下回った選手や、30本塁打に届かない選手、30盗塁に届かない選手は不当と言える評価を受け続けたと言えます。
昔の野球関係者は、打撃5タイトルの指標や、四球の数、二塁打の数などを見て、総合的な評価を下していましたが、打撃5タイトルは特に影響力の強い指標だったと言えます。
さて、時代は下り、野球には新しい指標が、アメリカから登場することになります。
わざわざ打撃指標を分けずに、全部一緒にしちゃえば良いじゃない?
出塁率+長打率=OPS
そう、出塁率足す長打率を示す新指標、OPSの登場です。
このOPSはチームの得点との相関が既存の指標である打撃5タイトルよりも遙かに高く、盗塁以外の打撃指標を一括にまとめた非常に優れた指標でした。
※今では出塁率をさらに重視したより精度の高い指標もある
得点への貢献度=打撃成績=既存の打撃指標の殆どをまとめたもの=OPS
野球関係者は、このOPSを重視すれば、それが仮に無能でも、ある程度の好成績を取ることが出来ます。
それが優れた物であれば、誰でも脳死してある程度の好成績を出す事が出来るという特性は、指標という物のメリットです。
さて、OPSが打撃指標の中心になると、それまである意味不当に高く評価されていた人、つまりチームへの貢献という点で、不当に高く評価されていた人の再評価が行われました。
例えば、OPSは低いが、打撃が3割を越えている人。
例えば、OPSは低いが、本塁打が30本を越えている人。
逆に、それまでチームに貢献しているにも関わらず、不当に低く評価されていた人も再評価されるようになりました。
例えば、打撃が3割に満たないが、OPSは高い人。
例えば、本塁打は30本に満たないが、OPSは高い人などです。
さて、話は野球のまま続きますが、読者の皆さんは一旦、野球の指標の移り変わりを、自分の業界に当てはめて考えてみて下さい。
いったい、どうなりましたか?
OPSが打撃評価の中心になりますと、各選手はOPS向上のための動きへと変わります。
OPSの向上には、様々な手段がありますが、OPSの導入で、将来は画一的な選手が増えていく事となります。
野球は興行ですから、OPSを優先した特徴的な選手の居ない状態は、必ずも好ましい状態とは言えません。
ですから、特徴的な選手を産み出すであろう打撃5タイトルは、指標としては失敗でも、今後も大きな影響力を残していく事になるでしょう。
さて、野球の指標の歴史を書いてみましたが、読者の皆さんは、どう思ったでしょうか?
指標について理解が深まりましたか?
企業は一般的に興行ではありませんから、辺に偏った指標の需要は存在しません。
野球における古い指標は、脳死した状態では、チームの貢献にむしろ反する結果を出しました。
企業に貢献している人に不利な指標や、企業に貢献していない人に有利な指標は、果たして企業の利益に繫がると言えるでしょうか?
たかが指標の間違えで、不当な評価を受け続けた、本当に企業に貢献している人がどんどん辞めていったら?
あなたの企業の使っている指標に、不満を覚える人は何人居るでしょうか?
また、あなたの企業が使っている指標は、何回フィードバックを行い、何回改訂をしましたか?
この二つの質問は、あなたの企業が、指標をどの程度理解していて、フィードバックをしているか、という重要な質問になります。
そして、この二つの質問は、あなたの企業が決してGoogleになれない答えでもあります。
一般的に、日本の企業は、指標の作成に重大な欠陥を抱えているように私は思います。
その欠陥とは、数字恐怖症とも言える指標作成に対する経験不足です。
あなたの企業は誰もが指標を作成出来るようなGoogleではありません。
OKRやKPIは、優れた指標あってこその手段ですので、指標が欠陥品であれば、企業経営には利益をどん底に落とす、不適格な手段へと早変わりします。
では、優れた指標の作り方とは?
そもそも、優れた指標とはいったいなんでしょうか?
私の場合、んなもん、実測で調べろよと呟いてしまうのですが、あらゆる学問で、実測が出来るのであれば、実測は最強の手段であると学ばない実害が、この現代で出ているのかもしれません。
優れた指標の作成を考えるに、そのハードルは決して高い物とは言えません。
せいぜいが、実測の優先とフィードバック、初等教育程度の『さんすう』で充分なのではないか、と私は思います。
※数学ではなく
にも関わらず、日本の企業は、指標のフィードバックはしないし、フィードバックをしないので、指標が実態と乖離していても実測はしない、そもそもさんすう程度の頭も使わない。
という不可思議な状況があるように思われます。
これも数字恐怖症の為せる技なのか……と、考察を続けてみますと、どうも個々人の数学の成績云々ではなく、日本人の多くがアウトプット恐怖症にかかっているのではないか?
という仮説に突き当たりました。
知識としては知っていも、アウトプットは出来ない。
普段は何にでもフィードバックするのに、指標にだけは出来ないと信じこんでいる。
アウトプットが出来ない病になるとは、日本の教育の成果とはいったい何なのかと、頭を抱えてしまいます。
まぁ、当分教育の失敗の解決は難しいんでしょう。
さて、次は絶対にアウトプット出来ない病の人達用のマニュアル『優れた指標の作成方法』です。
心当たりのある方は、導入してみましょう。
・指標は少人数の個室の中で作らない
・指標は一度で完成させない
・その指標がどのような目標で作られ、どのような目標には使えないという『マニュアル』を数字に詳しい人に作ってもらう
・指標がどの程度アテになるのか、アテにならないのかも、数字に詳しい人に作ってもらう
通常、指標は改訂するに従って計算が複雑化します。
しかし、その甲斐あって指標はどんどん優れた物になるのが普通です。
全く違う経営形態の営業所を、超簡単な計算で作成した一つの指標でまとめて見るなど、とんでもない事をしていませんか?
一面的には正しくても、使い方を誤れば企業の利益を脅かす癌へと変わるのが指標です。
数字リテラシーというのか解りませんが、指標に対しては常に懐疑主義をもって接して欲しいと筆者は思います。




