【死体の上で世間話】
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♂2︰♀0︰不問1
お調子者の烏 ♂ セリフ数:7
冷静沈着な烏 ♂ セリフ数:7
ナレーション 不問 セリフ数:4
[あらすじ]《3分程度》
人の形をした死体を啄く彼等は人間達の話題に敏感である。それは生きる術であったり、暇潰しであったり様々だ。今日も今日とて、彼等は赤い月に見守られながら食事を楽しんでいた――。
【お調子者の烏】
動く死体っての見た事あるか?
【冷静沈着な烏】
何だそれは
【ナレーション】
死体を啄く彼は、毛繕いをする冷静な彼に話題を振った。地面に落ちた死体は既に腐敗が進んでおり、烏の他に蝿や蛆が湧いていた。
烏は不味い不味いと文句を言いながらも、その人の形をした何かを啄いていた。
【冷静沈着な烏】
動く死体とはまた酔狂な
【お調子者の烏】
人間共が言ってたんだ。最近この辺でガキが消えてるって。そのちょっと後で死体になって帰ってくるんだと
【冷静沈着な烏】
どういう原理なのだそれは。
【お調子者の烏】
さあな。実際にオイラも見た事はねぇし、お前ならあるかと思ったんだけど期待はずれだったしな。
【ナレーション】
お調子者の彼は粗方死体を啄き終わると、冷静な彼の隣へ飛び移って同じように毛繕いをする。
空はとっくに暗くなって赤い月を貼り付けている。ブーンと死体の周りを飛ぶ蝿を眺めながら、冷静な彼が口を開いた。
【冷静沈着な烏】
まぁ人間共がどうなろうと俺達は構いっこない。近頃は食料が少なくて死んだ人間を啄くしか無いが、それも二ヶ月と短い冬の間だけだ。
【お調子者の烏】
お前は相変わらずだなぁ。まぁいざとなったら住処を変えればいいしな。さて、そろそろ帰ろうぜ。
【冷静沈着な烏】
そうだな。・・・って、おい、あれは・・・
【お調子者の烏】
んぉ?
【ナレーション】
冷静な彼はお調子者の彼を引き留める。その視線は先程啄いていた、人の形をした死体に向けられていた。
腕が。
脚が。
既に無い眼球が。
ビクビクと痙攣して動いているではないか。冷静な彼も流石に驚いて動きを止める。お調子者の彼は大きく目を見開いて瞬きをした。
【冷静沈着な烏】
こりゃ驚いた。あれが動く死体か
【お調子者の烏】
な!? オイラの言った事ウソじゃなかったろ!
【冷静沈着な烏】
見ていて気分のいいものではないな。
【お調子者の烏】
ま、確かにぃ・・・。
【ナレーション】
ドロドロと血と血肉を撒き散らしながら、どこかへ向かっていく動く死体を眺める。
帰るか、と言った冷静な彼にお調子者の彼も賛同した。
飛び去って行く彼らを尻目に、動く死体が落とした血肉には、蝿が集っていたのだった。
STORY END.




