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三人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
44/48

*【声劇団体リュシエル⑦】

こちらの台本は性別指定がある台本ですので【鞠さん】は男性(男声)が演じて下さい。ご理解とご協力をお願い申し上げます。



台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀2:不問0


 (めぐみ)さん ♀ セリフ数:19

〈②が初登場。団長の娘で幹部。中堅の女の子達の良き相談相手。次期副団長の打診だしんがあったが断った〉


 lulu(るる)ちゃん ♀ セリフ数:21

〈新人の脚本担当。少し演技にも興味あり。その場で演者をつのるスタイルの配信に、お邪魔する事が多い。〉


 (まり)さん ♂ セリフ数:15

〈所謂“オネエ”と呼ばれる人。演技派VTuberとしても活動している。男役を演じるが、女役を演じたいとは思っていない〉


[あらすじ]《6分半程度》

 夏季上演(サマーコンサート)間近(まぢか)(ひか)えた、とある日の午前。団長の娘である(めぐみ)さんが稽古場(けいこば)へ向かうと、(ひざ)を抱えて泣きべそをかいている新人のlulu(るる)ちゃんを見つけました―――。












【恵さん】

 あら、可愛い顔がぐっちゃぐちゃね。藤郷(ふじさと)さんに怒鳴られた? それとも三好(みよし)に精神リンチされた?


【luluちゃん】

 どっちでもないですぅ〜〜〜! めぐみさん、聞いてくださいぃ〜〜!


【恵さん】

 はいはい、愚痴も演技も聞いてあげるから。鼻水くらいきなさい、あーあー、だらしないわね。


【luluちゃん】

 うぅ… (鼻をんで)


 昨日、若丈わかたけさんがゲリラ枠してたんです。般若はんにゃさんの『ハニカムタイルか、はにかむタイルか』りたい〜って。


【恵さん】

 ああ、そういやそんなのしてたわね。アーカイブ残すって書いてあったし、仕事だったしで聞いてないけど。それで、出たの?


【luluちゃん】

 出ましたよ、勿論もちろん若丈わかたけさんには、この前の定期配信でお世話になりましたし、『ハニはにか』は私も演りたかったですし。


【恵さん】

 良かったじゃない。なのに、何をそんなに不細工ぶさいくな顔して落ち込んでたの?


【luluちゃん】

 不細工じゃないです〜〜!


【鞠さん】

 luluるるちゃんが何って? 面白い話の予感ね。


【luluちゃん】

 なんにも面白くないですよぉ…。


 ってアレ、まりさんだ。夏季上演サマーコンサート出るんでしたっけ。


【鞠さん】

 出るわよぅ。羽田はねだちゃんの『ビードロの海からの手紙』。

 悪役ヴィランがしたかったのに、羽田はねだちゃんのご指名で主人公やる事になっちゃったから、練習しに来たの。


【luluちゃん】

 リュシエルがほこ文豪ぶんごうのご指名ですよ、贅沢ぜいたく言わないで下さい。


【鞠さん】

 あはは、それもそうだわね。羽田はねだちゃんとは同期だし、よく無茶も聞いてくれるから、つい忘れちゃうわっ。


 って違う違う。luluるるちゃんが泣きべそかいてる理由が知りたいのよぅ。


【恵さん】

 それ、今から聞き出す所だから、良かったら聞いてく?


【鞠さん】

 あ゛ら、何か悪いわねぇ。隣しつれ〜。

 で、何だったかしら。luluるるちゃんが不細工だって話?


【luluちゃん】

 全然違いますよ、もう! 良いです、じゃあこの際だから、とことんワタシの愚痴に付き合ってもらいます!


 まりさんは、昨日若丈(わかたけ)さんがゲリラ枠してたの知ってます?


【鞠さん】

 昨日〜? ああ、そう言えば修吉しゅうきちちゃんが何か言ってた気がするわ。わかちゃん、自枠じわくなんて滅多にしないのに珍しいぃ〜って思った記憶あるわ。


【luluちゃん】

 仕事が早く終わって、しかも明日、というか今日ですね。休みって言ってました。


 で、その若丈わかたけさんの枠で、般若はんにゃさんの『ハニカムタイルか、はにかむタイルか』を演ったって話です。


【恵さん】

 それ、メンツ誰だったの?


【luluちゃん】

 えーっと、音無おとなし役が若丈わかたけさん、永菓えいか役がミスごめさん、のき役がワタシ、名探偵役がオドレさんって男性の方です。若丈わかたけさんが敬語だったので、多分初見(しょけん)の人です。


【鞠さん】

 うっそ、ミスごめちゃん居たの〜!? あの子、アタシが劇誘っても用事あるって断るくせにぃ!

 …ま、明後日あさって劇するんだけどね。


【恵さん】

 するんかい。…って、今オドレって言った?


【luluちゃん】

(少し嫌そうに)

 えっ……めぐみさん、お知り合いですか?


【恵さん】

 いえ、全然知り合いじゃないけど。聞いた事ある名前だったから。…続けて。


【luluちゃん】

 はい…。


 それで、劇は無事に終わったんですけど…劇終わりの感想枠で、オドレって人が開口一番に言ったんです…、



 “やっぱりのきは自分の相棒の演技が一番ですね〜!”


 って…。


【鞠さん】

 う゛っわ、アタシの一番嫌いなタイプぅ。


【恵さん】

(完全に呆れ果てて)

 しょーもな。何そのダンゴムシの金玉みたいなくだらない男。


【luluちゃん】

 ………ダンゴムシって金玉あるんですかぁ…?


【恵さん】

 知らない。でも自分の役の出来でも、台本の内容でも、主催しゅさいへの感謝でもなく、いの一番にその言葉が出てくるのは、あんまりよろしく無いわね。


【鞠さん】

 っていうか何それ!? 言って良い事と悪い事の区別もつかないワケ!?

 自分の相棒をアゲたつもりかもしれないけど、少なくともその発言は、その相棒とやらがのきを演った時に言うべきだわよ!!


【luluちゃん】

 やっぱりおかしいのはその人ですよね…。一瞬、場が固まって…その後すぐに若丈わかたけさんがフォローに回ってくれたんですけど、そのオドレって人、最後まで私の演技には何も言ってくれなくて…。


【鞠さん】

 そんな男の感想なんて求めちゃ駄目よ! キィー! あーもー! 腹立ってきた! ちょっと後でアーカイブ聞いてくるわ! わかちゃんの事だから残してるでしょ!


【恵さん】

 ………。


【luluちゃん】

 めぐみさん? 急にスマホいじりだしてどうしたんですか。


【恵さん】

 …オドレ、オドレ…オ、ド、レ……


 あーね。どっかで聞いた事あると思ったら、去年辺りに問題になってた二次オリ台本の作者じゃない。


【鞠さん】

 ああ〜〜っ! なっつかし! あったわね、そんな事件! 二次オリ台本ってだけでも、まあまあなグレーゾーンなのに、収益しゅうえきつけて、何だったら課金アイテム強請ねだってたってヤツでしょ?


【恵さん】

 通報されてアカウントBANバン…いえ、凍結とうけつかしら? …まあ、ほとぼりが冷めるまで表には出てこなかったみたいだけど。


【鞠さん】

 演った子達は軒並のきなみ炎上しちゃって、転生とかアカウント削除とかで一気にフォロワー減ったわね。


【luluちゃん】

 …それ、団長から直々に関わるな、って言われてたやつですか?


【恵さん】

 そう、正解。


【luluちゃん】

 元々関わる気とか無かったですけど、こんな事なら、要注意人物としてチェックしておけば良かったです…。


【鞠さん】

 そんな事しても意味ないわよ。ソイツのせいで活動範囲(せば)めるよりも、もっと有意義ゆういぎな事があるもの。


【luluちゃん】

 有意義な事、ですか…?


【鞠さん】

 色んな劇に参加して、楽しく演じて、明朗めいろう快活かいかつに生きる事っ!


【luluちゃん】

 んー…?


【恵さん】

 ま、一時的にそういうやからに嫌な思いさせられたっていいの。


 忘れようとしなくて良いし、積極的に避けなくても良いの。


 ただ、luluるるちゃんは、luluるるちゃんなりに楽しんで生きていれば良いの。


 ふと気が付いた時には、ソイツの事なんて1ミリも覚えてないのよ。名前も声も、された事すら。


【luluちゃん】

 そういうもんですか…?


【恵さん】

 そう。そういうもん。声劇だけの話じゃないけれど。


【鞠さん】

 後でアーカイブは聞きに行くけど、そのオドレって奴、NGに入れとこうかしら。


【恵さん】

 良いんじゃない? 関わってもろくな事無さそうだし。


【luluちゃん】

(やっと一息つけた感じで)

 はぁ……。


 お二人に愚痴を言って良かったです…。昨日からずっとモヤモヤしっぱなしで、配信内では若丈わかたけさんも、ミスごめさんもフォローして下さったし、何だったら配信終わった後に、配信見てた九門くもん君から心配DM貰ったんですけど…。


 今日のお稽古けいこうわそらでやる所でした…。


【恵さん】

 そういや、サマコンで脚本デビューなんだっけ? おめでと。


【luluちゃん】

(照れたように)

 ありがとうございます…。


 大江都おおえど君の台本にはまだまだおよびませんけど、全力で書いたので。

 楽しみにしてて下さい! こうなったら、とことん私なりに楽しく生きてやりますから!


【鞠さん】

 良いわねぇ、若いって。まぶしいわあ。


【恵さん】

 ほんと。私達も負けてられないわね。




















STORY END.

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