【犬も神も食わぬ】
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♂1:♀1:不問1
赤い唇のお姉様 ♀ セリフ数:10
甘い香りの青年 ♂ セリフ数:16
メガネをかけた研究者 不問 セリフ数:13
[あらすじ]《5分程度》
ドンパチやってる戦地の端っこにて。『関係者以外立入禁止』と雑に書かれた看板が掲げられたテントの中には、書類整理する研究者とそれを眺める青年が居た―――。
【甘い香りの青年】
ジャックスとキリストって同じ存在っぽくないですか。
【メガネをかけた研究者】
神に喧嘩を売るつもりか。勝ち目ないぞ。
【甘い香りの青年】
いやいや、喧嘩じゃないっすよ。別にキリストの存在を乗っ取りたい訳じゃないっすもん。ただ、同列に並ぶくらいにはなるんじゃないかな〜っと。
【メガネをかけた研究者】
それが喧嘩を売ってると云うんだ。
大体ジャックスを神と喩えるな。肯定派すら全力で首を振るぞ。
【甘い香りの青年】
縦に?
【メガネをかけた研究者】
(苛立ったように)
…横に。
【甘い香りの青年】
世間は甘くないなぁ。
あ、そぉだ。話は変わるんすけど、ウチから他所に異動したいっつってるメンバーが居るんすって。
【メガネをかけた研究者】
異動? 理由は?
【赤い唇のお姉様】
そんなのぉ、厳し〜ぃ訓練に耐えられなくなったからに決まってるじゃなぁい。
【メガネをかけた研究者】
おい、撓垂れてくるな。鬱陶しい。
厳しい? ウチの訓練がか? なら本土の方へ送りつけてやれ。ものの三日程度で、戻してくれと泣きついてくるぞ。
【赤い唇のお姉様】
あらやだ、こっわ〜い。
良いじゃない、異動させてあげれば。やる気の無い子達のやる気を上げるより、やる気のある子達を育てる方が楽しいわよぅ?
【甘い香りの青年】
ま、今んとこ本気で考えてるって訳じゃなさそうなんで、様子見って所っすかねぇ。
それより随分早いお帰りっすね。南西地区は制覇したんすか?
【赤い唇のお姉様】
まだよぉ。だってジャックスが「マテ」って言うからぁ。敵もご褒美もお預けなの。
【甘い香りの青年】
可哀想っすねぇ。それじゃあ不完全燃焼なんじゃないっすか。
…あ、ちょっと待つっす。その刃こっち向けないで。
【メガネをかけた研究者】
おい、ここで戯れるな。血を流すつもりなら他所でやれ。
【赤い唇のお姉様】
やだ、冗談よぅ。相変わらず頭カッタイんだから〜。
不完全燃焼だけどぉ、ジャックスの「マテ」を破ってまで、暴れるつもりはないわよぅ?
【甘い香りの青年】
ならいいんすけどぉ。
【メガネをかけた研究者】
おい、暇ならジャックスに届けもんでもしろ。春まで待つと言ったくせに突然、この戦争中に片せと急かしてきた資料だ。濡らすなよ。
【赤い唇のお姉様】
あらぁ、さっき別れたばっかりなのにぃ。今どの辺かしらぁ? 初陣を見届けてくる予定って言ってたし、森林地区ぅ?
【甘い香りの青年】
負け知らずのジャックスらしい予定っすけど、こんな大した事ない戦争の初陣見届けるとか、面倒見が良いのも考え物っすね。
【メガネをかけた研究者】
その面倒見の良さがあったから、お前は今ここに居るんだろうが。
(合点がいって)
………嗚呼、ソレが自分以外に向いているのが気に入らない訳か。ガキだな。
【甘い香りの青年】
う、うるせぇっすよ!
【赤い唇のお姉様】
あ、そぉだ。おとぉと君? ブラコンも良いけど、もう少し静かに生きた方が賢明よぅ?
【甘い香りの青年】
あ? 何の話っすか。
【赤い唇のお姉様】
“ジャックスの血の繋がった弟”君。その肩書きはとぉっても魅力的だし、身体中の殺意が燃え滾ってしまうけれどぉ、アタシは理性があるから耐えてあげてるの。
でもぉ……、理性も無くて、倫理観も無くて、後先考えないお猿さん達はどうかしらねぇ……って話ぃ。
【甘い香りの青年】
(何とも言えない顔をして)
………オレを殺したら、ジャックスはブッ壊れますけどね。
【メガネをかけた研究者】
ブッ壊れた事を悦びに変える信者も居るぞ。………ワタシの事じゃないがな。
【赤い唇のお姉様】
(手を叩いて)
ま、とにかくぅ。
アタシは守ってあげないし、報酬も無しにおとぉと君を守りたがるお人好しは、この組織には居ないからぁ、このまま目立って死ぬか、目立たず生き延びるか、選びなさいな。
【甘い香りの青年】
目立って生き延びる術は〜……無いんすねぇ。世知辛え〜…。
まあ、あのクソみたいな家から連れ出してくれただけで、オレにとっては万々歳ですから。
目立たずに地味〜に生きるのがジャックスの為になるんなら、喜んでそう生きるっすよ。
【赤い唇のお姉様】
んふふぅ。素直な子はお姉さん大好きよぅ?
【甘い香りの青年】
お生憎。オレはジャックスしか愛せません。
【赤い唇のお姉様】
んふ、ア・タ・シ・も。
じゃ、ささっと届けてくるわねぇ。
【メガネをかけた研究者】
…………。
…………。
……そんな顔するくらいなら“オレも好きです”とでも言い返してやれば良かっただろ。
【甘い香りの青年】
…簡単に言いますけどね、彼女はオレの事、“ジャックスの弟”としか見てないんすよ。
(段々早口になって)
というか、あの話の流れで“オレも”って返すのは、どう考えたってオカシイっすよ。
そもそも、オレは別に彼女を好きとかそんなんじゃないし、彼女の“自由に逝きたい”って気持ちを蔑ろにも出来ないし、ジャックスを愛してるのは本当ですし、嘘はついてないっす。
というか! そんなハナシした事ないっすよね!? どこで分かっ…いや、どこでそんな風に感じ取ったんすか!?
【メガネをかけた研究者】
見てりゃあ分かる。
【甘い香りの青年】
ええ…こわぁ…。
ジャックス程じゃないですけど、これでもオレ、ポーカーフェイスには自信あるんすけど。
【メガネをかけた研究者】
知るか。…あの女を物にしたいんなら、“守られている”ようじゃ、話にならんな。
【甘い香りの青年】
だから違いますって!
【メガネをかけた研究者】
言ってろ、青二才。
STORY END.




