表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
41/48

【宝石回路〜彼女と御名の戯れ〜】

台本タイトルは

【ジュエリーコード〜かのじょとみなのたわむれ〜】と読みます。


宝石回路シリーズ 第九話


台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀1:不問1


 アテナ・ヘリオドール ♀ セリフ数:18

〈暗殺隊隊長。嫌いなものは嫌い。だけれど、生きている限りそういうものがあっても仕方ないと思っている〉


 アスクレピオス 不問 セリフ数:23

〈医療団団長。いつの間にか宝石回路(ジュエリーコード)に居た。知的ちてき生命体を解剖かいぼうする趣味がある〉


 イクシオン・ラブラドライト ♂ セリフ数:11

〈暗殺隊副隊長。気分屋な隊長の代わりに隊をまとめる事が多い。クロノスの代から宝石回路(ジュエリーコード)在籍ざいせきしている〉


[あらすじ]《8分程度》

 彼は。自分の世界が欲しかった。誰にも。邪魔をされない世界。うばって。作り上げたはずのそれは。かつてあこがれた。手の届かない存在に。奪われ。壊され。そして―――。














【イクシオンN】

 ゼウスはすべてをすくおうとした。


 無理だ? 幻想げんそうだ? いいや、そんな伽話とぎばなしを、いとも簡単にやってのけてしまうのが、彼であったからか、誰も、何一つ、反対などしなかった。


 だから驚いたのだ。

 “救えなかった”。そう言って血を吐く勢いで慟哭どうこくするゼウスに。


 あのゼウスが?

 ぜん統治者とうちしゃなど眼中がんちゅうにも無いような振る舞いをして、

 宝石回路(ジュエリーコード)のメンバーの願いを順に叶え、

 吾々(われわれ)を馬鹿げた宗教しゅうきょうだと笑い飛ばした政府連中を地の底へ落とし、


 あの、


 ウラノス・ダイヤモンドすらもほふった吾らの神が、“失敗”などあり得ない。

 だが、それは本当で、くつがえりようもない事実で。

 耳をふさいで、目をおおって、見ない振りをしたかったけれど、その“失敗”を誰よりも受け止めたのは、他でもないゼウスだったから。


 だから吾らも、いつか昇華しょうか出来るよう、その“黒歴史”を共にかかえていくとちかったのだ。


 だからこそ。


 それをさらそうとする奴らを、吾らは決して許しはしない。
































【アテナ】

 まだ動いちゃ駄目みたいだしぃ、あの基地きちぶっ壊しちゃっていいよねぇ。


【アスクレピオス】

 勝手に動いて、勝手に死ぬなら好きにしろ。ワタシは止めないし、治さないがな。


【アテナ】

 うっげぇぇ。聞いてたのかよ、ヤブぅ。


【アスクレピオス】

 お前の娘の片割かたわれ。その下半身をつなぎ合わせてやったのは誰だと思ってる。


【アテナ】

 ふふん、それはそれぇ。これはこれぇ。

 感謝はしてるけどぉ、それを継続けいぞくさせるほどのおんは感じてな〜い。


【アスクレピオス】

 ………。まあ、お前に感謝されずとも構わないがな。


 それよか、ソチラの神様は元気か。


【アテナ】

 はぁ? “ソチラ”って何の話ぃ? くだらない話を始めようってんなら、その頭潰してあげてもいいよぉ?


【アスクレピオス】

 ふっ、しらばっくれ方がアイツにそっくりだ。……ソチラでは『メルクリウス』とでも呼ばれている、アイツのね。


【アテナ】

 はぁ………っ!? 何でお前(ごと)きがその名前知って………!!


(自分の失言しつげんに気が付いて)

 、あ……!?


【アスクレピオス】

 くく、はははははっ!! 馬鹿は、やはり馬鹿だな。知らない振りをしていればいいものを。自分の“知っている話”を他人に教えたくてたまらないんだろう?


 くく、『馬鹿』とは自分の発言が相手にどう作用さようするかなど、さして考えもしない生き物だからな。


【アテナ】

 …………お前、何者?


【アスクレピオス】

 ただの『アスクレピオス』だ。


【アテナ】

 …コッチの話してんじゃねぇ……!

 アッチのお前は誰だって聞いてんだ!! あンの忌々(いまいま)しい男も知れなかった、来れなかったアッチを、何でお前は知ってんだって聞いてんだよ!!


【アスクレピオス】

 ふむ、後半は聞かれてなかったと思うがな。まあいい。一つずつ教えてやろう。


 アチラ側にはな、ワタシと同一どういつの存在は居ないのだ。


【アテナ】

 ………は? そんな事あっていい訳ぇ………? 同一が、居ない…?


【アスクレピオス】

 まあ、ワタシと同じ役割の奴は居るがな。

 ワタシのついであり、ワタシの裏面りめんは存在しない。…馬鹿には少し、分かりづらかったかな?


 次の質問に答えよう、何故なぜアチラを知っているか、だったな。

 叔父おじが教えてくれたのさ。ぜんあく区別くべつもつかぬ小さな頃にな。


【アテナ】

 ………。


 じゃあ、『アスクレピオス』。


 お前らにとっての『クロノス』って何ぃ?


【アスクレピオス】

 父の愛を望み、父の世界をほっした、あわれで、おろかな、世界の均衡きんこうみだした者。


【アテナ】

 ………じゃあ、『い子』は?


【アスクレピオス】

 すくいからこぼれた者。…いや、そもそも彼女は“救い”など欲してなかった。

 すべてを掬おうとした、勘違かんちが野郎やろうけられた、唯一ゆいいつ


【アテナ】

 …ふ〜ん、大体分かったぁ。


 じゃあこれが最後の質問(しつも〜ん)


 『メルクリウス』はぁ〜?


【アスクレピオス】

(ニヤリと笑って)

 我らの敵。


【アテナ】

 そっかぁ♡ じゃあ〜♡


一切いっさいの感情を無くして)

 死んで。




【イクシオン】

 ……お前が『馬鹿』で良かった、アテナ・ヘリオドール。


【アテナ】

(後ろから胸を貫通かんつうするナイフを見て)

 ア゜…………………? ぐ、ぅ……?


(血を吐いて)

 ぐげぼぉ………!! テ、メェ………! イクシ、オオォォォォンンン!!!!!!


【イクシオン】

 おかしいな、確かにかくは潰したはずだが。まだ動けるのか。


【アスクレピオス】

 間に合ってくれて良かった。

 ワタシ、戦闘はからきしだからな。


【イクシオン】

 お前諸共(もろとも)串刺くしざしにしたかったが、半歩はんぽ分足りなかったな。


【アスクレピオス】

 おお、怖い怖い。


【アテナ】

(苦しみながら)

 て、めぇ…ら!! 最初っから組んでたって訳ぇ…!? いつもと、変わらねえ任務にんむだってのに……! ぐ、ぅぅ……! お前が着いてくるっつった時点で……! おかしいと思うべ、き…だった…!!


【アスクレピオス】

 おや、まだ生きてる。お前の核は胸にあると、アルテミスが教えてくれたんだが…、誤情報ごじょうほうだったか?


【アテナ】

 は………? なん、で、アル、テミ、ス……?


【アスクレピオス】

(首をかしげていたが、合点がてんがいって)

 ………? ……ああ!


 お前は知らなかったなぁ、そう言えば。

 そうかそうか。知らなかったか。元はと言えば、お前がいたタネなのに。


【イクシオン】

 おい、あまり近付くなよ。


 お前に怪我をさせるとアイツが五月蝿うるさい。


【アスクレピオス】

 これは失礼。

 叔父おじはワタシに甘いからな。

 いや、ワタシが死ぬと生き返った自分も死んでしまうから、かもしれないが。


【アテナ】

 おい!!! ぐ、ぁぁ……! 言え、よ……ッ! アルテ、ミスが…!! なんッなんだよッッ!!


【アスクレピオス】

 ふふ、まあそうくな。

 この情報は冥土めいど土産みやげにしてやろうな。


ささやくように)

 アルテミスはな、自分の名の本当の意味を知っているぞ。


【アテナ】

 は…………ッ!?


【アスクレピオス】

 知った上で、誰に味方すべきかも、ちゃんと分かっている。


 名前というのはな、アテナ。“たましい”なのだ。この世界を生きていく中で、せめてすがれるようにという意味を込めて付けるモノなのだ。

 世界中が敵になっても、暗闇くらやみで一生を終える事になっても、名があればワタシ達“ウヴラ”は生きていける。すがれる場所があるのだから。


 それをお前は潰したんだ。自分の都合をアルテミスに押し付けて、素知そしらぬ振りをしたんだ。


 アテナ、お前は自分の『馬鹿』のせいで死ぬんだ。


 大丈夫。お前の可愛いアポローンとアルテミスは、ワタシが面倒を見てやるよ。


【アテナ】

 あ、あ、あ、…ちが、う…ちがうちがうちがう、ちが、……………ぁ。


【イクシオン】

 ……やっと死んだか。しぶとかったな。


【アスクレピオス】

 ………………。


【イクシオン】

 最後のアレは、説教か?


【アスクレピオス】

 …そんな、慈愛じあいに満ちたものではないさ。


(一気に空気を変えて)

 ところでこの死骸しがいくれるんだろう?


【イクシオン】

 そんなモノの何が良いかは知らんが、欲しいのならくれてやる。痕跡こんせきは残すなよ。


【アスクレピオス】

 誰に言ってるんだ。医療いりょうだん団長のアスクレピオスだぞ。


 核がつぶされても、即死そくししなかった貴重な個体だ。趣味がはかどる。


【イクシオン】

 …悪趣味め。


 ……5日後に帰還きかんだ。それまでにお前の叔父おじに伝えておけ。


【アスクレピオス】

 何を?


【イクシオン】

 『メルクリウス』殺害までは協力するが、それ以降は関与かんよしない、と。


【アスクレピオス】

 はははっ、モチロン。最初からそのつもりだ。


【イクシオン】

 なら、いい。

















STORY END.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ