【宝石回路〜彼は神になれない〜】
台本タイトルは【ジュエリーコード〜かれはかみになれない〜】と読みます。
宝石回路シリーズ 第八話
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♂0:♀2:不問1
プロメテウス・マラカイト 不問 セリフ数:21
〈魔導隊隊長。宝石回路の中では最年長。輪から離れて、静かに現状を見つめている。が、そろそろ動こうと思っている〉
メドゥーサ・オニキス ♀ セリフ数:12
〈情報司令部副部長補佐。オニキス三姉妹の末っ子。ほわほわしていて掴み難い性格をしている。アテナが苦手〉
ヘスティア・ダイヤモンド ♀ セリフ数:18
〈騎空軍副軍長。鼻と耳がとても良い。あまり宝石回路の基地には出向かない。家族に愛されている自覚がある〉
[あらすじ]《9分程度》
どうしても決まらない。最後の“ハルモニア”の科白が。裏切り者の“ハデス”を殺した後、何と言わせればいいものか。宝石回路を待っている読者は山ほど居るというのに。
ああ、書籍化なんてするんじゃなかったな―――。
【ヘスティアN】
僕が生まれた日。
母様は安堵して、泣いた。
生まれてきてくれただけでも幸福だと。
ハデス兄様は歩き方を教えてくれて、ポセイドン兄様は喋り方を教えてくれた。
デメテル姉様は怪我をする僕を、よく治癒してくれた。
家族以外のダイヤモンドは、僕の事を恥曝しだとか、失敗作だとか言っていたけれど、そんな声は父様が跳ね除けた。
僕は家族に愛されている。
喋り方と歩き方を覚え始めた頃、弟が生まれた。
父様が怒った。あれだけ尽くしてやったのに、と怒った。それにどんな意味が含まれているのかは分からなかったけれど、怒った父様は怖かった。
母様は弟を必死に隠したけれど、そんなの意味がないくらいに父様は母様を罵倒し続けた。
ポセイドン兄様は、放置を決め込んで、いつの間にかアンピトリテ義姉様と結婚してた。
デメテル姉様はその時、花嫁修業と称して家には居なかったから、よくは知らないけれど、頻繁に来ていた連絡は、パッタリ途絶えた。
弟が生まれて、何かが変わった。
どこかのダイヤモンドは終わり始めた、と言ったけれど、生まれたての欠片に何が出来るというのだろう。
世界のアレコレを聞かれたって、僕には何にも分からない。
それが、父様のせいと言われても、弟のせいと言われても、違うと思う、としか言えない。
ただ、一つだけ明確に分かる事は、
僕の弟、ゼウス・ダイヤモンドも、僕、ヘスティア・ダイヤモンドを愛してくれているって事だ。
✼
【メドゥーサ】
あーあ、また失敗です。プロメテウス様ぁ、まだやるんですぅ? これ以上は勘付かれちゃうですぅ。
【プロメテウス】
…だって気になるじゃないか。
好奇心というのは、いくつになったって芽生えるものさ。
【メドゥーサ】
その好奇心、是非枯れ腐って下さいですぅ。
そもそもプロメテウス様、傍観派だったじゃないです? いつから過激派に転身したんです?
【プロメテウス】
…どうにも眺めているだけだと真意が分からなくてね。
ハデスもデメテルもダイヤモンドだっていうのに情けない、すっかり騙されている。
【メドゥーサ】
そこにペルセポネー先輩やアンピトリテ様が居ないのは…アレです? 枝分かれだからです?
【プロメテウス】
いいや。私の好みさ。
【ヘスティア】
僕の家族の悪口? そういうの良くないと思う。
【プロメテウス】
おはよう、ヘスティア。…疲れているね。
【ヘスティア】
デメテル姉様が軽い癇癪を起こした。
今はポセイドン兄様も居ないし、ハデス兄様は『あの本』にご執心だから。
【プロメテウス】
おや、見た事あるのかい?
【ヘスティア】
見た事はない。でも、すごく嫌な感じがした。父様の時と同じ匂い。
【プロメテウス】
……………………。
【メドゥーサ】
ヘスティア先輩ぃ。プロメテウス様が僕ちんの事いじめるんですぅ。
副軍長として、がっつーんと言ってやるです!
【ヘスティア】
? プロメテウスは騎空軍所属じゃない。それに僕が言ったところで意味は無い。
それより、“見た”?
【メドゥーサ】
それはもうバッチシですぅ。
まるで最初っから、そこで生きてるみたいに紛れ込んでたです、あの“異分子”。
【ヘスティア】
……そう。
【プロメテウス】
相変わらず、お前には映らないんだね。
【ヘスティア】
その“異分子”、何の匂いもしない。何の音も聞こえない。
みんなが『居る』と言ったところで、僕にとっては『居ない』まま。
だけれど、そのお陰でソレが“異分子”だと気付けたんだから感謝して欲しい。
【プロメテウス】
ああ、勿論。感謝しているよ。皆がおかしい、と真っ先に伝えに来た相手が私だった事も、お前が有能だったからさ。
それに…アレがよく目に入るようになってから、何もかも都合が良い。
【メドゥーサ】
…、ですです。
まるで世界が宝石回路の都合に合わせてくれてるみたいです。
でもそんなの、オカシイです。
ハデス様も、ハルモニア様も、どーしてこんな簡単な事に気付かないんです?
【プロメテウス】
気が付かないものさ。
もうアレは、ハデス達の記憶に“当たり前”として存在している。こちらに侵食してくるのも時間の問題だろう。
【ヘスティア】
…………僕にも?
【プロメテウス】
私達よりは遅いだろうけどね。
だから、誰が敵なのか、明確な考えをまとめておきたいんだ。
…メドゥーサ。
【メドゥーサ】
ハイです。
まず、今ハデス様が所持している『あの本』………災いの書についてでーす。
分かっている事は、この世とは異なる次元で作られた、と言う事。
そして、それを書き写したのがウラノス・ダイヤモンドと言う事。
そして、災いの書の世界に魅入られ、この世界を作り変えようとしたのが、クロノス・ダイヤモンドと言う事、でーす。
【プロメテウス】
一体全体どうやってウラノスが、本を見つけたのかまでは分かっていないがね。
ヘスティア、如何見る?
【ヘスティア】
(独り言のように)
ハデス兄様の持ってる災いの書はお祖父様が写したもの?
だったら、ダイヤモンドが魅入られるのは当然かも。お祖父様はダイヤモンドの祖の血を、濃く継いでいたらしいから。
…それに…父様がしようとしてた事、してしまった事、それらが誰の目に映っても「悪」だったなら、世界はこんなに拗れていないはず。
【プロメテウス】
…なるほど、そうなると…彼は後にダイヤモンドの誰かが、自分が写した本を見つける事を想定していた可能性が高いな。
…ただ、それをクロノスが見つけるとは思ってなかったと思うがね。
ウラノスは数居る子供達の中でも、クロノスの名を出した事は、ついぞ無かったからな。
【メドゥーサ】
クロノス・ダイヤモンドがダイヤモンドの中でも特段目立つ子じゃなかったというのは、有名な話です。
宝石回路設立の際には、かなりの反対意見を押し切ったって話も聞いたですぅ。
【ヘスティア】
確かに父様は特別じゃなかった。小さい頃はよく分からなかったけど、今ならハッキリと分かる。
父様の能力と、父様の肩書きは、全くと言っていいほど釣り合ってない。
【プロメテウス】
…だが、当時の宝石回路内には不思議な事に、クロノスを慕っていた者が多かった記憶がある。
エウロペやフォボスが良い例だ。
当時は奇特な奴も居たもんだ、と思っていたが、それも何らかの理由があるのかもしれないね。
【ヘスティア】
父様が、慕われていた理由……。
【プロメテウス】
ところでメドゥーサ。
もう一つ、調べてもらっていたよね? そちらは如何?
【メドゥーサ】
あ〜っと、現在コールドスリープしている、アイギスについてです? まとまってるです。
【ヘスティア】
アイギス…、ゼウスが消えてからずっと眠っているっていう…あの?
【プロメテウス】
ああ、ヘスティアは会ったことなかったかい。
【ヘスティア】
僕、ほとんど基地に出向いた事ないし、任務なら現地に直接行けばいい。
【メドゥーサ】
ヘスティア先輩のそういうとこ、ストイックで格好良いですぅ。
あ、そうそう。まとめていたアイギスの件で、二点気になる事があるです。
一点は、コールドスリープログの一部が消去されていた事。
こちらは現在、エウリュアレー姉さんに解析してもらってるです。
もう一点は、アイギスのマイルームが例の“異分子”によって、“存在していなかった事”になっている事。
こちらも現在、僕ちんのペットに探ってもらってるです。
【プロメテウス】
ここで関わってくるか、あの“片割れ”。
【ヘスティア】
……敵確定?
【プロメテウス】
黒に限りなく近いグレー、だな。
…そうだ、ヘスティア。
暫くは基地にいるだろう? 探してみたら如何かな?
【ヘスティア】
探す…………その“異分子”?
【プロメテウス】
そう。
【メドゥーサ】
もし会いに行くなら、事情の知らない、だけどもう入り込まれてる子と一緒が良いです。
ヘスティア先輩からして、その“異分子”が何の音も匂いもさせてないなら、見つけるのは至難です。
僕ちんが付いていきたいけど、変に歩き回って、くそアテナに見つかると厄介です。
【ヘスティア】
…分かった、探してみる。
次、また無事に会えるか分からない。
二人とも油断しないで。
【プロメテウス】
勿論だとも。
【メドゥーサ】
ヘスティア先輩、貴重なご意見ありがとうです!
【ヘスティア】
…あ、プロメテウス。
【プロメテウス】
ん? 何かな?
【ヘスティア】
その“異分子”、名前は何だっけ。
【プロメテウス】
…………。
ヘルメース…。
ヘルメース・アクアマリンだよ。
STORY END.




