【戦陣で課すべき事】
台本タイトルは【せんじんでかすべきこと】と読みます。
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂2:♀1:不問0
自信喪失しそうな後輩 ♂ セリフ数:9
煙草を吸う先輩 ♂ セリフ数:9
眼鏡をかけた秘書 ♀ セリフ数:9
[あらすじ]《2分半程度》
とある戦地にて。戦意の無い敵陣を眺めながら、後輩はポツリと呟く。“僕の指示で…今日は3人死にました”―――。
【煙草を吸う先輩】
……あー…、特にお前を慕ってた連中だったな。
【眼鏡をかけた秘書】
…デリカシーを忘れ過ぎです。
【煙草を吸う先輩】
あー? わざわざ口に出すって事ァ、“責めてほしい”って事だろ?
【眼鏡をかけた秘書】
貴方に問い掛けた訳でもなかったでしょう。“責められたい”、“慰められたい”なんて感情で動く子ではないですから。
【自信喪失しそうな後輩】
……悲しげな独り言でコントしないで下さい。
【眼鏡をかけた秘書】
していません。
で、3人死にました。それが何です?
【煙草を吸う先輩】
お前もどっこいどっこいでデリカシー忘れてんよ。
【自信喪失しそうな後輩】
戦いの中で死ぬのは、仕方のない事です。それが、戦争ですから。
だけれど指示さえ間違わなければ、今も僕の部隊にはあの3人が居たんです。
【眼鏡をかけた秘書】
そうですね。
大して強くもない戦士でしたけれど、伸び代はありましたから。残念ですけどね。
【煙草を吸う先輩】
まっ、心臓一突きと首ちょんぱ。
即死モンだし、苦しまずには逝けたろ。
【自信喪失しそうな後輩】
…どうしたら、そんな風に割り切れますか…。
【煙草を吸う先輩】
割り切る? 悲しんでねーって言いたいのか?
【自信喪失しそうな後輩】
いや…まあ、ぶっちゃけそう見えますけど…。でもその、悲しみを引き摺らないように、するにはどうしたらいいっすかね…。
【眼鏡をかけた秘書】
(ハッキリと)
…貴方の部下は死にました。その事実は変わりません。でも、貴方は生きています。
私は生きています。
この阿呆も生きています。
それだけです。
【煙草を吸う先輩】
簡潔過ぎてワケワカメなんだよなぁ。
まあ、さっきお前が言ったじゃねーかよ。戦いの中で死ぬのは、仕方ねえんだって。
それが自分の判断だろうが、ミスだろうが、上官の指示だろうが。
仕方ねえ事、ウジウジ言っててもしゃーねーだろ。
【自信喪失しそうな後輩】
(眉を顰めて)
………っ
【煙草を吸う先輩】
ふはっ、難しい顔してんなァ。
【眼鏡をかけた秘書】
…戦場で生き残った者だけが死者を弔えます。
今は、それで良いのではないでしょうか。
【自信喪失しそうな後輩】
僕の指示で、殺したとしても…ですか…っ
【眼鏡をかけた秘書】
彼らを殺したのは、敵です。
貴方ではありません。
【自信喪失しそうな後輩】
……………………。
【煙草を吸う先輩】
(煙を吐いて)
ほら、呼んでるぞ。
【自信喪失しそうな後輩】
……!
【眼鏡をかけた秘書】
自信を完全に失くすのは、彼らを全て喪ってからでどうぞ。
まあ当分、悲しんでいる暇はありませんね。
【自信喪失しそうな後輩】
っ、そうっ…すね…。
【煙草を吸う先輩】
ふはは、アオイねぇ。
【眼鏡をかけた秘書】
青春のセの字もありませんけどね。
STORY END.




