【宝石回路〜神は光を覗く〜】
台本タイトルは【ジュエリーコード〜かみはひかりをのぞく〜】と読みます。
宝石回路シリーズ 第七話
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂0:♀1:不問2
ハデス・ダイヤモンド 不問 セリフ数:21
〈現在の宝石回路のリーダー的存在。杭と呼ばれる無性のウヴラ。双子の弟が居る〉
ハルモニア・トパーズ ♀ セリフ数:19
〈現在の宝石回路では二番目に長生き。故にたくさん死を見てきたけれど、そういうものだと思っている〉
ヘルメース・アクアマリン 不問 セリフ数:9
〈宝石回路に入った頃は目立たない子だった。甥っ子は姉の忘れ形見で、目に入れても痛くないほど可愛がっていた〉
[あらすじ]《6分程度》
ぶつん、と。乱暴に切れた通話にハデスと、側に控えていたハルモニアは溜め息を零す。
分かっていた事だけれど、やはり。喪った欠片に涙が出てしまいそうだった―――。
【ヘルメースN】
あの御方は、特別になりたかったそうなのです。
あの御方は、“主人公”になりたかったそうなのです。
ですから、特別になる為に、主人公になる為に、たくさんの努力をしてきたそうなのです。
何処かに打ち棄てられた不幸な双子を拾いました。
戦う才も、冴える頭脳も無い女を拾いました。
特別になれるように、主人公になる為に、反吐が出るような善き行いをたくさんしました。
だけれど、特別にも、主人公にもなれなかったそうなのです。
あの御方は、絶望したそうです。
いつしか、拾った双子の事も、女の事も、忘れてしまったそうで、
だけれど、双子の片割れも、女も、決して諦めませんでした。
双子の片割れも、女も、自分達があの御方に利用されたことなど露知らず、
あの御方が、蘇る事を望んでいるそうなのです。
✼
【ハルモニア】
……………。
【ハデス】
……………。
【ハルモニア】
(長く深いため息を吐いて)
【ハデス】
……………………………。
【ハルモニア】
ハデス。
【ハデス】
…何か、不満があったかな。
【ハルモニア】
(怒りも悲しみもなく)
不満? あるさ。数え切れないほど、たくさん。
…けれど、それをぶつける相手がお前でない事ぐらい分かっているからね。
だが、…どうにかならなかったものか。
【ハデス】
…ボクだってどうにかしたかったけどな、…この広い宇宙にはどうにもならない事の方が多いのさ。
【ハルモニア】
……そんな事、お前より知っている。
【ハデス】
…『コイオスは死んだ。フォイべの腕の中で、ルビーのような色の血に染まりながら。
だけれど、これは終章。もう誰一人、喪われる事は無い』
【ハルモニア】
(嫌悪感たっぷりに)
…ソレ、ドコから?
【ハデス】
父の書斎から。
ああ、本をどこからという意味ならだがね。
【ハルモニア】
(少し呆れて)
…お前、…クロノスに似てきたね。
【ハデス】
うぇ、その冗談、全くもって笑えないな。
ところで、ハルモニア。もうボクの事は『ゼウスくんの兄』とは呼んでくれないのかな?
【ハルモニア】
…もう呼ばないよ、…少なくとも『その本』を持っているお前はね。
【ハデス】
…ふ、残念。
【ハルモニア】
(ため息をついて、空気を変えて)
…さあ、ハデス。この終焉を始めたのはお前だ。
ボクも出来得る限り協力はする。
【ハデス】
宝石回路設立当初から特攻軍長を務めるおヒトからの協力とは、心強いね。
【ハルモニア】
お前はあの時、ボクには何も言わなかっただろう?
だから―――、
【ヘルメース】
……すみません、ハデス・ダイヤモンドはいらっしゃいますか。
【ハデス】
ああ、居るよ。ヘルメース。今手が空かないから入ってきてくれ。
【ヘルメース】
失礼致します。…おや、ハルモニア・トパーズも居ましたか。
(重たい空気を感じて)
………? 取り込み中でしたか、出直しましょうか。
【ハデス】
いや、大丈夫。それより何用かな。
【ヘルメース】
イクシオン・ラブラドライトより伝言です。
彼の者の息が掛かった偵察部隊を撃破する事に成功、本部隊はこれより証拠隠蔽の為、通信を遮断する。
との事です。政府にはまだ勘付かれておりません。
【ハデス】
うーん、さすが暗殺隊の副隊長様。お仕事が早いね。
通信再開はいつ頃?
【ヘルメース】
恐らく数日は隠蔽に走る事になるかと。
彼の者は鼻がよく利きますから。
【ハルモニア】
ヘルメース、そろそろこちらも仕事が欲しくなってきたよ。
【ヘルメース】
もう暫くお待ち下さい。
コイオス・ルビーの返事待ちですので。
【ハルモニア】
(努めて冷静な声色で)
…………ああ、そうか。そりゃあ難儀だね。
【ハデス】
………………。
【ヘルメース】
貴方からも言って下さい、ハルモニア・トパーズ。送った通信を見もしないで、飽きずに酒浸りになるのはお辞めくださいと。
コイオス・ルビーの酒好きは今に始まった事ではございませんが、仕事の連絡が滞るのは困りますから。
【ハルモニア】
…ああ、そうだな。会う事があれば、言っておくよ。
【ヘルメース】
宜しくお願い致します。
連絡事項は以上です。そちらは何かございますか?
【ハデス】
いいや、大丈夫。ご苦労だったね。
キミも働き詰めだろう? 疲れたら遠慮なく休むんだよ。
【ヘルメース】
ご配慮感謝致します。
では、失礼します。
【ハデス】
(ヘルメースが出て行ってから暫く経ってから)
……さぁ、ハルモニア。
キミに“オツカイ”を頼みたいんだが。
【ハルモニア】
…はいはい、ボクに出来る事なら。
【ハデス】
ボクの妹…ヘスティアを呼んできてくれないかい。
【ハルモニア】
……? ボクに? ヘルメースに頼めば良かったんじゃないか?
【ハデス】
…いいや、あの子には…。
まあ、とりあえず頼むよ。
【ハルモニア】
(鼻息を吐いて)
…分かったよ。
―――ああ、そうだ。ハデス。
【ハデス】
何だい?
【ハルモニア】
あまり『その本』に魅入られるな。
『その本』はカイロスが死ぬ原因だった。
あの男が、カイロスを『裏切り者』と呼んだ発端だった。
どこで『その本』の事を知ったのか、聞きはしないよ。
だけれど、恐らくそれは。
【ハデス】
言いたい事は分かるさ。
【ハルモニア】
…!
【ハデス】
だけれど、父も弟も居ない今、この本を読んで“あげられる”のはボクしか居ないから。
それに…本の著者を見て、『クロノス・ダイヤモンド』がこの本に執着していた理由がハッキリ分かったよ。
【ハルモニア】
その本…『宝石回路』の?
【ハデス】
そう。この『宝石回路』の著者。
ウラノス・ダイヤモンド。
ボクの祖父だ。
STORY END.




