表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
32/48

【宝石回路〜神域の狭間で笑う〜】

台本タイトルは

【ジュエリーコード〜しんいきのはざまでわらう〜】と読みます。


宝石回路シリーズ 第三話


台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀1:不問1


 エウリュノメ・アンバー ♀ セリフ数:11

〈一年のほとんどを瞑想めいそうして過ごしている。ハルモニアとは前統治者クロノス・ダイヤモンドの時代からの戦友。昔の怪我で声がかすれ気味〉


 ヘルメース・アクアマリン 不問 セリフ数:24

〈あまり宝石回路(ジュエリーコード)の基地から出ない。政府との接触が一番多い。最近メガネの度が合わない気がしている〉


 コイオス・ルビー ♂ セリフ数:19

前統治者クロノス・ダイヤモンドとは旧知きゅうちなか。普段は極寒ごっかんの地で、弟子ニュクスと暮らしている。クールな酒好き〉


[あらすじ]《8分程度》

 クロノス・ダイヤモンド、とは。

 聞けば顔をしかめる者がほとんどで、“あの”ゼウス・ダイヤモンドの父親だというのに良くないウワサばかりの男だった。

 政府はそんな男を何故なにゆえ今一度欲するのだろうか。そして、何故なにゆえ。クロノス・ダイヤモンドは姿を消したのだろうか―――。












【コイオスN】

 宝石回路(ジュエリーコード)が世界を滅ぼそうと決めたのは、政府がゼウス・ダイヤモンドの復活を望んだからだ。


 そもそも一体いったい全体ぜんたいどうしてゼウス・ダイヤモンドは消滅しょうめつしたのか。



 彼はみずから消える事を望んだ。消えほどける事で、全ての罪からのがれた、と言った方が良いやもしれない。

 はてさて、ゼウスの罪、とは。

 遠くの惑星わくせいを一つ潰した事など、さして()()()()()()

 政府の上層部を総入れ替えさせた事もあったが、我々宝石回路(ジュエリーコード)にとって必要だったから()()()()


 ならば、自由じゆう聡明そうめいなゼウス・ダイヤモンドがおかした罪とは、何ぞや。と。

 彼の数多あまたある罪の一つを教えてやろう。


 彼(いわ)く、『うばった』のだと。


 生まれた瞬間から、産声うぶごえを上げる前から、世界が自分を見初みそめた時から、『奪ってしまった』という。


 彼曰く、『死んでも許されない』のだと。


 奪った本人じぶんですら、可哀想かわいそうにと頭をでてやりたくなったと。

 そんな同情どうじょうふくんだ自分が『死んでも許せない』という。


 我らが神は、そういう御方おかただった。







【ヘルメース】

 失礼致します、エウリュノメ・アンバー。


【エウリュノメ】

 ………………。


【ヘルメース】

 …エウリュノメ・アンバー、聞こえていますか?


【エウリュノメ】

 ………………。


【ヘルメース】

 …まだ瞑想めいそうちゅうでしたか、困りましたね。

 至急しきゅう確認して頂きたい資料があったのですが。


【コイオス】

 エウリュノ…おっと、ヘルメース。…何だまだ瞑想中か。


【ヘルメース】

 コイオス・ルビー。貴方も彼女に御用事ごようじですか? ごらんの通りです。

 ところで、その大量のビンはもしや酒ですか?


【コイオス】

 エウリュノメが到着とうちゃくしたって聞いたからな。居ても立ってもいられなくて。


【ヘルメース】

 アテナ・ヘリオドール、エレボス・アイオライトと共に酒盛さかもりをしていたのでは?

 デメテル・ダイヤモンドより、ペルセポネー・ダイヤモンドの身体にさわるような騒音そうおんひかえてほしい、との苦情くじょうが出ておりましたよ。


【コイオス】

 酒盛りというほど飲みあさった覚えはないがな。

 …まあ、次会った時にデメテルには謝罪しておこう。


【ヘルメース】

 …そうして頂けると助かります。


 ですが、意外でした。


【コイオス】

 何がだ?


【ヘルメース】

 今回の作戦に参加された事ですよ。


 貴方は…ゼウス・ダイヤモンドを嫌っていたようでしたから。


【コイオス】

(相手の言葉に息を飲んでから、自嘲じちょうする)

 …………。


 …まあ、確かに。好きではなかったな。…然程さほど嫌いでもなくなったが。


【ヘルメース】

 それは、クロノス・ダイヤモンドの教えですか。


【コイオス】

 教えってほど大層なものじゃないが、ゼウスが世界にとって、あまり良くない存在なんだっていうのは、よく聞かされたよ。


【ヘルメース】

 …………………。


【コイオス】

 クロノスの言う“ソレ”を、たがえようのない真実だとだまされていた奴も居たな。

 俺も実際にゼウスに会うまではそうだった。いや…今も、少しだけそう思っているふしがある。


【ヘルメース】

 …コイオス・ルビー。貴方は今も、クロノスをしたっているのですか。


【コイオス】

 …酷い男だったがな、それがアイツの魅力みりょくでもあった。

 ゼウスという正義せいぎだけを見てきたお前達には、難しい話かもしれないがな。


【ヘルメース】

 …っ、では、クロノス・ダイヤモンドはあくですか。


【コイオス】

 …さあ?


【ヘルメース】

眉間みけんしわを寄せて)

 ……………っ。


【エウリュノメ】

 アクアマリン、…とコイオス。

 他人ひとの部屋でうす気味悪きみわるい男の話はしてちょうだい…。


【ヘルメース】

 ……エウリュノメ・アンバー。貴方の瞑想が終わるのを待っていたのですよ。


【コイオス】

 起きたか、エウリュノメ。待ってたぞ。


【エウリュノメ】

 …基地きちに来てから、まだ半日も瞑想してないわ…。

 此処ここは少しうるさすぎるの。静かな空間で考える時間が欲しいわ…。


【ヘルメース】

 ……はぁ、資料の確認をして頂きたいだけですので、終わり次第しだい退出致します。


 エウリュノメ・アンバー。

 第八十七回の政府基地防衛戦のメンバーは貴方がお決めになられたんですよね?


【エウリュノメ】

 ……えぇ、ええ、そう…。ワタシが決めたわ…何か問題があって…?


【コイオス】

 第八十七回というと…。ゼウスが消える直前か。確かメンバーは…。


【ヘルメース】

 …特攻軍より、ハルモニア・トパーズ、アトラス・クォーツ、ほか三名。

 騎士軍より、ヘリオス・アレキサンドライト、アポローン・ヘリオドール、他五名。

 騎空きくう軍より、アイテル・アイオライト、ヘスティア・ダイヤモンド、他五名。


 司令官はエウリュノメ・アンバー。その補佐ほさにメドゥーサ・オニキス、他二名。


 …死者、二名。重傷者、五名。各軍の軍長、副軍長は無傷で帰還きかんしています。なお現在、重傷者は全員現場復帰しております。


【エウリュノメ】

 …特に、おかしな点は見当たらないわね…。ワタシの指揮しきが気に入らなかったかしら…。オニキスの事だって、ちゃんと彼女に聞いたわよ…?


【ヘルメース】

 いえ、メンバーに関しては特に問題はありません。メドゥーサ・オニキスの件に関しましても、本人に了承りょうしょうを得ていたのであれば、こちらの出るまく御座ございませんので。


 そうではなく、死者二名に関してです。遺体いたい受渡うけわたにんの名に、少しだけ見覚えがあったので、その確認に。


【コイオス】

 死んだのは特攻軍の一人と、司令官補佐の一人か。


 ………ん? …っな…!


【エウリュノメ】

 ……どうして、彼の名がここにあるの…?


【ヘルメース】

 …カイロス・アメシスト。


 確か、クロノス・ダイヤモンドの右腕だったのですよね?


【コイオス】

 ああ、だが…アイツは死んだはずだ。…俺がこの手で殺したはずだ。


【エウリュノメ】

 ええ。…酷い裏切りだったから、あの男が怒ったのよ…。処刑しょけいしろってうるさくて…


【ヘルメース】

 コイオス・ルビー、間違いないのですね。


【コイオス】

 間違いない。アイツの鼓動こどうが止まる瞬間まで、俺はアイツののどに剣を突き立てていたんだからな。


【エウリュノメ】

 そう…その後にプロメテウスが焼きくしてしまったから…遺体も何も…残ってなかったはずだわ…。


【ヘルメース】

 …………………。


【エウリュノメ】

 アクアマリン…申し訳ないけれど…遺体受渡し人の欄までは見ていなかったわ…。


【コイオス】

 …クロノスに、カイロス…。

 消えた奴と死んだ奴が、今更いまさら何の用だというんだ。


【ヘルメース】

動揺どうようしたように)

 政府に、確認を取りましょうか…、


【コイオス】

 しておけ、ヘルメース。

 事実を全て確認してからでなければ、政府に逆手さかてを取られて終わりだぞ。


【ヘルメース】

 そう、ですね。…失礼、少し取り乱しました。


【エウリュノメ】

 …アクアマリン…無理はしちゃいけないわよ…それに…………


 …………………。


【ヘルメース】

 …? エウリュノメ・アンバー?


【エウリュノメ】

 ………………。


【コイオス】

 おっと、話し過ぎたか。また瞑想だ。


【ヘルメース】

 …、はぁ。先程の件、くわしく調べておきますので、他のメンバーへ情報共有しておいて頂けますか?


【コイオス】

 高い酒で手を打とうか。


【ヘルメース】

 ……はあ、善処ぜんしょはします…。











STORY END.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ