【宝石回路〜素晴らしき神託〜】
台本タイトルは
【ジュエリーコード〜すばらしきしんたく〜】と読みます。
宝石回路シリーズ 第二話
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂0:♀2:不問1
デメテル・ダイヤモンド ♀ セリフ数:8
〈ゼウスの姉。娘はハデスの嫁。穏やかなお姉様だが、一度拗ねると厄介。ゼウスの事があまり好きではない。宝石回路の新人教育係〉
ヘルメース・アクアマリン 不問 セリフ数:15
〈ゼウスの元右腕。独身で甥っ子に甘い。冷静で淡々とした性格だが、クセの強い宝石回路の面々を纏めあげるのに苦労しているらしい〉
ハルモニア・トパーズ ♀ セリフ数:16
〈歌唄いの才能がある。ゼウスが幼い時の子守唄係だった。宝石回路の特攻軍長を務める、可愛らしい戦闘狂〉
[あらすじ]《5分半程度》
政府公認の犯罪組織宝石回路。そのリーダー、ゼウス・ダイヤモンドの復活を乞う政府を欺き、世界を崩壊させる事を決めた宝石回路の面々。
しかし彼等の中でも様々な思いが交差して―――。
【ハルモニアN】
ゼウスくんが消滅しても、宝石回路は別に変わらなかったよ。
いつも通り、任務をこなして、時々サボって、また任務をこなして。
ゼウスくんが居ても居なくても、特に変わらなかった。…少し、寂しかったけれど。
なのに突然、政府はゼウスくんの復活を望んだ。どうして? ゼウスくんが消滅した理由が何なのか分かってなかったのか?
………。
ゼウスくん。ボクらは勿論嬉しかったんだ。政府がキミを見限らなかった事が。
だけど、ゼウスくん。
ボクらはもう二度と、キミの涙なんて見たくないんだ。キミには笑ってて欲しいんだ。
だから、“キミの為”なんて身勝手なことを言って、世界の消滅を企むボクらを、…どうか。赦してくれないか。
✽
【ヘルメース】
ハルモニア・トパーズ。少し、宜しいでしょうか。
【ハルモニア】
おや、ゼウスくんの右腕。構わないよ。
こちらに到着してから、ずっと休ませてもらってて、申し訳ないくらいだしね。
【ヘルメース】
何を言いますか、貴方はゼウス・ダイヤモンドの第二の母。出番まではお休み下さい。
【ハルモニア】
………。
…まあ、言い方はともかくとして、荒事なら任せてよ。ボクより腕が立つ者も、そう居ないだろうからさっ。
それで? ご用件は?
【ヘルメース】
クロノス・ダイヤモンドの件は把握されておりますよね?
【ハルモニア】
ああ、ゼウスくんの兄から聞いたよ。
後任者の欄に、クロノス・ダイヤモンドの名があったんだろ?
…アイツは良くない。皆はどうかは知らないけど、ボクは嫌いだったな。
【ヘルメース】
……ああ、貴方は戦場で彼と戦っていた時期があるのでしたね。
政府の戦場ログには、クロノス・ダイヤモンドのログは殆どありませんでしたが、貴方と渡り合えるという事はお強いんですね。
【ハルモニア】
まあ、一般兵よりかは使える、といったところかな。
で? そのクロノス・ダイヤモンドがどうしたって?
【ヘルメース】
アテナ・ヘリオドールがデメテル・ダイヤモンドより、少し気になる情報を仕入れたので―――…
【デメテル】
あたしの話ぃ?
【ハルモニア】
おや、ゼウスくんの姉だ。
相変わらず派手な格好してるな。
【デメテル】
あら、ハルハル。アナタは相変わらずちまっこくて可愛いわねぇ。
でぇ? ルメー? あたしの話するんなら、あたしが居なきゃ始まらないわぁ。
【ヘルメース】
その変わった呼び方をお止めくださいと何度言えば……まあ良いでしょう。
ではデメテル・ダイヤモンド、先程こちらに提供した情報をハルモニア・トパーズへお話し下さい。
【デメテル】
良いわよぉ。
ハルハルはぁ、あたしのママとパパ、知ってるわよね?
【ハルモニア】
レアー・ダイヤモンド、クロノス・ダイヤモンド、だろ?
ゼウスくんの母はよくクロノス・ダイヤモンドと喧嘩してはボクの所に来てたな。
【デメテル】
うんうん。喧嘩の時も、末っ子の時もすーっごく助かったって、ママ言ってたよぉ。
【ヘルメース】
…この話、長くなります?
【デメテル】
やだ、ルメーったら。気の短い子は嫌われるわよぉ?
(手を叩いて)
まあいいわ♪
最近ね、ママがパパの部屋をお片付けしてたの。
パパが行方知れずになってから、パパの事忘れたみたいに触れなかったのにぃ。不思議ねえってアテちゃんにお話ししたの。
【ハルモニア】
…ゼウスくんの母が、…。まあ少し潔癖症の気があるから、珍しい事ではないと思うけれど。
(考え込んでから思い出したように)
あ。ゼウスくんの右腕。キミに言ってなかった事を思い出したよ。ゼウスくんの母についてだ。
【ヘルメース】
何でしょう。
【ハルモニア】
政府がゼウスくんの復活を望む、少し前の事だ。ゼウスくんの母から連絡が来たんだ。
“もしクロノスから何かメッセージが届いても、読まずに燃やすか、中身を少し覗いてから破棄して”…とね。
【デメテル】
ママがそんな事を…?
ハルハルは何て言ったの?
【ハルモニア】
面倒事の予感がしてな。“わかった”と一言だけ。
こんな事になるんだったら、もう少し詳しく聞いておくべきだったな。
【ヘルメース】
(少し考え込んで)
………なるほど。こちらでも調べてみます。情報提供、助かりました。
【ハルモニア】
いや、ゼウスくんの姉が、ゼウスくんの母の話をしなければ頭の片隅に投げ棄てていた記憶だからな。
感謝なら、彼女に。
【デメテル】
ふふ、お役に立てて良かったわぁ。
じゃあ、そろそろ娘のお迎えに行くわね。ルメー、あたしのマイルームにもう一つベッドを設置しておいて♪
【ヘルメース】
…はあ、畏まりました。
妊婦用にリクライニング出来るものにしておきます。
【デメテル】
ふふ、ありがとぉ。
【ハルモニア】
ふは、相変わらずだな。ゼウスくんの姉は。
【ヘルメース】
…業務が増えました。ハルモニア・トパーズ、何かご不明な点があれば、ご連絡下さい。失礼致します。
【ハルモニア】
―――ああ、そうだ。
【ヘルメース】
はいっ?
【ハルモニア】
もう一つ思い出した事がある。
ゼウスくんが言っていた事。
【ヘルメース】
何か、重要な事でしょうか?
【ハルモニア】
彼の事で、重要じゃない事が今まであったか? ゼウスくんはこう言ってたよ。
“僕に近しい者達は、僕を信じてない”
“だから僕は”
“僕に近しい者達を、より多く愛する事にするよ”
ってね。
【ヘルメース】
…………………そう、ですか。
【ハルモニア】
(ヘルメースの様子を見て、笑う)
ゼウスくんの右腕。無理しない程度に頑張るんだよ。
【ヘルメース】
…善処します。
STORY END.




