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三人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
28/49

【声劇団体リュシエル⑤】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂3︰♀0︰不問0


 藤郷(ふじさと)さん ♂ セリフ数:16

〈演出家兼監督を務める古参。幹部の話もあったが過去の清算(せいさん)をまだ終えていないと自ら()った。団体の(ふるい)でもある〉


 修吉(しゅうきち) ♂ セリフ数:26

〈③が初登場。アドリブ常習(じょうしゅう)(はん)の若き幹部。麗白(ましろ)の妹の旦那。今回は『前座(ぜんざ)』を務める〉


 HIDAX(ヒダリ)さん ♂ セリフ数:21

〈団体に所属しながらも世界中を飛び回るホルン奏者(そうしゃ)(ゆえ)にあまり劇参加は出来ないが実力はある。特徴的な甘い声〉


[あらすじ]《6分半程度》

 再来月(さらいげつ)新人上演(デビュタント)に向けて新参の教育を行っている稽古(けいこ)()を冷やかし半分に(のぞ)いた修吉(しゅうきち)は懐かしい顔を見つけます。彼に挨拶(あいさつ)をしようとした修吉(しゅうきち)の声を怒鳴(どな)り声が(さえぎ)りました―――。







【修吉】

 ちーす。…って、HIDAX(ヒダリ)さんじゃん! 久し―――


【藤郷さん】

 だッから! 空気読めねえアドリブ入れんなっつってんだろうが! 一人でやってんじゃねぇんだぞ!


【修吉】

 わお、相変わらず綺麗ながなり声ねー、藤郷(ふじさと)さん。


【HIDAXさん】

 さっきからずぅっとアレなんだわ。

 久しぶりだね、半年ぶりくらい?


【修吉】

 そうっすね〜。いつ日本に?


【HIDAXさん】

 先週。(しばら)くは日本(こっち)にいる予定だし、劇参加出来るかって聞いたら願ったり叶ったりだって。

 新人の子も増えたみたいだし、ちょっと挨拶(あいさつ)がてら冷やかしかね。


【修吉】

 何だ、俺と一緒か。


【HIDAXさん】

 あらら、修吉(しゅうきち)も?


【修吉】

 俺は今回前座なんで、その練習も()ねてですけどね。

 で、何の台本やってんすか今。


【HIDAXさん】

 大江都(おおえど)君って子の『再会のアステード』。

 新人上演(デビュタント)は毎回新人の台本だし楽しみなんだよね。ちょっとだけ読ませてもらったけど面白そうだったよ。


【修吉】

 へぇ。上演(じょうえん)楽しみっすね〜。


藤郷(ふじさと)と目が合って)

 あ、どーも。藤郷(ふじさと)さん。ちょっと冷やかしにきてまーす。


【藤郷さん】

(疲れた様子で)

 ああ、修吉(しゅうきち)か。邪魔(じゃま)すんなよ


【修吉】

 しませんよ。つーか、藤郷(ふじさと)さんがそんなになるほど手を焼いてる新人達、相手にしたくないわ〜


【HIDAXさん】

 ド直球だね、修吉(しゅうきち)…。まぁ、同意見かも。

 そうだ、新人上演(デビュタント)の次の夏季上演(サマーコンサート)羽田(はねだ)の『立直(リーチ)Dead(デッド)・バイ』やるから練習付き合ってくれる?


【修吉】

 出た〜、地獄(じごく)の早口台本・・・。


【HIDAXさん】

 あら、もう知ってるの。


【修吉】

 ちょっと前に見せてもらったんですよ。

 羽田(はねだ)さんには(めずら)しく結構テンポの早いギャグ台本だったから。


【HIDAXさん】

 念願(ねんがん)のギャグ台本だぁって喜んでたよ。


 んじゃあ、修吉(しゅうきち)はオズワードやって。


【修吉】

 りょーっす。



▲間▲



【HIDAXさん】

『何で!? 何でゾンビが麻雀(マージャン)やってんだよ! そんで何でアンタは普通に混ざってんだよ!』


【修吉】

『黙り(たま)えよ、青年。この至高(しこう)の空間に雑音など要らないのだ。ゾンビだろうとも人間だろうとも麻雀(マージャン)を愛す(たましい)は同じなのだよ』


【HIDAXさん】

『……、色々突っ込みてぇ所はあるけど…、とりあえず一つ言わせてよ…、まじでオズワード頭悪いのな…何でそこで鳴くんだよ』


【修吉】

『これは奇跡への伏線(ふくせん)なのだよ、青年。彼らは初心者用のゾンビだからな。まあ私に任せ給えよ』


【HIDAXさん】

『初心者用とかあんの!? つーか、オズワード初心者なんじゃねぇか! よく鳴けたな!? 門前(メンゼン)和了(あが)れよ!』


【藤郷さん】

 やっぱいいなぁ、お前らの演技は。

 心が安らかになるわ。


【修吉】

 うわぁぁあっ!?!? ビビったぁぁ! 藤郷(ふじさと)さん居たんすか!? いつの間にか新人達居なくなってるし!!


【HIDAXさん】

 割と序盤(じょばん)から居たよ。


【修吉】

 言って下さいよ〜…。めちゃくちゃ死角(しかく)()っから分かんなかったぁ、めっちゃ(さけ)んだじゃん、クソ()ずい〜…!


【藤郷さん】

(長いため息を吐いて)

 はぁぁぁ゛〜〜〜〜〜…!


【修吉】

 ・・・藤郷(ふじさと)さん、どうしたんすか。幸せ逃げますよ。


【藤郷さん】

 お前らからも一言言ってやってくれやぁ゛〜…! 基礎(きそ)も出来てねぇのに、応用(おうよう)しようとすんのは何のバグなんだって話だわ…


【HIDAXさん】

 ああ、新人さん達の。

 さっきもオレたちの演技見て、入りたそ〜にしてた子達居たね。


【修吉】

 まぁ、気持ちは分からんでもないですけどねー? やっぱほら、“格下(かくした)”とは声劇したくねぇよって事じゃないですか。


【藤郷さん】

 相変わらずお前はそういう事、(はばか)らずに言うよなァ。


【修吉】

 ヤダなぁ、俺も他所(よそ)では言いませんよ。で、どうなんすか。新人上演(デビュタント)。成功しそうっすか。


【藤郷さん】

 今の出来(でき)なら投げた方がずっとマシ。


【HIDAXさん】

 うーわ、本当に問題児ばっかりなの。

 個々のやる気とかの問題でしょ、新人上演(デビュタント)って『かろうじて聞けるようにする』ってのが元々の目的みたいな所あるし。


【藤郷さん】

 声劇初心者によくある、本人は気付きもしねぇ(つまず)きのフルコースだ。もう個々に付き合ってやるヒマも気力もねぇ。


【修吉】

(少しニヤついて)

 例えば?


【藤郷さん】

 嬉々(きき)として聞いてくんな。

 多いのは台本の読み間違いだな。助詞(じょし)が一つ違うだけで台本の背景がひっくり返る。キャラの心情(しんじょう)すら矛盾(むじゅん)しちまう。


【HIDAXさん】

『彼女が甘い声を出してお願いをする』


『彼女に甘い声を出してお願いをする』


 うん、確かに。

 甘い声を出しているのが彼女か第三者かで物語の進行にも関わってきそうだね。


【修吉】

 つーか、藤郷(ふじさと)さんが言いたいのはその後でしょ。どーせ新人達、全員“しない”んじゃないですか?


【藤郷さん】

 ! お前、本当何でンな事分かっちまうんだ。


【修吉】

 始めたてン頃は俺も声劇()(くさ)ってたんで。考え方とか、姿勢とか。あの時の俺見たら藤郷(ふじさと)さんガチギレすんじゃないっすか。


【HIDAXさん】

 何? 何を“しない”の?


【修吉】

 謝罪っすよ。


【HIDAXさん】

 謝罪・・・?


【修吉】

 まぁ、謝罪って言い方は大袈裟(おおげさ)ですけど、簡単に言えば「セリフ噛んでごめんなさい」をしないんです。


【HIDAXさん】

 えっ・・・?


【藤郷さん】

 最近は特に多いな。野良(のら)でもたまに見掛ける。


【HIDAXさん】

 え、待って待って。謝らないって他に何するの。セリフ噛んだり間違えたりしたら普通に謝るものじゃないの?


【修吉】

 最近はそれが普通じゃないんですって。

 「セリフ噛むのは当たり前」が変な形で浸透(しんとう)しちゃってセリフ噛んでも「みんなやってる」から「大丈夫」なんですよ。


【藤郷さん】

 HIDAX(ヒダリ)はあんま野良しねぇから知らねェと思うがな、今回の新人達みたいな奴らが界隈(かいわい)に増えてきてる。


 ンな終始(しゅうし)真面目(まじめ)に、一欠片(ひとかけら)も噛むなとか無理(むり)難題(なんだい)押し付けるつもりはねェけどよォ。


 台本読めりゃあいいなんて奴らはリュシエルにゃあ()らねぇ。


【HIDAXさん】

 なるほど、団長が言ってた(ふるい)って言葉の意味。やっとわかった気がする。

 野良でやってた子達が団体っていうモノに馴染(なじ)めるか(いな)か、藤郷(ふじさと)さんが見極(みきわ)めてるんだね。


【藤郷さん】

 ンな大層なモンじゃねェよ。合わねえ奴は辞めてく。根性ねェ奴も同じだ。

 それ以外の「やってやる」って気概(きがい)のある奴だけが残るって話だ。


【修吉】

 まあお陰様(かげさま)で前みたく変な人も入って来なくなったし俺は今のリュシエル好きですけどねー。


 、と。あらら。……藤郷(ふじさと)さーん。


【藤郷さん】

 ア゛?


【修吉】

 ドアの前に新人さん発見〜。

 何何? “個人練習付き合って下さい”。ですって。熱烈(ねつれつ)ですね〜?


【HIDAXさん】

 どうするの、藤郷(ふじさと)さん


【藤郷さん】

 ………まっ、こういう事があっから新人教育は辞めらんねェんだわ。


【修吉】

(わざとらしい演技で)

 んじゃぁ、三名ご案内〜。

 仕方ないなぁ、この修吉(しゅうきち)お兄さんも付き合ってあげよう。


【HIDAXさん】

 じゃあオレもお供しよっかな。

 台本見せて。どの役()るの?


【藤郷さん】

 おい、新人共。さっさと始めっぞ。














STORY END.

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