表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
24/48

【声劇団体リュシエル④】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂2︰♀1︰不問0


 有北川(ありきたがわ)くん ♂ セリフ数:21

〈①が初登場。19歳の新人。調子乗りな所もあるがしっかり反省し、次に活かせるので期待の新人〉


 (シェン)さん ♀ セリフ数:14

〈副団長の一人。(シェン)という名で活動するラジオパーソナリティでもある。生粋(きっすい)の日本人〉


 稲中(いなか)くん ♂ セリフ数:10

〈20歳の新人。情報管理担当で演者ではないが演技を聞くのは好き。こう見えて優秀。皆の癒し〉


[あらすじ]《8分程度》

 今日は非番(ひばん)だから。そう言って妹と買い物に出かけた麗白(ましろ)さんに課題を言い渡された有北川(ありきたがわ)くん。台本片手にお邪魔した稽古(けいこ)()では副団長の一人、(シェン)さんと同時期に入団した稲中(いなか)くんが何やら神妙(しんみょう)な顔をして話し合っていました――。








【有北川くん】

 えーっと、今日の課題は滑舌(かつぜつ)冒頭(ぼうとう)練習…あれ、(シェン)さん? 、と稲中(いなか)くん?


【稲中くん】

 あ〜、有北川(ありきたがわ)くんだ。

 自己練習? (せい)が出るねえ。


【有北川くん】

 麗白(ましろ)さんに課題出されたんですよ。とりあえず再来週のプチ声劇の確認を、と。


【深さん】

 結局麗白(ましろ)がお前の世話係に定着(ていちゃく)したか。団長がそう言ったのか?


【有北川くん】

 ………? 何で団長が出てくるんですか?


【深さん】

 ああ、有北川(ありきたがわ)は知らないのか。麗白(ましろ)は私の前に副団長にならないかなんて言われてたんだ。結局アイツはそれを断ったがな。

 団長は団長で幹部というだけじゃなく、麗白(ましろ)に何か役割を与えたかったんだろうな。


【有北川くん】

 えぇ……全然知らなかった…。


【稲中くん】

 麗白(ましろ)さんってそんなに昔からいらっしゃるんですか? だって(シェン)さんって団体結成当初から居ますよね?


【深さん】

 団長(アイツ)界隈(かいわい)に入ってすぐの頃、悪名(あくみょう)高いユーザーとトラブルになってな。その時に仲裁(ちゅうさい)や対応を代わってくれたのが麗白(ましろ)だったらしい。


 私より付き合いは長いはずだぞ。


【有北川くん】

 へえ…。何か、凄いですね…。

 今に(つな)がってる過去の話ってワクワクしますっ。


【稲中くん】

 ……そうなってくるとますます麗白(ましろ)さんの年齢が分からなくなりますねぇ…。


 だって団体が10年目で、団長さんの声劇歴が15年…。


 ………うーん、麗白(ましろ)さんって本当ミステリアスですよねえ。


【深さん】

 まだチビ助だった(めぐみ)が今や団体の幹部(かんぶ)やってんだから感慨(かんがい)深いもんだ。


【有北川くん】

 はぇぇ…。

 二度と麗白(ましろ)さんの年齢聞かんとこ…。


 あ、それより。さっき何を話してたんですか。


【深さん】

 ああ、有北川(ありきたがわ)三枝子(さえこ)って演者、知ってるか? 一応うちの団員なんだがな。


【有北川くん】

 えぇっと、名前だけは。


 あ、もしかして白鷺(しらさき)さんが怒ってた人…?


【稲中くん】

 その中の一人ではあるねえ。

 白鷺(しらさき)さんの『ソーキオール・ロード』、知ってる〜?


【有北川くん】

 新作ですよね、確か。

 麗白(ましろ)さんが悪役だったから何となく覚えてますけど。もしかしてボイコットとか?


【稲中くん】

 うーん。えっと、台本横流し、みたいな?


【有北川くん】

(絶句して)

 えっ…。


【深さん】

 白鷺(しらさき)の新作台本はまだ団体のアカウントでも知らせてなかった極秘(ごくひ)なものだ。三枝子(さえこ)は主人公を殺そうとする母親役でな。


 練習にも出てこない、連絡もつかない。雲隠(くもがく)れやもしれないと団長と他の副団長と対応を考えていた矢先(やさき)だ。


(あか)の声劇団体』って知っているだろう? そこの団体がな、白鷺(しらさき)の『ソーキオール・ロード』を演じていたんだ。


【有北川くん】

 そ、それって…団体の団長さん、知ってたんですか…。


【深さん】

 いいや。(おそ)らくだが、『(あか)の声劇団体』で脚本(きゃくほん)を担当している奴が三枝子(さえこ)の友人だったんだろうな。裏で話している時に台本を見せたか…、あるいは…。


 三枝子(さえこ)は今まで中堅(ちゅうけん)として団に所属すらしていたものの、目立つ役を貰う事は少なかったからな。

 …()い上がったんだろうが。それは理由にすらならない。


【稲中くん】

 でもね、三枝子(さえこ)さんの話だけ聞くなら『(あか)の声劇団体』は台本を見せられたけど三枝子(さえこ)さんの配役(はいやく)がある、声劇団体リュシエルの台本だって分かってたはずなのにそれをどうして団の台本にしちゃったんだろうって。


【有北川くん】

 ああ、確かに。

 それって、でも…あんまり言いたくないですけど三枝子(さえこ)さんが嘘をついてる可能性だって…


【深さん】

 ああ、無きにしも(あら)ずだ。

 だからこそ先月の(すえ)だったか。

 あちらの団長とこちらの団長、数名の副団長、三枝子(さえこ)(くだん)の脚本担当を(まじ)えて話をしたんだ。


 最初は三枝子(さえこ)も脚本担当もスムーズに話を進めていたんだがな、飼田(かいだ)(てん)()くとそこからボロが出始めてな。


(深い深いため息を吐く)

 結局、三枝子(さえこ)は役が決まった事を脚本担当に話し、見せて欲しいと言われ軽率(けいそつ)に見せてしまった事を自白(じはく)して。


 脚本担当の方は…嫉妬(しっと)したんだと。


【有北川くん】

 嫉妬?


【深さん】

 そう。

 白鷺(しらさき)は個人で本も出している、まあ所謂(いわゆる)プロだ。

 そんなプロの作品を()の当たりにした脚本担当は白鷺(しらさき)にも、そんな台本を使える三枝子(さえこ)にすら嫉妬したんだ。


【有北川くん】

 だから台本を、盗んだ…。

 でもそんなのって…!


【稲中くん】

 うん。身勝手だ。

 そんなの理由にすらならないよ。


 白鷺(しらさき)さんの作品を(うば)って殺した。その事実は変わらないもん。


【有北川くん】

 …っていうか、それってどうやって発覚したんですか?


【深さん】

 白鷺(しらさき)が見たんだよ。


【有北川くん】

(思わず声が出た、というように)

 …えっ、


【深さん】

(あか)の声劇団体』に知り合いが居てね、『ソーキオール・ロード』には出てないものの、「すげぇ新作やるから」とな。


(疲れたようにため息を吐いて)

 ……ショックどころじゃないだろうな。

 あの子は(かしこ)い。すぐさま団長に連絡をして、それから『ソーキオール・ロード』の演者達に連絡した。

 団長から連絡を貰った私たちは()()りに指示を出しに走ったさ。


 会いに行った白鷺(しらさき)はね、最悪だなんだといつもの口の悪さだったけど……震えていたよ。

 (くや)しかったろうさ。自分が手間隙(てまひま)掛けて書いた台本が(うば)われたのだから…。


【有北川くん】

 あ、って事は…もう『ソーキオール・ロード』は…。


【稲中くん】

 うん。『(あか)の声劇団体』が配信で使ってしまったから。リュシエルはもう使えない…。


 白鷺(しらさき)さんはタイトルの変更だけを求めて、あとは団長さん達に任せるって…。


 (おおやけ)にはしていない事だからこちらもあんまり動けなくてね。


【深さん】

 それに『(あか)の声劇団体』は私達とは違って完全リモートだ。オフで団員が会う事はあるらしいが…顔を合わせたことがない演者なんて沢山居ると。


 だからこそここまで対応が遅れてしまったんだがな…。


 今はあちらの返答を待っているところさ。

 ……白鷺(しらさき)のメンタルケアは…、幹部(かんぶ)に任せた。


 ……、まあ何にせよ。『(あか)の声劇団体』の信用は無くなったな。団長も二人の副団長も良い奴だったんだが。…団員の粗相(そそう)は共に責任を()わなければならない。


【有北川くん】

 …あれ、じゃあ三枝子(さえこ)さんは?


【稲中くん】

 謹慎(きんしん)だよ。

 本人は辞めたいって言ってるんだけどね、ちゃんと白鷺(しらさき)さんに謝ってもないのにそれから逃げるのは駄目だって、団長さんが謹慎(きんしん)って形にしてるんだ。


【有北川くん】

 そうなんですね…なんか俺の知らない間に色々あったんすね…。


【深さん】

(あか)の声劇団体』から返事を貰ったら皆に知らせるつもりではいたさ。

 …有北川(ありきたがわ)、当たり前だが。


【有北川くん】

 ふぁいっ! 絶対に誰にも言いませんっ!


【深さん】

 ふっ、よろしい。


 さあ、この話は終わりだ。

 せっかくだし、お前の練習に付き合ってやろう。麗白(ましろ)の教育が上手くいっているかの確認だな。


【有北川くん】

 えっ!? イヤ、アノ…一人で出来ま――


【稲中くん】

(面倒な気配を察知して逃げるように)

 じゃあ僕、佐古田(さこだ)さんと打ち合わせだからまたね〜。


【有北川くん】

 あ、ちょっ、まっ…あ―――!










STORY END.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ