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三人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
20/48

【声劇団体リュシエル①】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂2:♀1:不問0


 有北川(ありきたがわ)くん ♂ セリフ数:19

〈19歳の新人。いつも麗白(ましろ)さんに振り回されている。演技は下手め〉


 麗白(ましろ)さん ♀ セリフ数:17

〈年齢不詳見た目ロリ。大人しい人だがズバズバと辛辣(しんらつ)なことを言う。演技は上手〉


 洋介(ようすけ)さん ♂ セリフ数:9

〈二人の練習に偶然(ぐうぜん)居合(いあ)わせただけの人。麗白(ましろ)さんに理不尽(りふじん)を言われるのは慣れた。演技上手い〉


[あらすじ]《6分程度》

 新人の有北川(ありきたがわ)くんはいつもいつも監督に怒られます。それは演技が下手だから。声劇団の先輩である麗白(ましろ)さんにご指導をお願いした有北川(ありきたがわ)くん。でも有北川(ありきたがわ)くんは知りません。先輩の麗白(ましろ)さんは見た目からは想像できないほどに辛口な事を―――。










【麗白さん】

 では有北川(ありきたがわ)くん。稽古(けいこ)()へ行きましょう。


【有北川くん】

 は、はいっ…!


【麗白さん】

 今回はとりあえず台本を読むことに慣れましょう。噛んでも構いませんし、詰まっても構いません。


【有北川くん】

 は、はい…!


【麗白さん】

 私とてプロではありませんからあまり(えら)そうなことは言えません。ですが、貴方は確実に私より下手……あ、使ってましたか洋介(ようすけ)さん。


【洋介さん】

 あれ、麗白(ましろ)ちゃんに有北川(ありきたがわ)くん。珍しい組み合わせだね。

 一人で独白(どくはく)部分を練習してたんだ、使うならどうぞ。


【麗白さん】

 ありがとうございます。

 監督(かんとく)にやっとこさ怒られました。その棒読み何とかしないと参加させないって。


【洋介さん】

 で、その教育係が麗白(ましろ)ちゃんって訳ね。有北川(ありきたがわ)くんって声劇経験あるんだっけ。


【有北川くん】

 えっと、少しだけ…。

 (ばつ)ゲームとかでやった事あります…けど、そんな本格的なやつじゃなくて。ちょっと、その…エッチなやつです…


【麗白さん】

 そんなものにド素人(しろうと)面白(おもしろ)半分に手を出してよく無事でいられましたね。


【有北川くん】

 えっ!?


【洋介さん】

 多分だけど聞く方も素人だったんじゃない?


【麗白さん】

 なるほど、納得です。

 有北川(ありきたがわ)くん。何事も中途半端が一番恥ずかしいのです。きっと、今その音源(おんげん)があるのなら有北川(ありきたがわ)くんは死にたくなると思いますよ。


【有北川くん】

 えぇ…そんなにですか…?


【麗白さん】

 知らぬ事は運命を(ほとけ)にも変えるのですよ。


 では頭からやりましょう。


【有北川くん】

 は、はい…っ!


 あ、『アルセーヌ』『僕には地位(ちい)も金も無い』…じゃっ、あ、『だけれど、君を愛する覚悟だけは持っているんだ』


【麗白さん】

 『だけれどフレッド。私は貴方に愛される覚悟なんかこれっぽちも無いのよ。私が持っているのは地位とお金だけ。使い道の知らない(くさ)った宝物…』


【有北川くん】

 だ、『大丈夫だ』『アルセーヌ』『僕と共に逃げよう』『こんな場所で』『君の心が壊れ』た……『てしまうよりずっといい』


【麗白さん】

 『駄目よ、駄目っ! フレッド! そんな事をしてもし失敗したら…! …ああ、駄目よ…駄目だわ…私は私が壊れてしまうより貴方を(うしな)う方がずっと怖い…』


【有北川くん】

 『可哀想(かわいそう)な、アルセーヌ』『こんな所で』か、『飼い殺されて』…………んん?


【麗白さん】

 ………………………。


【有北川くん】

 く、『クタびた』『花のように』『なっていくんだね』


【麗白さん】

 …………、有北川(ありきたがわ)くん。


【有北川くん】

 は、はい…っ!


【洋介さん】

 有北川(ありきたがわ)くん、斬新(ざんしん)な演技をするねえ。


【麗白さん】

 いいえ、この際下手すぎる演技については割愛(かつあい)しましょう。

 場数(ばかず)を重ねれば馬鹿でも上手くなります。ですが、馬鹿は残念ながら教えてやらないと学びません。


 有北川(ありきたがわ)くん。どうして私が今、稽古を止めたと思いますか。


【有北川くん】

 えっと、俺が下手だから?


【麗白さん】

 今さっきの言葉を聞いていませんでしたか、ド素人。下手すぎる演技については割愛(かつあい)すると言いました。

 そもそも最初から私は噛んでも詰まっても構わないと言いました。今更それに言及(げんきゅう)するほど性格は悪くありません。


 貴方、台本を読んできませんでしたね?


【有北川くん】

 イエッ?? ソンナコト、ナイデスヨ…??


【洋介さん】

 うああ…分かりやすう…。

 台本もらったら本番前に10回読み込めっていつも監督が言ってるよね?


【有北川くん】

 だって今回、俺セリフ少ないから簡単にイケると思ったんですもん。


【麗白さん】

 イケてないから私が演技指導してるんでしょうが。だってもヘチマも無いですよ、セリフが少なかろうがガヤだろうが『簡単な役』なんて存在しないんです。


 だからどんなにベテランだろうが古株(ふるかぶ)だろうが練習するんです、読み込みするんです。


 それが声劇への最低限の礼儀(れいぎ)だから。


【有北川くん】

 ……………………………っ。


【洋介さん】

 まあ、ぐうの音も出ないよね。

 ちなみに、『萎びた(これ)』は『(しな)びた』ね。草臥(くたび)れたって読もうとしたんだろうけどどっちにしろ間違っているから、気を付けよう。


【麗白さん】

 人間である以上、噛みますし詰まります。そこにだけ注目して下手だなんだと責めるつもりはありません。

 ですが、漢字は調べれば分かります。そうでしょう?


【有北川くん】

 はい…。


【麗白さん】

 分からない事を聞く事は恥ずかしい事ではありません。(むし)ろ、知らないままでいる方が恥ずかしい事です。

 それに、今更有北川(ありきたがわ)くんが常用(じょうよう)漢字やその他の特殊な読み方をする漢字を知らなくても何も驚きません。


【有北川くん】

 何気にひどい…!

 でも、そうですよね。読めないと困るのは自分だけじゃないですもんね…。

 ごめんなさい…、反省します…。


【洋介さん】

 いいねえ、青いね新人さんは。

 僕も昔は監督や麗白(ましろ)ちゃんにたくさん怒られていたなぁ。


【有北川くん】

 えっ?


【洋介さん】

 ん?


【有北川くん】

 洋介(ようすけ)さんの昔って…あ、あれ…? じゃあ麗白(ましろ)さんって今おいくづッッッ!!!!!


【麗白さん】

 女性に年齢を聞くなんて、全く。デリカシーが無いですね。では台本を読む前に読めない漢字講座でも(ひら)きましょうか。


【洋介さん】

 有北川(ありきたがわ)くん、大丈夫かい?


【有北川くん】

 だ、だい゛じょ゛う゛ぶです゛……。




















STORY END.

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