【彼女は笑っていた】
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♂2:♀1:不問0
気弱な少年 ♂ セリフ数:10
笑顔の女性 ♀ セリフ数:10
昔に浸る青年 ♂ セリフ数:4
[あらすじ]《3分半程度》
知らなかっただろう! 驚いたろう! そうやって彼女はいつも笑ってた。僕にとって彼女は太陽の様で。だから、僕には…彼女が自殺した理由なんて検討もつかないや―――。
【昔に浸る青年】
――まるで、それは。走馬灯の様に僕の身体を駆け巡った。
幼い頃の彼女との思い出。幼いながらも随分年上だった彼女に恋をしていた青く、切ない思い出。
彼女はいつも笑っていて。
僕は俯きがちだった。いつか彼女のようになりたいとも思っていた――。
【笑顔の女性】
ほうら、こっちだ! 早く登ってこないと日が暮れちまうぞ!
【気弱な少年】
はぁ……はぁ……待ってよ、姉ちゃん……、
【笑顔の女性】
何へばってんだい、まだ頂上までは掛かるぞ!
【気弱な少年】
うぇぇぇぇ………。
【昔に浸る青年】
――気弱な僕はいつも彼女に手を引かれて色んな所へ行った。村の近くの森だったり、その森から入れる山だったり。
体力のない僕を笑いながらも最後は仕方ないなぁとまた笑って背負ってくれる彼女が僕は……大好きだった――。
【気弱な少年】
……あのね、姉ちゃん。
【笑顔の女性】
何だ、真面目な顔して。
【気弱な少年】
……姉ちゃん、は……その、好きな人とか…居る?
【笑顔の女性】
何だッ、恋バナか!? マセてんなァ! 私は……昔居た。好きな人。
【気弱な少年】
…………今は?
【笑顔の女性】
・・・・・・。
……今は、多分好きじゃない。好きだけど好きじゃなくて嫌いになれないけど、嫌いなんだ。
……ははッ、なんてな! 子供にはちったァ難しかったか?
【昔に浸る青年】
――悲しそうな顔? してなかったよ。笑っていたよ、相変わらず。僕が憧れたあの笑顔で。
だけど、言っていた意味は今でもよく分からなくてさ。僕がまだ大人じゃないからかな。それとも言葉をマトモに受け過ぎているからかな。
彼女が居なくなる前……ああ、そうだ。彼女はあの日。ああ言っていた――。
【笑顔の女性】
なあ、私が居なくなっても大丈夫か?
【気弱な少年】
……ぇ、それは……嫌だよ……。
【笑顔の女性】
何だ、相変わらず気弱だなァ! ……私な、そろそろだと思うんだ。そろそろ、いかなきゃいけなくてな。
【気弱な少年】
…………どこに?
【笑顔の女性】
遠くに。
【気弱な少年】
もう会えないの? 姉ちゃんが行きたくないって思ってもダメなの?
【笑顔の女性】
ああ。……というか、私はいきたくない訳じゃないんだ。いきたい訳でも無いけどな。
でもな、嫌だと怖がるより私はそっちに、こっちから向かってやる事にしたんだ。
【気弱な少年】
…………? わかんないよぉ。
【笑顔の女性】
はははッ! だろうなァ…私もちっとも分からねェ!
【気弱な少年】
え〜〜?
【昔に浸る青年】
――それからすぐだった。あの賑やかな街から彼女が居なくなったのは。
だから驚いたよ。彼女が自殺だなんて。僕にとって彼女は太陽だったからさ。太陽は陰ることが無いでしょう? 多分、そうやって僕は彼女に夢を見てたんだ。
だから僕には彼女が自殺した理由なんて検討もつかないや。参考にならなくてごめんね――。
STORY END.




