【僕の傀儡になってくれませんか?】
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♂1:♀1:不問1
怪しい人形師 ♂ セリフ数:9
可愛い死体売り ♀ セリフ数:10
ナレーション 不問 セリフ数:7
[あらすじ]《4分半程度》
ここはとあるスラム街のさらに奥。普通の人間ならば生涯縁のない廃れた工房。そこには死体を買って自分の傀儡にする人形師が住んでいた―――。
【ナレーション】
薄暗い工房。ギコギコ、ジャキジャキ、カタカタ。機械を動かす音や何かを切り裂く音がどこからともなく聞こえてくる。
工房の入口から中へと入ってきた少女は音のする方へ大きな麻袋を持ちながら進んで行った。
【可愛い死体売り】
お仕事中失礼しましゅ、人形師さん。
可愛い可愛い死体売りさんが貴方様に新しい傀儡候補を連れて来ましたよ。
【ナレーション】
工房内に響き渡る可愛らしい声に気付いたのか機械の音は消え、代わりにギィと椅子を引く音が聞こえた。
【怪しい人形師】
……。もうそんな時間でしたか。
昨日、良い死体が転がってきたので防腐加工していた所だったんです。ちょっと見てみます?
【可愛い死体売り】
見ましゅ。……その割にはあんまり血が飛び散ってませんね。殺人死体ではなかったのでしゅか?
【怪しい人形師】
実はですね、目の前で毒を含んで死んだんです。そのままにしておくのも勿体ないでしょう? リサイクルですよ…。
【ナレーション】
物騒な会話をしながら進んだ先で人形師は壁を弄る。パチッと音がして部屋の明かりがつくと同時に目に入るのは大きめの作業机に乗る裸の死体だった。
【可愛い死体売り】
うーん……?
【怪しい人形師】
おや、どうしました?
【可愛い死体売り】
………………あぁーっ! どこかで見た顔だと思ったらアナタに岡惚れしていた貴族の娘じゃないでしゅか。
【怪しい人形師】
……。初耳ですよ。
【可愛い死体売り】
いやはや…だって恋愛関係に野暮な口出しは出来ないじゃないでしゅか。
まさか毒で自殺とは…。女ってのは怖いでしゅね。
【怪しい人形師】
アナタも女でしょう? まぁ、僕の傀儡になってくれるのなら岡惚れだろうと何だろうと構わないですけど。
【可愛い死体売り】
罪なオトコでしゅねぇ。
【ナレーション】
死体売りはヘヘっと笑うと麻袋の口を開けた。死体売りとはその名の通り、スラム街のそこらに落ちている死体を拾ってはその界隈の関係者に売る、何ともきな臭い職業である。
この少女が売る死体はどれも品が良く、割と値段もお手軽なので金の無い新参者には人気の死体売りなのだ。
【怪しい人形師】
まぁそれはそうと。
今回は良い香りがしますね。
【可愛い死体売り】
お鼻が良いでしゅね~。
今回は新人の殺し屋が多いでしゅけど…えっと、ああ、これこれ。
はい、この髪飾りで良かったでしゅ?
【ナレーション】
死体売りが差し出したのは金色の蝶を象った髪飾りだった。
それを見た人形師は途端に目を輝かせて死体売りから髪飾りを分捕った。
【可愛い死体売り】
それ、死んでた殺し屋が持ってたんでしゅよ。アナタから髪飾りを奪った貴族は当然殺されてました。
【怪しい人形師】
…………そうですか。まぁ、戻ってきただけ良しとしましょう。これは…妻の形見ですから。
【可愛い死体売り】
そんじゃあ、もう行きましゅね。
渡したい物も渡せたし、今日はその自殺死体で満足みたいでしゅから。
【怪しい人形師】
ああ、あともう一つ。
忘れる所でした。
可愛らしい死体売りさん。
僕の傀儡になってくれませんか?
【ナレーション】
そう言われて死体売りは足を止め、振り返る。『何度か』言われたその言葉に飽き飽きしているような表情をしてからピシャリと言い放つのだった。
【可愛い死体売り】
全く! 油断も隙もない人形師さんでしゅ! 良いでしゅか!? この可愛い可愛い死体売りさんはね、人形師さんの傀儡にはなりません! もう……何度言えば分かるんでしゅか……!
【怪しい人形師】
嗚呼、こりゃあ。
道のりは険しいですね。
【ナレーション】
ぷんすかと怒りながら出て行った死体売りに人形師はクスクスと笑いを零す。
通算98回目の失敗だったが彼はそれを気にする事なく作業机に乗った傀儡候補を仕上げていく事にしたのだった。
STORY END.
*修正 2019/09/15
タイトルと【怪しい人形師】のセリフを一部改変。
台本の内容に大きな変化はありません。




