【愚痴って千切ってブン投げて】
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♂1:♀1:不問1
興味の無い弟 ♂ セリフ数:7
苛立っている姉 ♀ セリフ数:10
ナレーション 不問 セリフ数:6
[あらすじ]《3分程度》
姉はツマミの袋を開けて皿へぶちまける。それに手を伸ばした弟へ、昨日の愚痴を零しながら酒を呷るのは日常としての一幕である―――。
【ナレーション】
バリッと烏賊のツマミの袋を開けた姉は、大きめの深い皿へそれをぶちまけた。幾つか皿の外へ落ちたツマミを拾いながら、向かいに寝転がる弟を見遣る。
【苛立っている姉】
女子会なんて行くんじゃなかったわ…。
【興味の無い弟】
御粧しまでして出てったのにウケる。
【苛立っている姉】
ウケるか。
そもそもさ、『アナタは優しいから何を言ってもいいわよね?』って何? 器が大きいからって何でもかんでも物を乗せたら乗り切らなくなるのが、もしかして分からないのかね。
【興味の無い弟】
愚痴と謙遜と譲り合いを受け止めた上で、ちゃんと消費出来る相手だって信頼されてんじゃね。
【苛立っている姉】
そんな信頼クソ喰らえだろ。
【ナレーション】
烏賊のツマミをむしゃむしゃと食べ進めて、ぐいっと酒を呷る姉の顔はほんのり火照っている。こう見えて酒にはてんで弱いのだ。
【苛立っている姉】
でね、毎回毎回話題に上がるのが『アナタの彼氏って素敵よねぇ』っていう身に覚えのない称賛。
【興味の無い弟】
あれ、彼氏居たっけ。
【苛立っている姉】
居ねぇんだよ、言わせんな虚しい! どこからそんな話が出てきたか知らないけど…スゴイ、……カッコイイ? 彼氏ガ? 居ルミタイデス、私……
【ナレーション】
女子会で居もしない彼氏を褒められ、羨ましがられた事を思い出したのか、顔が引き攣ってカタコトになる姉。
弟はそんな姉の様子を気にした風もなく、少し起き上がって机の上のツマミを掻っ攫う。
【苛立っている姉】
まぁ、ンなこたァどうでも…、良くはないけど今は良いんだよ。
問題はその女子会のメンバーに苗島さんが居る事だな。
【興味の無い弟】
苗島さんって確か……。
ああ、あの人かぁ。
姉ちゃんの彼氏を尽く略奪してきた女狐!
【苛立っている姉】
アンタそんな覚え方してたのか…。
それ失礼だから苗島さんに会ったら絶対言っとけ。
【興味の無い弟】
絶対言うなって言うかと思ったわ。
【ナレーション】
プシュ、と二缶目を開けた姉はまたもやぐびぐびと酒を飲んでいく。皿の上のツマミもそろそろ無くなってしまいそうだ。
【苛立っている姉】
周りの女子はそんな事知らないからさ、『苗島さんとアナタって男の子の趣味合うんだね!』とか笑顔で古傷を引き裂いてくるんだよね。ココが地獄かと。
【興味の無い弟】
ふーん。あ、姉ちゃんツマミ無くなった。
【ナレーション】
悲壮な顔をしてそう言った姉に、一言投げつけて話を終わらせた弟はツマミを催促した。
【苛立っている姉】
戸棚に確か煎餅とか入ってたから持ってきて。そんでもっと話聞いてー!
【興味の無い弟】
はいはい……。
つーか、愚痴るくらいなら女子会なんて行くなっての。
【苛立っている姉】
表面だけの付き合いってのもね、社会人になると必要なんだよ、馬鹿野郎。は~……来世はプランクトンに生まれたい……。
【ナレーション】
カラン、と転がった空の缶が二つ。
どうやら姉の愚痴はまだ続くらしい。弟はさすがにため息を吐いて、次の煎餅を調達しに行くのだった。
STORY END.




