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22.折り紙
1549年 1月(天文十八年 睦月)
あまりにも辛く、淋しい。
この世の全てに否定されたように思う。
『恋ひわびて なく音にまがふ 土佐波は 思ふかたより 風や吹くらむ』
ひとつの謳詠と色紙で折った鶴がみえた。
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『天から水がひとつまたひとつと落ちてくる
永遠に尽きることが無い程に降り注ぐ
目に見える全てが雫に濡れ
無数の波紋を描き続ける
星と同じ数だけ落ちてくる
星が泣いている
われを憐れみ泣いている
御山の頂上に目を向ければ
過ぎゆく日々の思ひ出たちよ
それでも変わらずそこにあり
手を伸ばせども届きはせず
足を運べど近づくことさへ許されず
あぁ、今まさにひとつの世界が終わりを迎えた
右を向けども左を向けども未来が見えず
耳を澄ませど福音は聞こえぬ
三日月に乞う
願わくば、我に七難八苦を与え給ふな
人は産まれながらに探し求め
歳を重ねども重ねども追い求むる
あはれわれ、温もりを欲す』
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いつのまにか寝所から転げ落ちたようだ。




