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22.折り紙

 


1549年 1月(天文十八年 睦月)



 あまりにも辛く、淋しい。

 この世の全てに否定されたように思う。



 『恋ひわびて なく音にまがふ 土佐波は 思ふかたより 風や吹くらむ』

 ひとつの謳詠(うた)と色紙で折った鶴がみえた。




 ◾️◾️◾️




『天から水がひとつまたひとつと落ちてくる

 永遠(とわ)に尽きることが無い程に降り注ぐ

 目に見える全てが雫に濡れ

 無数の波紋を描き続ける


 星と同じ数だけ落ちてくる

 星が泣いている

 われを憐れみ泣いている


 御山の頂上(さき)に目を向ければ

 過ぎゆく日々の思ひ出たちよ

 それでも変わらずそこにあり

 手を伸ばせども届きはせず

 足を運べど近づくことさへ許されず


 あぁ、今まさにひとつの世界が終わりを迎えた

 右を向けども左を向けども未来(さき)が見えず

 耳を澄ませど福音は聞こえぬ


 三日月(つき)に乞う

 願わくば、我に七難八苦を与え給ふな


 人は産まれながらに探し求め

 歳を重ねども重ねども追い求むる


 あはれわれ、温もりを欲す』


 


 ◾️◾️◾️




 いつのまにか寝所から転げ落ちたようだ。


 

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