少年の想い
小さい頃、いつものようにご飯を食べながら、テレビを見ている光景の中で少年はあることを思った。このような温かい生活がずっと続けば良いのにと、少年が願ったのは当たり前のような今の生活を継続したいということ
だが、人は死ぬし現実は厳しい、生きていくのにも食べなければならないし働かなければいけない。
そんなことはまだ幼い少年にとっては、分かり得ないものでしかなかった。
少年は裕福ではなかった。ただ、お金に余裕のある家ではなかった。
そんな境遇に置かれているのにも関わらず、そういうことを考える少年は今はまだ光しか見えていなかったのだろう。
だから、人は死ぬ。なぜ人は死ななければならないのか?なぜこんなにも自分にとって当たり前のような生活を送ることが難しいのかとそれがよくわからなかった。
そんな少年に対しての不幸は突然にもやってくる。親の親戚のおじいさんが亡くなった。
1週間に一度は親と見舞いに行っていたが、その必要がなくなった。
それだけだった。お葬式にも行ったし、火葬もした。
だが、それで人が死ぬという実感が沸かなかった。
次にいつも行っている散髪店のバーで働いているお兄さんが亡くなった。
癌だったらしい、それも同じだった。
人が死ぬというのが悲しいというのは思うが、目の前で亡くなったわけではない。それでも少年は涙を流す。
人が死ぬのは当然辛い
だが、それに対して泣いたのではない。
もう二度と会えないということに対して泣いたのだった。
そんな不幸は絶えなかった。
だからこそ、その少年の叶えたい夢よりも願っているモノの方が強いのだろう。
少年は今はもう20歳を過ぎる。
それでもまだ、その想いが消えて無くなることはない。
少年は永遠に生きたいと思っているのではない。
少年は家族や友人と永遠に語らいたいという願いを持ち続けているだけなのだから