第37話 コレクション&手伝い&新武器
宿屋 銀の槍
「侑季師匠!是非とも見て欲しいものが!」
戻ってきたらと思ったら今度はリリーか、今日はなんだかよく声をかけられる日だな。
「見せたいものって?」
「じゃーーん!これ、です!」
これって言われても…
「えっと、これは?」
ピアス?いや、イヤリング?よくわからないけどアクセサリーだよなたぶん。
「実は今日の私は非常に調子が良くてですね。作っちゃいました!リリーコレクションその7!」
「り、リリーコレクション?」
すごいのかすごくないのかいまいちわからない。ていうかネーミングセンス。
「ふっふっふ、これは私の中でも最高傑作ですよ。こうやって身につけて、では!侑季師匠!何か私に魔法を撃ってください!」
「え?いや、大丈夫なのか?」
「バッチリです!確認済みなので」
いやなにが確認済みなのかさっぱりわからないんだけど…とりあえず一応限界まで魔力を絞っておいて。
「それじゃあいくよ」
「はい!ばっちこいです」
怪我しないでくれよ頼むから。
「[ファイア]」
放ったはずの火球はリリーに触れたかと思うとバシュッと音を立てて消えた。
「は?」
「このよーに!魔法を無効化しちゃうわけなんですよー!」
まじかよ。本当に影も形もなくなってるし。
「すげーなリリー。一体どうやって作ったんだよ!」
「それはですねー」
「それは…?」
ゴクリと喉がなる、一体どんな複雑な過程を経てこんなのを作ったというんだ。
「まーったく分かんないんです、テヘッ」
「いやなんでだよ!」
思わず勢いで突っ込んじまった…自分で作っておいてわかんないってどういうことだよ。
「それが、なんか今日行けるって思えて。それで[クリエイト]を使って見たら…できちゃったんですよね」
「できちゃったって…え、じゃあどう言う仕組みかとかは?」
「むー、たぶん察知した魔法固有の波形をずらしてるものだとは思うんですが。あーでもそれだと消えたとしても魔力は空気中に…」
「…つまり何もわかってないと」
「でもでも!これは私の中でようやくできた2つ目の、魔道具に近い成功作と呼べるものなんですよ!」
二つ目って、リリーコレクション残り五つは失敗作ってことかよ。大丈夫かそれ。
「近いってことは、やっぱり本物とは違うってことか?」
「はい、まあそれは仕方ないんですよね。どうしても魔法で作られたものなのでちゃんと素材というか、物体というか。そういうものにはならないんです」
「あんまりその違いはよくわかんないけどな」
「全然違いますよー!仮に魔力や魔法を無効化される何かがあったら、この宿なんか形もなく消えてしまうんですよ?」
あ、それは怖いな。そもそもこの宿が魔法で作られてたこと言われるまで忘れてたけど。
「んまあそうならないようにちゃんとこの宿は対策済みですけど」
「対策済み?」
「はい、外側はちゃんと木材を使ってありますよ?」
あ、そうだったのか。それは知らなかったな…って違いわかんねえよ。
「やはり物質的といいますか、この世界に存在してるということは重要でしてね!」
「お、おう」
なんか変なスイッチ入れちゃった気がする。俺にはよくわかんないんだよそういう情熱的な話をされても。
その時、ガチャっとドアが開いた。誰か帰ってきたのかな?
「ただいま帰りました、ミーシャか侑季君はいますか?」
「あ、エリル。ミーシャは…どっかいった」
「では、侑季君でいいです。ギルドに一緒に来てください」
「え?」
「どうかしましたか?」
本日3回目の呼び出し、そして二度目のギルド。なに?なんか俺今日あるの?今日は本当に忙しいな。
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本日二度目のギルドに向かう道中です。銀の槍って入り組んでるというか回り道が多くて遠いから行きも帰りも結構大変なんだぞ。
「で、俺はなんで呼ばれたんだ?」
「荷物持ち兼護衛です」
「なんだそりゃ」
「次の旅に向けて新しい武器が必要と思いましたので、それの受け取りにギルドへは行きます。というわけで私は今素手なわけでして」
「それで襲われないようにってわけか」
「用心だとは思いますが。武器を受け取った後は…そうですね。聖水でも買い足しておきましょうか」
「聖水?」
「魔力を急激に回復させる薬ですよ。侑季君には必要ないでしょうが」
必要ないは言い過ぎだと思うが。別に俺だって魔力が枯渇するときくらいある。
「それ、危ないやつじゃないよな?」
「使いすぎなければ体が多少疲れるくらいで済むかと」
「おい、その言い方だと」
「念のためです、使わない場合の方が多いですから」
それなら…いやでも、んー。できることなら使わないで済みたいな。
「使わせたくないなら侑季君が守ってくれればいい話です」
「うぇっ、…声に出てた?」
「いえ、顔で判断しました」
そんなわかりやすい顔してたかな俺…まあ声に出さなかっただけ良かったとしよう。
「言われた通りしっかり守れるよう頑張るよ」
「自分の身くらいは自分で守れますので大丈夫ですよ」
「そこは素直に受け取っておけよ」
「ふふ、冗談です。いざという時はお願いしますね」
相変わらず冗談が多いというか…つーかそんな顔で笑うんだな。今の笑顔はちょっとドキッとした。
「さて、つきました。では入りましょうか」
「あ、おい!ちょま」
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「ギルドカードの確認をお願いします」
「はい、かしこまりました。……はい、エリル様ですね。本日は預かりものの引き取りでよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「…エリルってなんでも武器は扱えるんだったよな?」
「なんでも、というのは語弊がある気がしますが。一通り覚えたつもりですが」
「今回は一番自身がある武器ってことか?」
「はい、一番長く愛用していた種類のものを用意しました」
なるほど、今までのとは違うやつってことか。ていうか、今までより強くなるって…さすが護衛隊長なだけはあるんだな。
「お待たせしました。こちらになります」
「ありがとうございます」
「これは…えっと、レイピア?」
「あってますよ、長さは女子用ですので少し短いですが」
レイピアって、こうしてみるとものすごい細くて折れそうに見えるんだよな。でもエリルの戦い方ってああいうタイプだし…確かにしっくりくる気がする。
「では、行きましょう。荷物持ちはお願いしますね」
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銀の槍
ガチャッ
「あ、侑季君おかえり…?」
「た、ただいま…」
「ただいま戻りました」
「う、うん。エリルもおかえり。なんでそんなに侑季君が重そうな荷物を」
「いや、大したことはないよ」
「だから私も持つと言ったはずですが?」
思ったより買い込む量が尋常じゃなかった。といってもエリルは自分の荷物があるし、それがなくても女の子に持たせるわけにもいかないし。
ただ、うん。次回からは買う量まで聞いておくことを忘れないようにしよう。




