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異世界への輪廻転生  作者: アークセーバー
二人の少女編
20/56

第20話 喧嘩&今&偶然




「まあそう邪険にするんじゃねえよ」


「そりゃあんたは僕にとって大っ嫌いな人やからな」




2人だけの空間に張り詰めた空気が漂う。



これから戦いが始まったとしても全くおかしくない空気だった。



「..侑季君やったな。ほんまに目がそっくりや。隠し子かなんかちゃうよな?」



「バカ言えよ、俺にあんな隠し子がいてたまるかよ」



モラグが苦笑しながら答える。



迅雷の顔は悔しそうな、スッキリしているような不思議な表情だった。



「俺の時といい全力じゃないくせに負けた気になってんじゃねぇだろうな?」



「…あんたん時は全力でやりました〜。変な言いがかりつけんでください〜」



「子供かてめえは…」



モラグの言葉に思うところがあったのか、迅雷はやがて喋り出した。



「あんたん時は僕なりの全力や。否定せんでもらえるか?」



「お前が召喚士ってことを知らなかった俺が戦って勝ったからなんだってんだ」


「僕が一対一でやろうとして負けたんや、なんか文句あるんかいな」


「逆ギレしてんじゃねえよ…」



先の戦いで気力もほとんどない迅雷は地面に寝転がったままポツリと呟いた。




「女を賭けた決闘に無粋な真似するやつがどこにおんねん…」




迅雷の言葉にモラグは返す言葉が見つからず、軽くため息をついた。




「不器用なやつだよてめえは」



「はっ、人の国から女を奪っていったやつには言われたくないわ」



2人は顔をお互いに見合わせようとしない。



「なぁ」



モラグが沈黙を破る。



「やっぱりオウカを連れていったことはてめえは恨んでるか?」


「…何が言いたいんや」


「あれ以来腹を割って話したことなんてなかったからな。てめぇも気にも留めてねえような振る舞いをしやがったから」


「ギルドマスター同士が対立なんかするわけにいかんやろ」


「それはそうだけどよ、なんつーかな」



モラグが言葉に詰まったようで頭をかきながら唸り声をあげる。



「はぁ…そりゃ僕の好きな人をどこのどいつかも知らん奴が急に来て奪っていったら恨まんやつなんかおるか?」


「…やっぱそうだよな」


「でもな」



迅雷は真剣な顔つきで言葉を続ける。



「恨む恨まんの話じゃないねん。あんたら二人がお互いに決めたことを何を今更僕に問うことがあるんや」


「…」


「僕はあの決闘で綺麗に踏ん切りはつけとる、それを今んなって急に聞いてきて…アホなんか?」


「あ、アホはねぇだろ!」


「アホ以外に何があるんや!アホやアホ!」


「だから、子供じゃねえんだから」


「急にうじうじしたあんたの方がよっぽど子供らしいわ!」



二人で子供のような言い合いを続けていたが、迅雷がやがて体力の限界で終結した。



「はぁ…はぁ…ええか?次もう一回僕にそんな話をしてみい。そんときはどんな手を使っても奪い返したるわ」


「な…!てめえ」


「それが嫌だったら二度とそんな話せんことや、分かったな!」



迅雷の迫力にモラグは圧倒されて怯んだ。



「お、おう…」


「ふん、これでこの話は終わりや。僕も上に戻ってるで」



少しふらつきながら迅雷はわざとらしく大股で上へ登っていった。



「…俺も焼きが回ったか?何を聞いてたんだか」




自分に向けてため息をついたモラグだった。




____________________






「話はわかりました。侑季君がわざわざ私の部屋に来たのはそういうことだったのですね」






「いやあの、本当にすみませんでした」


現在俺はエリルの部屋で正座をしている。


なぜこうなってしまったかというと原因は全て俺にある。




迅雷が俺たちの探してる魔道具を見つけてくれるかもしれないという話を急いでエリルに伝えようと思い、ノックもせずに入ったのがまずかった。





運悪く着替え中でしたはい。





「まず自分の体をよく見てください」



「え?俺の体..あ」


改めて自分の体を見てみるとさっきまで戦っていたせいで所々から血が流れていた。



「その状態で部屋のドアを開けてくるのはドッキリですか?嫌がらせですか?」



「本当に申し訳ございません」



やらかした。


絶対怒られる、今回のことに関しては何をされても文句言えねぇ。



「…[ヒール]」



体の傷が回復していく。




ってあれ?



「え、エリル?」


「その傷でずっといるつもりだったんですか?ドMか何かだったのですね」


「あ、いえ違います。ありがとうございます」



「……」





沈黙が、辛い。



「…ノックはしてください」


「…はい」



「悪気がないのは分かっています。ここで私が怒こっても仕方のないことですし」


いや、むしろ怒ってもらったほうが気が楽なんですが…



「反省しているなら次はないように気をつけてください」



二度とやりません。


めちゃくちゃ気をつけます本当に。




「あと…さ、さっき見たのは絶対に忘れてください」


「は、はい」


「絶対ですよ?覚えていたら脳味噌に短剣を刺します」



「忘れます」




珍しく頬を赤らめて声が詰まったエリルに対して戸惑いながら返事をする。


と思ったらとんでもなく物騒な言葉が聞こえてきたので真顔になりながら返事をした。



年頃の女の子の着替えを覗いてしまったのだからこうなるのも当然といえば当然の気もするが。


こんなことは二度とないように気をつけようと肝に銘じて俺は部屋に戻った。




______________



「……は!?今なんか面白いことが起こってた気がする?」



起こってないぞー部屋から出てくんなー。


自分の部屋に戻る途中にミーシャの部屋から聞こえてきた叫び声に内心でツッコミをいれる。



早くエリルのためにも俺のためにも忘れよう。


うん、それが正解だ。






…白、



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