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異世界への輪廻転生  作者: アークセーバー
二人の少女編
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第2話 仲間&月影&もっくん





「うんうん、一ヶ月前とは見違えるほど強くなったじゃないか」


「誰かさんが死ぬほど辛い特訓をしやがったおかげでな」




あれから一ヶ月が過ぎた。特訓とは名ばかりの拷問にも近い一ヶ月を過ごした気がする。


少なくとも今目の前にいる神さまが悪魔か何かに見えるくらいには。



「最初の頃は敬語だったし敬っててくれてたんだけどねー、今じゃすっかりこんなに生意気になっちゃって..よよよ」


「悪いけど人に地獄のような特訓させたやつを敬えるほど信心深くはないな」


「あはは!それもそうかな。まあでもそれも今日で終わりさ」




そう、今日でやっとあの地獄の日々から解放されたんだ、これでもう俺は自由なんだ!



「さて、じゃあ君が異世界へと旅立つ前にいくつか最終確認だ」


アマテラスはこの1ヶ月のなかで異世界についての知識も教えてくれた。中には俺の元いた世界と似てる部分もかなりあり、全く違う部分もあった。



「とはいっても、君が行く世界の言語や最低限の知識は教え込んである。そうそう文化の違いで苦労することはないだろう」



「苦労するとしたら、"魔法"だってことだろ?」



「うん、それが一番だろうね。まあでも君には私の魔力が流れてるんだ。使いこなせてるんだから問題ないさ」


俺が異世界に行くにあたって一番驚かされるであろうことは、その世界には"魔法"というものがあるらしい。


俺個人としては魔法なんてものには全く縁もゆかりもないと思っていたのだが


俺が元の世界で死んだ後、このアマテラスが俺を復活させたのはその"魔法"というものを使ったらしい。



「いいかい?君の体っていうのは元の体はかなりひどい状況だったんだ。それを魔力で繋ぎ止めている状況で」


「だから魔力の扱いには気をつけろっていうんだろ?」


この魔法というものはアマテラスから特に強く教え込まれた。


異世界の人間には魔力を帯びた人間がいて、その魔力を練り上げて魔法へと変化させられるそうだ。


魔力を魔法に変換させる途中に、大きく系統が3つに分かれる。


1つ目は人の体や自然、その他様々なものに魔力を流して性質を変化させて自由に操ることができる[変性魔法]


これは人体を強化したり、水や火を自在に扱ったりと使いやすさが高い魔法のようだ。


応用力、発動の簡単さから言っても多くの魔法はこれに分類され、また使われることも多いらしい。




2つ目は魔力そのものが魔法として発動される[創生魔法]


これは基本的になんでもできると俺は捉えている。


理由は変性魔法が水に魔力を流して自由自在に動かせるとしたら

創生魔法は自由自在に動かせる水を作るという感じらしい。


自分が思った通りのものをなんでも作り出せる上に何もないところから作り出せる点からほぼ不可能はないといっても過言ではないだろう。


それなら創生魔法が圧倒的に有利すぎると最初は思ったが、使って見ると分かったが創生魔法というのはかなり扱いづらい。


まず創生魔法で作り出したものは全てが魔力でできているものなのでかなりデリケートな状態なのだ。


少しの刺激で不安定になって消えてしまうこともあるし、ちょっと気を緩めれば使い物にならなくなる。


他には魔力を通さなかったり無効化するものが異世界にはあるらしく、そういった時に何もできないと言った弱点もあるようで一概に創生魔法が最強とは言えないようだ。


そして、3つ目

魔力を代償として異世界から魔界や天界まで、様々なものを呼び出す[召喚魔法]


この召喚魔法は生き物から持ちものまで自分が具体的にイメージできたものはなんでも呼び寄せれるという便利な魔法である。


しかし、召喚魔法は生き物を召喚することは可能だが、それを自由に使役できるところまでは保証されていない。


なので、召喚魔法で魔物などを召喚するときは魔力を直接召喚魔法に変換するのではなく、適当な物に魔力を通すことで[依り代]を作り、それによって主従関係を明確にしておくのだ。


これは言うなれば変性魔法の要領と同じで物体に[依り代]という性質を持たせることと同じらしいので、召喚魔法は安全に使うならば変性魔法を扱えることも必要であるとも言える。




このように大きく3つに分かれた系統があるが、あくまでこれは大きく分けただけであり3つが独立しているわけではない。


例えばコップに入れた水を自由に操るのは変性魔法だけで足りるが、その水を増やして自由に操るとなると今度は創生魔法の領域にも踏み込むことになる。


また、先述の通り召喚魔法も何かを依り代として生き物を呼び出す場合は依り代に魔力を通す過程においては変性魔法の領域が絡んでくる。


「心配しなくてもあんたに言われた通り魔法の扱い方には十分用心するよ」


俺は、この3つの魔法の中で[召喚魔法]を主として使うことに決めていた。


理由は、アマテラスの魔力が流れたこの体によるところが大きい。


というのも、この体に流れてるのは神さまの魔力というせいか加減がかなりデリケートで難しいのだ。


変性魔法を例にとると、体を変性魔法で強化してボールを投げるとする。


通常の人は1m単位で投げるための力を調節で100mが限度だとするなら




俺の場合は調節が100m単位で調節になり限度がどこにあるのかわからないというパワー系廃人の完成になってしまうのだ。




そして、扱いが難しすぎる魔力で創生魔法を使うとしたらおそらく簡単なものしかできず複雑であればあるほどコンピュータでいうバグが出ること間違いなしだ。



この理由から俺は、通す魔力の量と質によって強さは異なるが比較的調節が効きやすく、魔力のコントロールも難しくはない召喚魔法を主体とすることに決めたのだ。



「それより、召喚魔法っていうのは言うこと聞いてくれる奴が出てきてくれるのか?」


「んー、それは召喚した奴によるとしか言えないかな。ただ、まあこれがあれば大丈夫だと思うよ」


そういうとアマテラスが渡したのは魔力のこもったグローブを渡してきた。



「なんだこれ?」


「いわゆる召喚魔法の依り代だね。私の私物だから大体の魔物は反抗する気は起きなくなると思うよ」


「ふーん...ありがたくもらっておくよ」


「あとは、いきなり全く知らない魔物を呼び出すのもつまらないだろう?九尾!出ておいで」




アマテラスが呼ぶと体長は3メートルほどである尾が9つに分かれた狐が現れた



「こいつを君のパートナー第一号に任命しよう!」




その気品さは神の使い魔であったからか、はたまた自身が持つ気高さゆえになのか。堂々たる風格だった。



______見た目は




「アマテラス?もう少しましな召喚獣はいないのか?」


俺はこの九尾を使い魔にすることについていささか、いやかなり乗り気ではなかった。

理由は簡単である。




「ましなとは随分な言い方だな侑季様よ。俺は侑季様のためにあれだけ汗水垂らして特訓を手伝ってあげたというのに」




「たぶん数ある特訓の中でもお前に追いかけ回されるのが一番しんどかったよ」




こいつとは初対面ではない。というか約1ヶ月間俺の特訓の指導員的な役をしていたのでかなり顔なじみだ。



「侑季様が走れる限界ギリギリでずっと追いかけ回してやったからな」


「人を追いかけ回す時にあんな笑顔をするのはたぶんお前くらいだろうな」


「いやー、ほらさ。あれぐらいまじめに頑張ってるのみるとなんか笑っちゃって」


「それが主人に対する態度かてめえ」


率直に言うならばこいつを使い魔にするのはまっぴらごめんだ。見た目は気品溢れるかっこよさなくせに中身はこんなお調子者だ。



「まあまあ、君たちは何だかんだ言って相性バッチリだと思ってるよ。心配することはないさ」


「そうだそうだー。俺も侑季様とは気があうと思ってるぜ」


「様だけつければ敬語になると思ってないかお前?」


「しょうがねぇだろ。いきなりお前をご主人様扱いなんて言われてもなー」


それはこっちも同感である。というかこいつに様付けとか正直されたくない。



「あ、そうだ!じゃあよ、相棒じゃだめか?」


「相棒?」


別に呼び方は気にしないのだが..なんで相棒?



「まあ別にいいけど」


「よし!それじゃあんたも俺の呼び名を決めてくれよ」


「呼び名?九尾じゃないのかお前」




「あー、侑季君。九尾っていうのは種族の名前だからこの子本人の名前じゃないんだよね。あたしがつけようとしたときもあったんだけどなぜかいらないって言われちゃって」



そうアマテラスが言い出したとき九尾の尻尾がわずかに揺れたのを俺は見逃さなかった。



「...ちなみになんて名前にしようとしたんです?」





「この子はね。もふもふだからもっくんって名前にしようと思ってたんだ!」






...思いがけない名前に思わず俺は吹き出しそうになるのをなんとか堪えた。九尾は俺に目でなにかを死ぬほど訴えかけている。



「ま、まあいいじゃねえかそれは!それより俺は相棒につけてもらいたいんだよ」


「ふーん..もっくんでいいと思うんだけどなー」


なるほど、こいつが今まで名前を貰わなかった理由はこういうわけだったのか。

となるとこれは俺の命名センスが問われる大事な場面になりそうだ。



「んー..狐、九尾..か」


俺の背丈よりも高く雄々しく立つ姿はやはりみるものを圧倒させる。金色の輝く毛と九つに分かれた尾は否応でも目にとまるだろう。


背景に月でも似合いそうな感じである。と、考えたところで思考が止まる。


月か、こいつの名前の由来にぴったり似合いそうだなと思った。となると...



「"月影"はどうだ?」


シンプルだがつきかげという響きはわりと俺は気に入った。自分でつけたやつだけど。



昔の時代では影という言葉には今とは逆の光という意味があったらしい。こいつの見た目と中身の正反対なところも名前にぴったりだとつけてみて存外合ってるように感じる。



「ふーん..月の光なんてたいそうな名前をつけていいもんかね」


実際こいつは喋らなければ美しいのだ。月を名前に使ったって負けはしない存在感だろう。



「なんだ、意味はわかったのか」


「そりゃな。相棒の世界のことはそこそこ学んだから意味くらいならわかるさ」


いっそお調子者、とかナルシストみたいな名前をつけてみたら面白かったのだろうかと少し考えもしたがさすがに可哀想なので胸の中にとどめた 。



「で、どうだ?気に入ってくれたか」


「月影...ね。まあいいんじゃねえかな、悪くない」


「えー私はもっくんの方がいいと思うけどな」


月影の目が少し見開き、冷や汗らしきものが顔から垂れる。そんなにもっくんは嫌だったか...よかったなその名前にならなくて。



こうして新たな仲間?の月影が加わった。


こいつと旅をするのか..すっげー疲れそうと思ったが、もしなんかあったらこいつのことをもっくんと呼んでやればいいな。


そんな意地の悪いことを思ったことは口に出さないでおくことにした。

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