報酬&出会い&ランク
ロンダの町 ギルドの会議室
ここではギルドマスターの会合開かれ、情報の交換会が行われることがある。
理由は様々であるが、臨時のもの、定期的なもの、それによって集まるメンバーの数も違ってくる。
ギルドの本部であるロンダの町は各支部のギルド達が一堂に会す場所として使われることが多く、今日もまた使われているのだった。
10人ほどはこの場にいるであろうか、その誰もがギルドの代表であり歴戦の強者である風格を漂わせている。
その中にオウカとモラグがいた。
「..私からの報告は以上よ、質問はあるかしら?」
「そうじゃのお…あんたらが白の称号を与えたという報告が来た時は驚いたが、まぁワシからは止めはせん」
「感謝するわ長老、皆も特にないということかしらね?」
その場にいた者が皆、特に大したことではないという顔をしている。
「それじゃあ、呼んでおいてすまねえが。特にねえならこれで解散ってことで」
オウカとモラグはこの場においてロンダの町のギルドを管理している責任者であり、モラグはギルドマスターでもある。
そのモラグとオウカから話された内容は、侑季達3人にモラグが白の称号を与えたということだった。
白の称号はギルドマスターなら誰でも与えることができるゆえに、ギルド内では誰が手に入れたかを確実に共有される。
普段なら書類一枚かその程度で済む出来事だったのだが。
「自分の色の称号はおろか白すら一度も与えて来んかったモラグさんがねぇ?そんなに魅力を感じる男やったんですか?」
1人の男が口を開いた。
だが、その質問はここにいる皆が同じ疑問を抱いていたらしい。
「迅雷、お前もあってみればわかるんじゃねえか?」
「けったいな自信やなぁ」
ここにいる皆は、侑季という人物に興味を持っていた。
モラグが白の称号を初めて渡した相手、それを見定めてみたいと。
「まぁそのうち会えると思うぜ?いつかはわからねえけど」
「ふーん、さよか」
「…はい、質問がないようならこれで終わりよ。解散」
オウカの声が響いたあと、ギルドマスター達はここに侑季がいないのではもうやれることもないと思い帰っていく。
____________ただ1人を除いて
「…なんだ、帰んねえのかてめぇ?」
「やっぱ興味がわいてな、この町にいれば侑季君って子に会えるんやろ?」
モラグに突っかかっていた男だけが、その場に残っていた。
「僕なら旅人やからここに泊まっていったってあんたらみたいなギルドマスターと違って迷惑をかけることもない、ええやろ?」
「そんなに興味があるんなら好きにしろよ」
「ありがたくそうさせてもらいますわ」
「だが、うちの大事な奴らに何かする気じゃねえだろうな?」
モラグの声が少しだけ脅しの色を見せる。その声は風格も相まってか空気を震わせるような威圧を感じさせる。
「わかっとります。ほんまに興味があるだけやて」
「…それならうちの宿に泊まってけ。あいつらも丁度帰ってくるかもしれん」
「お、さすが話がわかってるやん。助かりますほんま」
(迅雷が侑季君と会うのよね..大丈夫かしら)
話には割り込まなかったものの、迅雷が銀の槍に来ることに一介の不安を覚えてるオウカであった。
「あ、その前に。先に宿に行っててもらってええで。僕下の階に用事あるから」
「ん?あぁ、お前場所わかってるから心配もいらねえか」
「せやせや、そういうわけで。また後で」
_____________________________
ギルド 一階
ここでは依頼の受付や報酬の受理などが行われる。
また、仲間を探したりパーティーを組むために集まる人たちもいる。
「それでは、こちらが一角熊を倒した報酬となります」
報酬は1000ギル…ここの貨幣の価値はまだ把握していないけど、多分多いのかな?
「これで私たちの初仕事は成功だね」
「ああそうだな」
ミーシャの嬉しそうな顔はつい俺もつられて嬉しくなるな。
「また、今回の依頼の成功により、御三人のランクを10から9へとお上げいたします」
ランク?あ、そういえばそんなことも言ってたような。
でもこんなにすぐ上がるのか…一角熊は確かに初心者の相手には強い相手だけど。
「体をほとんど傷つけずに捕獲までした手腕、お見事でしたとのお達しです」
あ、あれ捕獲まではしなくてよかったのか。
それなら月影を出しても良かったかもしれないのに。
「あの、そういえば一角熊をなるべく綺麗な形で残す必要があったのはなぜですか?」
「一角熊は毛皮や角などが貴族の間で人気がありまして、商業的な人気があります。さらに今回の件については一角熊が出る場所が異常でしたので、それについても調べるつもりでしたので」
ああそれも確かそんなこと言ってた気がする。一角熊は本来森の奥にいる奴なんだっけ。
「侑季君、用事も終えたのでもう行きますよ」
エリルの呼びかけに応え俺はその場を後にしようとした時だった。
「うぉっ!」
振り向いた瞬間に誰かとぶつかってしまって少しよろめく。
「す、すいません!俺の不注意で!」
「いやいや、こっちもぼーっとしとったから。すまんなどーも」