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異世界への輪廻転生  作者: アークセーバー
二人の少女編
14/56

第14話 作戦&戦闘&罠



ロンダの町から歩いて3刻ほどのキリルの森は、ギルドが交通の要として管理をしているため他の森に比べて安全性がかなり高い。



すこし脇道に逸れるとゴブリンや場合によっては野盗などがいるということはあるが、それを頭に入れておけば命を落とすことはないだろう。


侑季達3人はそんな森の中の脇道で本来いるはずがない一角熊を探していた。



「あ、これ!一角熊が通った証拠に木に爪跡があるよ」


「じゃあこの辺で間違いないか、よく見つけたな」


俺たちは現在一角熊の手がかりを見つけてこれからどうやって仕留めようかという段階に差し掛かっている。


ここまですんなりと手がかりを見つけることができたのは今のようにミーシャのおかげだな。


ミーシャは動物の通った後や木の状態などから魔物が少ない場所を的確に見極めた。



本人曰く、動物は昔から好きで詳しいらしいとのことだ。


一角熊も動物の範囲に入ってるんだな、魔物だけど。



「さて、どうやって仕留めようか」



ここまでくれば、いつ一角熊と出くわしてもおかしくない。となれば早めに出会った時にどうするかを予め決めておくべきだろう。



「簡単な罠などは通じないと思いますし、まずはしっかり姿を捉えて置きたいですね」


「確かに不意打ちでこっちが後手に回るのは避けたいな...」


「とりあえずじゃあ、足跡をたどってみる?」


「足跡って、わかるのか?」


「んーとね、多分だけど分かるよ」


俺にはさっぱりわかんないけど、ミーシャはわかるんだな。



「では、ミーシャの意見に従いましょう。頼めますか?」


「うん!やってみる」



____________________




「いましたね」


「あぁ」


「いたね」


あれが一角熊か。


実際に見てみると遠くからでも危険なことがよくわかるな。



「どうする?後ろは取ってるけど」


「うーん、背後から一撃で?とか」


「一角熊はかなりタフだし、一発では難しいんじゃないかな?」


「角以外なら私の剣も通りますが、素早いので痛手を負わせるほどは無理かと」


今日はモンスターが相手ということもあって始めから帯刀しているエリルが難しげにいう。


特に武器にこだわりがないらしくだいたいのものは使えるらしい。



師匠のモラグがそういう人らしく一通り使えるように教わったそうだ。


今持っている武器はショートソードといわれるタイプでリーチはさほどない。


重さはないので一角熊に当てることは可能だがかなり近づく必要がある。


ギルドからの討伐依頼は出来る限りは形が残っているのが理想とのことだったので、正直俺の魔法はあまり使いたくない。


たぶん昨日覚えた魔法の出し方だと力不足だし、普通にぶっ放せば跡が残らない気がするし。



「うーん..じゃあ、一角熊の動きを止めれるくらい頑丈な罠とかがあれば」


「いや、さすがにそれは無理だろ。あいつの動きは鉄程度なら引きちぎって動けるみたいだし」





「では、自分から動けなくさせるのはどうでしょう?」



「「え?」」




_______________________





「ということです」




...なるほど、シンプルだが悪くない作戦だと思う。


それならオレの魔法も手伝えると思い作戦をもう少しだけ練り上げる。



「よし、それでいこう」



「準備はどれくらいかかると思う?」


「そうですね..準備自体はすぐに終わります

。あとはここにうまく誘導をしましょう」


「それならたぶん大丈夫だよ。一角熊は獲物を見かけたら捕らえるまでずっと追いかけるから、私たちがここまで連れてくればいい」


囮となってここまで連れてくるわけか。下手をやらないように気をつけないとな。



「それじゃあ準備を始めるか」



_____________________




「侑季君、こちらは準備ができました」


「よし、俺も準備できた」


「ミーシャ、今の一角熊の場所はどこですか?」



「んっとね…木の上からギリギリ見えるレベルかな。そこまで遠くはいってないよ」


「了解です、では侑季君。あとは頼みました」


「おっけー任せろ」


エリルとミーシャは木の上に登って息を潜める。


それじゃ、次は俺の仕事だ。



________________________



一角熊は気性が荒く怒ると手がつけられなくなる。


また、獲物を前にすると仕留めるまで追いかけ回すしつこさも相まって一般人にはとても危ないモンスターだ。


もっとも、本来の生息地は森の奥深くにあるため人が自分から探しに行かない限りは会うこともない。


今回はその一角熊の気性を逆手にとらせてもらうぜ。



「よし、見つけたぜ」


まだこちらには気づいていない。


それじゃ、まずは挨拶がわりに一発。



(よし..くらえ!)


「[ファイア]!」


勢いよく発射された火球はまっすぐに一角熊に向かって飛び、角に当たるが傷1つつかない。


一角熊はこちらに気づき、苛立ちを隠さずに吠える。



(傷1つなしかよ、やっぱこっちの打ち方だと威力足りねぇなぁ)


威嚇目的とはいえ正直ちょっとくらいは怯んでくれてもよかったのだが。


まぁ本当に傷が付くと価値が下がるかも知れないし、本当の目的はこれからだ。


(さぁこっちにおいで)


後ろに振り返って直ぐに逃げる。


一角熊は俺を獲物と捉えたようで狙い通り追いかけて来た。



(えっと、ここを右)


逃げるルートはすでに決めてある。


なるべく木の多く開けていない場所を通る。


ただし、エリル。お前ならそこに射線が通ってるのを見逃さないよな?



「[ショット]」



エリルが目的地から木の隙間を縫って俺の後ろの木を倒す。



(すれすれじゃねえか今の…!当たってたらシャレになんねえぞ)



俺の後ろで倒れた木は、一角熊を上手く足止めさせて、加速をさせない。



「グルルルルルア」


お、俺じゃなく魔法が飛んで来た方を向いたか。



「そうはさせねえ..[ファイア]!」


エリルとミーシャは狙わせねえぜ。



「侑季君!そこだよ!」


ミーシャの叫ぶ声が聞こえた。


よし、それじゃあ。


引っかかってもらうぜ、一角熊!



「グルル…ガウ!」


距離を縮めた一角熊が俺に向かって飛びかかってくる。



「[ジャンプ]!」


すかさず覚えた新魔法で真上に跳ぶ。


(あ、いかん。思ったより飛びすぎたかもしれん)


着地のことは後で考えよう。



一角熊は飛びかかりに行った勢いのまま俺を見失った。



そして跳んだ足が地面につこうとした時。




_______「残念、そこは落とし穴」



一角熊の足元が急に崩れて穴があらわになる。


(よっしゃ成功!)


例え簡単な落とし穴だとしても、それが自分が跳んだ勢いで、さらに予測しない状況できたら効果はてきめんだ。



バランスを崩した一角熊は抵抗できずにそのまま足元の穴へと落ちていく。



「エリル!」


「わかってます」


木の上でスタンバイしていたエリルが剣を構え一角熊へと斬りかかる。



「[パラライズ]」


______心臓へと突き刺した剣は刺さると同時に一角熊を痺れさせ自由を奪う



「グギャアアアアアアアアアア」


一度だけけたたましく吠えたかと思うとそれからぐったりと倒れた。


エリルは突き刺さった剣を抜くと血を拭き取りため息をつくと肩の力を抜いた。



「よっしゃエリル、ナイ」ドサッ



痛!着地のことすっかり忘れてた。



「もーしまらないなー侑季君」


「いてて、ごめんごめん」


加減を間違えたなー。もう少し跳びすぎないようにするべきだった。



「全く…全身麻痺で動けないはずですので。あとはギルドに引き渡せば大丈夫かと」


「エリルも侑季君もお疲れ様!二人ともすごくカッコよかったよ」


「おう、ミーシャもな」


最後の仕留める部分ではミーシャはなにもしなかったが、そこに至るまでの過程、特に索敵は素晴らしかった。



「えーそんな、私は最後なんもしてないよ」


「狩るまでの全部が必要なんです。戦う瞬間だけが重要なわけではありませんよ」


「そうそう。で、これはどうすればいいんだ?」


横たわっている一角熊を見てみる。


麻痺が効いているので動く様子は全くないが生きてはいる。


動けるようになったら俺達も危ないな。



「麻痺が効いて動けないはずですし..普通ならば殺してしまって解体すればいいのでしょうけど」


「できる限りそのままで残さなきゃなんだよね?でも生け捕りにする必要あるのかな」


「ギルドが望んでいるレベルがわかりませんので」


じゃあどうするべきだろうか?さすがにこのサイズの重荷を持って歩けば麻痺も解けてしまうだろう。



「私たちにはどうにもならないので、これを使いましょう」


そういうとエリルは懐からギルドカードを取り出した。



「これでギルドと連絡が取れるので、あとはそちらに任せましょう。


貰ったギルドカードにそんな効果があったのか。



「…オウカさんが渡した時にしっかりと話してくれていたはずですが」


「え?そんなこと言ってたっけ」


「お、俺は覚えてたぞ」


そんなことも言っていたような気がする…ような。



「あなた達はいったい何を聞いてたんですかあの時」


「ま、まあエリルが覚えててくれたんだ。結果オーライって事で」


エリルが呆れた顔でこっちを見てくる。


すいません、全く聞いてませんでした。


でも、ミーシャも聞いてなかったみたいなんです。


だから、仕方ないってことになりませんかね?


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