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異世界への輪廻転生  作者: アークセーバー
二人の少女編
13/56

第13話 信頼?&恋愛?&からかい



「それにしても」


「ん?」


「ほんとに、お人好しなんですね」


急に話が変わったと思ったら、なんの話だ一体?



「俺が何かしたか?」


「会ったばかりの私たちに手を貸して、今度は一緒に一角熊の討伐に行くんですよ。お人好し以外のなんですか一体」


そんなこと言われても、助けたいと思ったから助けてるって感じだし。


お人好しかって言われると…まぁでも結果的にそうなるのか。



「でも、エリルの方がよっぽどお人好しだよ」


俺からすれば自分の命を危険に晒してでもミーシャを守ろうとしてるエリルの方がよっぽど筋金入りだ。


「私の場合はミーシャとはずっと昔から一緒だったんです。侑季君とは場合が」


「一緒だよ。誰かのために自分の命まで張れる。よっぽどエリルの方がお人好しだ」


「はぁ…何を言っても通じなさそうですね」


「こう言う性分なんでね」


俺が少し笑うとエリルも少し笑ったような気がする。たぶん。



「では、失礼しました。明日はよろしくお願いします」


エリルは一礼をしてドアを開けて出ていった。


相変わらず丁寧な言葉遣いだけどいつもこの口調だしこれが素なんだろうな。


本音としてはもっと笑ってほしいけどな。


余計なお世話だけど笑った顔は絶対可愛いと思うけど。



コンコン



「ん?なんか忘れ物したのかな」




「侑季君、ちょっとお喋りしようよ」



あれ、ミーシャ?



「どうしたんだ?」


「んー、まだ寝るには早いかなって。ね?いいでしょ」


「まぁ別にいいけど」


「やった!それじゃ、お邪魔しまーす」


どうせならさっきまでエリルがいたんだし3人で話せればよかったかもな。


あれ?でも入れ違ってたはずだよな。



「よいしょ」


「…ミーシャ、座るとき声出すの年寄りみたいだからやめた方がいいぞ」


「え〜、失礼しちゃうなぁもう」


「悪い悪い、で?喋るって言ってもネタなんか持ち合わせてないぞ俺は」


急に雑談しようなんて言われてもなぁ、何を話せばいいかすらわかんないし。



「えー喋るネタならあるよー」


「なんの話だ?」



「さっきの二人の話とか?」



「…盗み聞きか」


「嫌だなあ、偶然聞こえただけだってば」


いや、絶対に盗み聞きだろこれ。



「で、なんだよ。話すことなんて特にないぞ」



「えー?なんか私の知らないところで随分といい雰囲気になっておりますな〜」


そのにやにやとした顔でこちらを見つめて来るのをやめろ。


お喋りって初めからからかう気で来たなこいつ。


エリルがすぐに出た後鉢合わなかったのもどっかで隠れてたからか。



「聞いてたんならわかるだろ?あれを聞いていい感じって思うなら、それはお前の耳が腐ってる」


「いやいや、他の人なら違うけどエリルだよ?」


「エリルだったらどう違うって言うんだよ」



「エリルはね?人に頼らない、助けを求めない、弱音を吐かない。とにかく自分一人でなんとかしようとする子なんだよ」


なんとなくだが想像できるな。


エリルは人に助けてもらうとか嫌いそうだし。



「それが侑季君にはこんなに頼るようになっちゃって」


「いや、話聞いてただろ。明らかに俺を頼ろうって感じではなかったはずだ」


「いやいや。初めて会った時からエリルは侑季君のことを頼りにしてるよ」


そんなことを言われたところでなぁ。


別にエリルは俺に弱音を吐いたわけでも助けてって言ったわけでもないし。



「それに、'侑季君はお人好しですね'なんて言っちゃってさ。助けてもらって嬉しいくせに」



大げさにウンウンとうなずかれても俺はまったくピンとこないんだが。



「まぁ、冗談交じりの話は置いといて。私は最近明るくなったエリルを見て侑季君にお礼を言いたかったんだ」


「明るくなった?ずっと冷静っていうか、無表情みたいな気がするけど」


「そんなことはないよ。気分まで沈んだら終わりだからって思って私はいつでも前向きでって思ってるし、エリルだって冗談は言うじゃん」


旅の途中で冗談を言ったりしていたのはだからだったのか。



「だけど、それでもやっぱり大変だったからね。最近のエリルはちょっと元気なかったんだ」


ずっと張り詰めていたんだろうなというのは分かる。


当然こんな状況に置かれれば元気でいろって言う方が無理だ。


むしろ一番大変なミーシャがここまで元気なことが不思議なくらいだ。



「だからね、侑季君のおかげで元気になったエリルを見れて。すっごく嬉しいなって」


「それはよかったな、まぁ俺のおかげかは置いといて」


仮に俺のおかげでエリルが元気になれたって言うんならそれは嬉しいことだ。


人間、元気でいる方が絶対にいいに決まってる。


それだけ友達思いなミーシャも本当にいい子なんだな。



「うん、だから〜二人にはもっといい関係になってもらってもですねーぐふふ」


よし、2秒前の俺。今すぐ消え去れ。



「ミーシャ、帰れ」


「わわわ!許して!笑ったのは謝るから!」


「謝るのそこかよ、まずいい関係にの部分を撤回しろよ」


「いや、だってそこは本当に思ってるよ?二人が付き合ったらいいなって」


「やっぱり帰るか?」


「本当だって〜。エリルがあんなに元気そうなんだもん、幸せになってほしいと思うじゃん」


人の幸せを願うのは非常な結構だができれば別のやり方で願ってもらいたい。


ていうか話が飛躍しすぎなんだよ。



「ミーシャの思うようなことは起こらねえよ」


「えー?侑季君はエリルのこと嫌いじゃないでしょ」


「好き嫌いの話じゃないだろ、それに好きだって色々な種類がある」


「うーん..確かにエリルも恋愛としての好きかって言われるとまだたぶん違うんだろうけど」


「まだってなんだ。起こらねえよそんなこと」


「いや、私の勘ではきっと近いうちに何か起こると思うよ」


「勝手にエリルの恋愛を予測して遊んでんなっつーの」


とりあえずその勘というのは全く根拠がないので無視しよう。


そもそも、俺はこの二人に大きな隠し事をしている。


付き合うとかいう話ですらない。まずこの二人に俺はいつか話せてようやく二人に胸を張って会うことができるんだ。



(異世界から来たこと、いつか説明しなきゃだよなあ)


二人が信頼してくれてるんなら、信頼には信頼で答えたい、と思う。


伝え方をどうしたらいいかすらよくわからないので今はまだ言えないが。



「どうかした侑季君?」


「..いや、なんでもないさ。それよりそろそろ部屋に戻らないと明日が辛いぞ」


「あれ?もうそんな時間。うーん…じゃあこの話はまた今度ってことで」


ミーシャはおやすみなさいと声をかけて元気にドアから出ていった。今から寝る人間の元気さじゃない気がするけどな。



(さて、俺も寝なきゃだな)


明日は一角熊を狩りに行くわけだ。


油断をしてれば足元をすくわれるだろうし体をしっかり休めておかなければな。


そんなことを思っているとやがて視界が暗くなり、そのまま眠りについていた。



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