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異世界への輪廻転生  作者: アークセーバー
二人の少女編
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第1話 死亡&神様&異世界

挿絵(By みてみん)




「あ、俺死ぬんだ」




それは声に出したのかそれとも心で思ったのか。

そんな判別もできないほどの一瞬の時間。




ただし俺は今から死ぬことだけは確かに理解できていた。




なんで俺がこんな目に遭っているのかなと少し考えてみる。



自業自得といえばそれまでだし、この状況は自分の招いたものであることに異論はない。



しかしその原因を作った人を考えるに、それはやっぱり俺が今突き飛ばしたこの女性だな、とも思う。



20前半くらいの年に見える。

肩より下に伸びた長い黒髪と見るものを引きつけるような綺麗な顔立ち。


俺はその女性が車に轢かれそうになっているのを目の前で見た。




俺はそこまでお人好しや善人といった類ではない。


だが、目の前で人が死にそうになっていた時に黙ってみているほど血が通ってない人間でもなかったようだ。




________考える前に動いていた




彼女を助けなければと、体が脳よりも先に決断を下した。



だからこそ結果として思慮が足らずこんな結果になってしまっている...という笑い話にもならない状況に今俺は置かれている。



などと冷静に自己分析をしていられるのはやはり俺が死ぬことが確定しているからか、と半ば諦めのような考えが頭をよぎる。




俺は車に轢かれそうな彼女を助けようと突き飛ばし、結果自分が車に轢かれるという大失態をしてしまったのだ。


あぁ、車に轢かれるのって痛いのかなぁ。

できるならば痛みなど感じずに楽に死にたいと願う。


そんなマイナスなことを考えていると視界に入っている女性が俺を驚いたように見つめている。


何が起こったか理解していないように見える。言ってしまえば俺も正直何が起こってるのかと言われたらわからない。


ただ驚くほどこのゆっくりと流れる時間のせいでどこか冷静になれている節がある。


しかし見れば見るほど綺麗な女性である。

俺はこんな綺麗な女性を助けることができたのだから誇りに思うべきなんだろうな。



グシャッ



どうやら自分の体が車に轢かれ始めたようだ。


______ああ、痛みは感じなくてよかった..


人間死ぬときは脳内物質が出まくって痛みをなくすというような話を聞いたことがある。

おそらくこれもその類なのかもしれない。




「あ...」




だんだん意識が遠のいていく。おそらくもう限界なのだろう。視界も眩み、何も見えなくなっていく。




______来世は、もっといい人生を楽しめたらいいな




薄れゆく意識のなかで俺はそんな言葉を思った、あるいは口に出していたのかもしれないが。




____________




「あれ..」



ほとんど寝てない日の寝覚めのように頭は痛く体はいうことを聞かない。

ついでにいうなら目も開かない。

体験したことはないがまるで金縛りにあったような状態のなかで俺はたった1つのことだけを考えていた。




______生きてる





体を起こすことはできないがかろうじて手をグーパーすることは可能だ。

頭も多少の気だるさが襲うだけで思考はこのように可能である。




つまり、間違いなく俺は生きているのだ。





となるとここは病院なのだろうか。俺は働かない頭をなんとかフル活用して思考を巡らそうとする。


しかし、まずは視界が開けなければ何を考えても仕方のない。そう思った俺は思い瞼をゆっくりと開け、そして絶句した。



正確には喋っていなかったのだから絶句ではないのだが、そんな些細な言葉尻を捉えている暇などなかった。


俺は目の開けた瞬間にその光景に言葉も思考も、全てを失ったのだ。




______キツネ...?





それがまず俺の目で捉えたものだった。




これがただのキツネなら驚きはしなかった。自分が驚いているのは"キツネが喋っている"という状況だ。


次に目に入ったのは何人かの女性たち。


彼女らはキツネが「喋っても」「掃除をしても」「立ち上がって遊んでいても」それが当たり前のように気にもかけていない。



「....夢、かもしれないな」




最後に俺の目に入ってきたものがこの不可思議な状況をさらに悩ませる。



さっき俺が助けた女性がいる。その黒髪と瞳を見るにそれは間違いない。



さっきの女性がいる。




______怪訝なほど豪華な着物と頭に鏡がついた装飾品を身につけて





「あ、やっと起きたね。"神楽 侑季"(かぐらゆうき)君」



会ったのはさっきの車の出来事が初めてなはずの彼女はそうやって間違いなく俺の名前を呼んだ。



そのままゆっくりと歩きながら俺の方へ近づき、俺の頭に右手をかざした。



「私の名前は"アマテラス"。君にはとりあえず話したいことがいっぱいあるんだけど」




言いながらアマテラスという女性は右手を光らせてその光を俺の頭に流し込んでくる。



「とりあえずこんな感じでまとめて教えるね」




光から何かが流れ込んでくる。



「っ..!!」




多少の痛みを感じる。なにかが俺に流れてくる。





______これは、記憶...?





「んー、ちょっと違うかな?記憶というよりは情報だね」



声に出してないはずの考えを読み取られる。



「今あなたに流してるのはあなたが知りたいはずの情報と私が伝えたい情報だよ」



アマテラスの声がどこか遠くで聞こえてるように思えるくらいに頭の中にさまざまな情報が入ってくる。



俺はあの時たしかに死んだこと。



このアマテラスという女性によって復活させられたこと。



そして、この目の前にいる女性は「神」だということ。



特にこの三つが俺にとって重要なことだった。



「さて、こんなものかな」


そういうとアマテラスは光を消し、俺に向かって笑いかけた。



「では、侑季君。あらためましてかな?」



俺は目の前の女性が神であるということに戸惑いを隠せない。


だが、目の前の光景と流れてきた情報が否応にも彼女が神だと認識させられる。



「あなたは、一体なんで俺を助けたんですか?」



俺は今の疑問を一つづつ紐解くのに必死だった。




「あー..まあほら。君が死んだのってほぼ私のせいだからさ。死なれたのがちょっと申し訳ないっていうか」



アマテラスは少し申し訳なさそうにあの時の状況を語り始める。



今度は呆れて頭が痛くなりそうな話であったがなんとか要約すると。



彼女は下界にとても興味があるらしく人間に姿を変えてはよく楽しんでいること。



たまたま考え事をしていたら車に轢かれそうになっていた時に俺が出てきたらしい。



さすがに神のお楽しみのせいで人間を一人殺してしまったのはとても申し訳ないのでこうして復活させたということ。であるようだ。



「いやー、その..ね?実は私神だから実は轢かれても怪我することはなかったんだよ」


何より衝撃を受けたのはこの言葉だった。言うならば死に損である。



「まじでかよ..」


別段なにか見返りなどを求めていたわけではないが、それでも自分のやったことが完全に無駄であると聞かされてはさすがに落ち込みを隠せない。



「ま、まあそう落ち込まないで!助けてくれたのは嬉しいからさ」


「そうは言ったって意味なかったじゃないですか」


半ばヤケクソな状態である。こうなってしまった以上はもうなにもかもこのアマテラス様に全てを託すしかないようだ。



「それで、これから俺はどうなるんですか?」


「あぁ、それでね。さっきお話しした通り君が死んでしまった以上はもう元の世界に戻ることができないんだよ」


生き返っているのに元の世界に戻っていない状況から察してはいた。このまま俺は天国か地獄行きなのかもしれない。



(正直天国とか行けるような気がしねえ)


冷や汗がでる。このままでは俺は地獄行き確定だ。少なくとも今この神様の前で自分は善人ですと自信を持って言えるような行いはしてきていない。



「それでね、だから君は」


「ま、待ってくださ」


言い切る前にアマテラスからは衝撃の言葉が伝えられた。


それはある意味では幸運でもあり


また、不幸とも取れる言葉だった。





「別世界に転生してもらうってことになるかな」





「...え?」




いくらなんでもその言葉は予想だにしていなかった言葉だった。



「というか現状これくらいしか私がやれることないんだよねーあはは」


いやあははじゃねえ。一からなにがどうしてそうなったのか説明しやがれせめて。


何故このアマテラスとかいう神はこんなに陽気なのだろうか。こっちからすれば死んで生き返って今度は別世界に行けと言われて頭が痛くなっているのに。



「んで、まあそうだねー。今から急に異世界に行けなんて言われてもその辺で野垂れ死ぬのがオチだし」


いやその前に異世界ってまだ話に追いつけてないんだってば。わかってくれよそこを。


今俺まだ何も飲み込めてないからな?まず俺からすればこのイレギュラーな状況になんとか順応してるだけでも褒めてもらいたいレベルなんだぞ。


「よし!君は私のもとで一ヶ月間を準備期間としてすごそう。そうすれば次の世界でも多少は楽になるだろう」


だめだ。話が通じない。というかもしや俺の意見を聞く気は無いんじゃないだろうか。


神様ってもっとこう人間の言うことを聞くというか、お願いを叶えるみたいな感じだと思ってたけど。


蓋を開けて見たらまさかの陽気なお姉さんだったよ…話を聞かないというおまけ付きの。



「あの、俺の意見は?」


「ん?何か要望があるなら聞いてもいいけど、これでも私神様だし。でも、異世界に行くのはもう確定だから変えるのは無理だよ?」


「....いや、わかりました。特にないです」


「うんうん。なかなか賢い選択だと思うよ」


ここまで拒否権がない状況ではどうすることもできないんだよ。という言葉を言いたくなったがそれも徒労になるだろうと思い口をつぐんだ。


いや正直これに関したは俺は声を上げて抗議してもいい気がする。


でも相手神じゃん、怖いじゃん、正直な話神様に逆らうとかできるわけないじゃん。




「それじゃあ異世界にむけて特訓!頑張ろうか!」




満面の笑みで言われているが俺にはかなりの突っ込みたい要素がある。


準備ってそういう準備?ていうかなんでそんなにやる気を出してるんでしょうか。



「まずはなにからしよっかな...あ!そうだ」


それから先の一ヶ月のことは語ることすらしたくない。というか思い出したくない。




....思い出したら気分が悪くなってきた

はじめましてアークセーバーです。

この度始まった「異世界への輪廻転生」ははじめのうちは毎日深夜1時投稿を予定しています。

ストックが尽きた場合はその時におしらせしますのでほぼ毎日投稿するつもりですのでよろしくお願いします。

面白いと思ったらでいいので評価や感想など歓迎しているので気軽にしてください!

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