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永久凍土を溶かしたい  作者: sir♂
2/5

綺麗

眠し

唐突だが朝、投稿する時点で陰キャかどうかを見分ける簡単な方法を教えようか。完全ではないけれどね。


単純明快。


下を向いて歩いている人はだいたいの確率で陰キャだ。

あくまでも、"だいたい"だ。


下を向いて歩くのは普通はしない。何故なら、人間は状況確認をするために五感を使用するからだ。人間は五感から情報を得、即座に変換して必要な命令を出したりする。歩くためにはかなりのことが行われているわけである。


安全に歩くためには当然、視覚は大事な要因だ。目の前に障害物があるかどうかを見て判断して、避けて歩いたりする。


そんな大事なことを差し置いて下を向いて歩くということはそれよりも意識が別のことに割かれている可能性が非常に高い。


例えば、考え事をしているとか。


まあ、スマホを見ていたりするのは別問題だ。それは作業しているから仕方なく目線がそのほうこうにいくだけの話である。


ここまでの話だと下を向いているから陰キャというのは成り立たない。なんだこの嘘つき野郎めと言われても仕方ないといえば仕方ないな、それは。


だが、こう言わせてもらおう。


陰キャとは目線を合わせたがらないものである。


怖いとかではなく、反射的といってもいいかもしれない。そのせいで下を向いて歩くことが多くなるのだ。


悪いがこれは陰キャ共通だ。


今まで「俺は陰キャだぜ☆」といいながら上を向いて空を仰いで歩けた君は陰キャではない。陰キャもどきだ。


話を戻すが、まず、考え事をしながら歩くことは多い。だが、下を向いて考え込みながら歩くことはそこまで無いはずだ。大抵が軽い思考で終わる。


となると、自然的に下を向いているのは陰キャであるというのはかなり高確率で当たるのだ。



で。



なぜ俺がそんな話をするかというと当然実践しているからさ。

入学初日から髪が目元までにかかってて、しかもフチの太いメガネ。身長はそこまで高くないから無駄に目立たない。そしてダメ押しの下向き歩き。


いやぁ、完璧ですね!我ながらほれぼれするほどの陰キャっぷりです!




ちなみにさっきの補足としては陰キャと呼ぶ度合いは人によって変わるよ☆


と一人で楽しくみんなと脳内会話をしてるとあっという間に学校につきました。


校門のとこの塀には校名が入ったプレートが埋まっている。


(うぐいす)高等学校』


公立高校である。

昔は合唱に力を入れていたらしく、なかなかいい成績を残していたらしい。今では見る影もないが。


視線を上にあげ奥にある校舎を見つめる。


「ここに三年通うのか……」


ひとり、小さく呟く。

少しだけ実感が湧いてきた。

何事もなければいいなぁ……あ、これフラ




校門前の車道に急スピードで突っ込んできた黒塗りのなが〜い車が止まった。




フラグ建造からの回収スピード最高スコア出したんじゃないですかねこれは。


とつぜんのことに校門付近にいた人がみんな固まり、視線が車に釘付けになる。

白髪頭の執事っぽい服装をした運転手が降りてきて後部座席のドアを開く。


「オジョウサマ」


めっちゃソプラノの声で一言いった。

……え???ほんとにこの人が言ったのかな?だって超スマートダンディーって感じなんだよ??


ツッコミまくりたいところはあるが、運転手の呼びかけに応じて出てきた人を見てその言葉を飲み込んだ。



綺麗だった。


綺麗な女の子だった。


可愛いではなくて、綺麗。


長い、流れるような艶のある黒髪。


少々鋭い目つき。


透き通るような白い肌。


潤いのある唇。


そこには筆舌に尽くしがたい、美の権化があった。




胸はぺったん、絶壁、まな板だった。




「そこをどいて頂けるかしら?」


そう彼女に言われるまで見惚れていた。

ハッとなり、周りを見渡して俺に言われているのだと理解する。

確かにど真ん中に立ってはいたが、相手もわざわざそこを通ろうとしてくる。


謝罪しながら退こうと思ったが(これはいいチャンスじゃね?)とかいう考えが出てきた。


「ごごご、ごめんなさい……す、しゅみません……」


そう言ってから俺は退いた。


完璧だ(ドヤァ)


どもり、噛みまくって言ったからこれで相手からの印象は最悪だろう。しかも言ってから退いたためにとろいという印象まで与えた。


「ごめんなさいね」


そう言って彼女は校舎に向かって歩き始める。


すぐにざわめきが場を満たした。

「あの子可愛くね?」「やべーよなぁ……」「ほんとそれな!あのこと付き合いてぇ!」「てか、あいつマジで可哀想すぎwww」「めっちゃ噛んでたしなー、キモいわぁ」「あれは引くよねぇ…」


彼女を褒めまくる言葉や俺を罵倒する言葉が飛び交う。


よし、これで俺が陰キャだというのはみんなに確定して伝わったな。手間が省けたよ。あの子にはほんと感謝しなきゃ。


ふと、後ろから視線感じて振り向くとさっきの執事?運転手がこちらを見ていて、頭を下げてくれた。こちらも頭を下げると車に乗り、走っていった。

白魚おいちいゾ

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