番外編3
リビングが騒がしいと思って顔を出すと、リーファとクイナ、ひーちゃんの三人が何か言い合っていた。
かしましいってのはこのことか。
まあ賑やかなのは構わないけど、まだ朝のうちから騒がしいのは勘弁してほしい。
「ジンタは、わたしの手料理が一番好きなんだから、黙ってわたしに任せてればいいのよ」
「聞き捨てなりません。上手なのは認めますが、毎日毎日同じ方の料理では、飽きてしまいます」
「ご主人様は、ボクの料理、たぶん好きだと思うの」
各々の主張が入り乱れている。
三人とも自分の主張をするだけして、他人の意見を耳にしようとしない。
「ジンタ様がリーファさんのお料理が好きだといつ言ったのですか」
「言ってなくても、反応を見ればわかるわ」
「ご主人様、ボクが作ったら、たぶんよろこんで食べてくれると思うの」
リーファとクイナは開戦一〇秒前みたいなピリピリ具合なのに、ひーちゃんだけは、なんかほのぼのする。
睨み合う二人をよそに、ひーちゃんがてくてくとキッチンのほうへと歩いていく。心配なのでついていくと、むふん、と鼻を鳴らした。
「ボクの手料理、ご主人様に食べてもらうの……!」
意気込んだひーちゃんは、窯の上に鍋を置き、薪に火をつける。
ぶふぉぉぉ、と火竜らしく、ブレスを吐くとあっというまに着火完了。
ん?
鍋の中は何も入ってないと思ったら、入っているらしく、ひーちゃんはおたまで中をかきまぜている。
味見をずずずとやって、満足げにうなずく。
……あれ? 中身……シチュー……・
昨日の残りものじゃねえか。
手料理じゃねえ。
「これなら、ご主人様も、大満足なの」
まあ、昨日美味い美味いって言って食ったからな。
ことこと、と湯気が立ち上がる鍋を覗き込むひーちゃん。
ひーちゃん、温めるだけを料理とは言わないんだぞ?
俺に気づき、温めきったシチューを出してくれた。もちろん美味いのである。
「美味いぞ」
むふん、と得意げな顔をするひーちゃんの頭を何度も撫でた。




