謹慎という名のサボり
その日、エンシャント学園理事長であるアントワネットに呼び出された、ミルとパメラ、そしてアカリは、彼女から衝撃的な宣告を受けていた。
「良いですか、あなた方は、この数日間で何度も校則を破っています。掃除をすると言っておきながら、逆に散かすし、授業もサボり気味です。なので、ここで罰を与えます。これから三日間、学園へは来なくてよろしい。自室で仲良く謹慎していなさい」
アントワネットは酷く不機嫌だった。理事長室の高価そうな机を手で叩くと、そのままプイッと窓の方を向いてしまった。
アカリ達は仕方なく、理事長室を出ると、三人同時に溜息を吐いた。
「おい、今日は特に酷いな。ひょっとして生理かな?」
「止めてよパメラ、いきなり下ネタ」
「早く部屋に戻ろうよ。先生の言い付けは守らないとね」
ミルはニコッと微笑むと、そのままスキップしながら部屋に戻って行った。とてもじゃないが罰を受けている生徒の姿では無い。
「おい、アカリ、あいつムカつくよな?」
「ええ、ちょっと彼氏ができたからって、派閥の上位に食い込んだつもりになってる。私からすればまだまだ甘いわ。年下の男捕まえて、痴女かっての」
「年下と痴女は関係ないだろ。80の爺さんが、10代の女の子に手出したらまずいけどよ」
パメラとアカリは部屋に戻った。すると、ミルがどうしてハイテンションでいたのか、その理由が明らかになった。何と、部屋には先日会ったばかりのトトと、笠を持ったマインが待っていた。二人はどういう接点の元ここにいるのか、全く分からないが、アカリとパメラも仕方なしに部屋に戻った。
「えへへ、二人とも紹介するね。彼は知っているだろうけど、私の彼氏のトトちゃん。それで隣にいるのが、トトちゃんの友達のマインちゃん」
ミルはニコニコしながら勝手に紹介を始めた。アカリはマインの顔をじっと見つめると、この前に傘で殴られた記憶が蘇って来たらしく、表情をずっと硬くしていた。
「二人はどういう関係なの?」
パメラが耳を指で弄りながら、申し訳程度の質問をした。すると、マインが笠を棚の前に立て掛けてから、それに答えた。
「グリニカ孤児院という、孤児院があるんですけど、私とトトはそこの出身なんですの。物心付く前に両親に捨てられ、ずっとグリニカ孤児院で過ごして来た。いわば戦友ですわ」
パメラは誠実に答えるマインを見て、さらに質問を続けた。
「じゃあさ、あんたはトトと付き合いたいとか思わなかったの?」
「あはは、私はトトと兄妹みたいなものです。まあ、私が姉でトトは弟でしょうけど、近親相姦っぽくって、とても異性とは思えませんの」
「へえ」
パメラはどうしても、トトとミルの仲を裂きたいらしく、その後もセクハラまがいの質問や嫌がらせを続けた。すると黙って聞いていたミルがついにキレた。
「ちょっと、いい加減にしてよ」
「悪かったって。それよりも皆で遊ぼうぜ」
パメラの提案により、アカリ達はトランプを始めた。




