お仕置きの時間
ニキータの投げたボールがアカリに向かって飛んで行った。
「このアカリちゃんに同じ手が通じると思ったの?」
アカリはボールをニキータに向かって蹴り返すと、そのまま彼女に向かって走って行った。ボールはニキータの眼前で止まると、再びアカリの方に向かって飛んで行った。しかし彼女も馬鹿ではない。
「こんな物おおおお」
ボールを顔面で受けると、そのままニキータの顔にストレートを放った。
「は、はぎ・・・・?」
ニキータの鼻柱に拳が突き刺さる。彼女はそのまま背後に倒れると、大の字になって泡を噴いていた。
「冷静に考えたら、私、小学校の頃はドッジボールで顔をよくぶつけてたのよね。たかがボールぐらい避ける必要も無かったわ」
アカリはそのままニキータを放って、教室に戻ろうとした。しかし、背後から刺さるような視線を感じ、すぐに倉庫の方を振り返った。
「誰よ。そこにいるのは」
アカリが叫ぶと、観念したとばかりに、トボトボとシスターが姿を現した。そのシスターは、フードを被っているために、髪型までは分からなかったが、前髪だけが外に出ており、それが金色だったので、きっと金髪なのだろうと、アカリは勝手に納得した。シスターは豊満な体付きをしており、胸や尻のラインが露わになっていた。
「何よ、このナイスバディー」
「おほほほ、ニキータ様を倒したのですね」
シスターは倒れているニキータに近付くと、彼女の額を指でなぞった。
「ところで、私の自己紹介がまだでしたわね」
「別に、あなたに興味無いんだけど」
「申し遅れましたが、私はマイン。マインちゃんと呼んでくださいまし」
「は、はあ~」
アカリは面倒臭い奴に会ったものだと、髪を乱暴に掻き毟った。マインは立ち上がると、突然、その場で透明な笠を差した。
「ちょっと、笠なんて、あなた持っていたっけ?」
「またまた申し遅れました。これは私の能力、パラソルでございます。笠に触れた物体は、慣性を失い、滑って参りますので、ご用心ください」
マインはそれだけ告げると、笠を差したまま、無邪気にスキップしながら、アカリとは逆の方向に進んで行った。
「ちょっと、待ちなさいよ。あんた、その能力を何処で手に入れたの?」
「おほほほ、このエンシャント学園は、かつて魔女狩りの聖地であり、この土地それ自体が超能力者なのですわ。そしてその能力は、この土地に住んでいる者の脳に眠る才能を引き出す。つまり、超能力を使用できるようにするのですわ。ここに暮らしている生徒の一割が不思議な能力に目覚め、担任の先生などに相談していますわ」
「土地自体が超能力を持っている?」
「はい、ですから、不思議とここには能力者が増えて行く。ここで処刑された幾人もの魔女達の遺体は、まだ学園の下に埋まっているそうです」
「うげ」
アカリは顔を青くした。この手の話が彼女は大の苦手だったのだ。
「ちなみに、私も魔女の影響で、この通り、素敵な力を手に入れましたわ」
「あんた、まだ隠していることがあるでしょ。その話は誰から聞いたのよ」
「おほほほ、それを聞きたいのならば、私を倒すことですわ」
マインは急に挑戦的な表情になると、今度はニコッとアカリに微笑みかけてきた。




