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第40話「リーン・サンドライト」

リーン・サンドライト、リューヤ、アレクシーナ、三人の対峙が、最後の時を呼ぶ・・・・クライマックスまで、後数話・・・・・

「これ以上、ヤツを近づけるな!全軍であたれ!」

 アレクシーナは力の限り叫んだ。その声に反応し、ウオオオ!という掛け声と共に兵士達が、一人の女に向かって突進する。

 だが、その突進は兵士達が撃った銃弾同様、途中で見えない壁に阻まれ、押せども押せども、女に到達する事はなかった。

 女は兵士や銃弾の雨を物ともせず前に進んだ。見えない壁に弾かれた兵士達はアレクシーナまでの道を作るように、二手に割れた。

「何を恐れておいでか?アレクシーナ・クライ第三王女・・・・いや、あなたより上または同位の継承権を持つものが全て死んだ今となっては、アレクシーナ女王と呼んだ方がよろしいか?」

「リーン・サンドライトよ、お前が我が王家を恨む気持ちは分からんでもない。しかし、今、お前がやっている事は謀反に他ならない。それは分かっているのか?」

 リーンは「くくく」と笑い、鋭い邪悪な目でアレクシーナを見詰めた。

「あなたの口から謀反などという言葉が出るとは思わなかった。これはあなたが望んだ事でもあるのですよ?」

 リーンは邪悪を湛えたままの目で、そう言った。

「お前はリーン・サンドライトではないな・・・・・・・」

「いえ、リーン・サンドライトですよ。ただし、多くの知識を得、多くの力を得て人間を超越したかもしれませんが。」

「あれと・・・・・同化したのか?」

 アレクシーナは少し怯えの混じった口調でそう尋ねた。

「私は自由を得る代わりに、「彼」に体を貸したのです。それによって生まれたのが、今の私・・・・・・・・」

「自分の魂を売り渡したか。」

 アレクシーナは、毅然とした態度を取り戻し、リーンを見詰めた。

「そうかもしれない・・・・・でも、私は今とても気分がいい・・・・きっと何もかもうまくいくんだわ・・・・・」

「そうかな?お前がいくら絶大な力を持とうとも、人間である事には変わりない。四六時中暗殺者に狙われてうまく生き延びれると思うか?」

「ふふ・・・・そんな単純な問題ではないのよ?クイーン・アレクシーナ」

「何が望みだ?」

「やっと本題に入ってくれたわね・・・・元々私にはあなたを殺す気はなかったの。あなたは、王家で唯一私にまともに接してくれた人間だったから・・・・」

「それは有難いことだな。だが、いささかやり口が過激すぎる。」

「本題に入るわ・・・・・α、β、両研究所の撤廃、そしてリューヤ・アルデベータの自由を保障してもらえるかしら?」

「断れば?」

「あなたは断れない・・・・今の私は核よりも危険な存在。そして銃口は今あなたに向いているわ。」

「・・・・・・・・」

「計算づくという訳か・・・・」

 リーンが入って来た入り口にリューヤが立っていた。

「どうやら間に合ったみたいだな。」

「いえ、手遅れよ。」

 リューヤの言葉にリーンがそう返した。リューヤの見たリーンの瞳は昔から知っていたあの優しい瞳ではなかった。

「リーン。もうやめてくれ。君は人を傷つけるのが嫌いな娘だったはずだ。」

「もう・・・・・遅いの・・・・・」

リーンの瞳が少し揺らいだ。

「アレクシーナ様には俺が交渉する。君がどこかで生きれるように・・・・」

「リューヤ・・・・もう私に構わないで・・・・・あなたは結局間に合わなかったの・・・・・」

「人生をやり直すのに遅すぎるって事はないさ。」

「そうだ、私が女王になれば、融通してやれる事は幾らでもある。王家の腐敗は行き過ぎるところまでいっていた。お前が殺さねば、私が殺していたような連中なのだ・・・・・・それを犠牲者のお前に罪を被せるような真似はしない。」

 アレクシーナはそう声をあげた。

「違うの・・・・・・」

「違わない、意思をはっきり持ってくれ。俺の全てをかけて、俺は君を救う。それを信じてくれ。」

 リーンは涙を浮かべ首を横に振った。

「私は・・・・私じゃなくなるの。もう、今だって前の私じゃない。私は自分の自由の為に「悪魔」に魂を売ったの。あなたに愛される資格はないの。」

「それでも君は・・・・・・・俺に自由を与えようとしてくれた。愛される資格なんて誰にも決められない!俺を・・・俺を信じてくれ!」

「もう間に合わないの。私は、私はどんどん私じゃなくなっていってる。こうやってあなたと普通に喋ってるだけでも奇跡なの。もう、あなたと喋ってる私すら私だという認識が持てない。ううん。他の意識が私の中に入り込んでくる・・・・・」

「俺は・・・・俺はあくまで君を救いたいんだ。」

「・・・・・・・・」

「頭の中で、「人間め〜」「人間め〜」ってずっと流れてる。もう無理なの、あなたに私を殺して欲しい。一時でもあなたを愛していられた記憶と気持ちがあるうちに。あ、ああああああああああ」

 リーン・サンドライトは急激に苦しみ出した。

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