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第31話「リューヤの誤算」

倒れる西城、追い込まれるリューヤと陽子。三人に血路はあるのか?

リューヤと陽子は山中の獣道を走った。撒ける自信は無かったが、西城が足止めをしてくれている間に出来るだけ距離を取りたかった。彼らが何の目的でリューヤ達を追いかけていたのか分からないが、西城が捕まっていれば目的や紫炎の事は喋らされるだろう。最悪アレクシーナの事も喋らされる。ここから無事に帰ったら、アレクシーナに判断を仰がねばなるまい。

 リューヤと陽子は追っ手を振り切る為に走った。

「真治は無事かしら?」

 陽子が走りながら言った。

「さあね。相手が複数のプロだったら荷が重いだろう。」

 リューヤはそう言ってから足を止めた。

「どうしたの?」

「随分距離を稼いだ。少しペースを落とそう。」

 リューヤは体力の配分を考えていた。悪いケースでは、リューヤが一人で数人のプロを相手にしなければならない。走り疲れて戦えないでは話しにならない。

 複数のプロを相手に陽子を守りながら戦い切れるだろうか?追って来ているのが西城が足止めした部隊だけとは限らない。不安要素は山積みだったし、考えておかねばならない事も山程あった。

「陽子、一人で山を降りれるか?」

「え?」

「宝珠探しは一時お預けだ。」

「・・・・」

「最悪のケースは俺達三人が捕まって、アレクシーナ王女や紫炎に何の連絡もつかないという事だ。一人が逃げ切ればアレクシーナ王女も紫炎もなんらかの手が打てる。それを考えれば二手に分かれて、逃げた方がいい。日本で目立つまいと思えばそうそう大人数の山狩りは出来ないはずだ。それを考えても二手に分かれた方が助かる可能性が高い。」

「でも、私にはあなたを守るという任務があるわ。」

 リューヤは足早に歩きながら、難しい表情で言った。

「無理だな。あんたもそれなりに訓練を受けてるだろうが、相手が複数のプロなら銃器もなしで立ち向かえる相手じゃない。それに・・・俺一人ならなんとかなるって局面もありえるだろ?」

「そうね。・・・・・そういうケースもあり得るわね。」

「状況ははっきりしないが、出来る限りの事はやっておくべきだと思う。」

 陽子は少し思案してから口を開いた。

「分かったわ。次の分かれ道で分れましょう。」

「ああ。そうしてくれると助かる。落ち合う場所は分かってるな。」

「ええ。A-3ね。」

「ああ。西城も無事ならきっとそこに来る。」

 次の分かれ道で二人は分れた。

 陽子は下りの道を、リューヤは登りの道を行った。陽子が助かる可能性を増やす為に、リューヤはあえて登り道を行った。もちろんリューヤも一時下山する予定だ。切り立った崖でも無ければ山伝いになんとか降りれる程度の能力はある。

暫く道を行ったらバックトラップ(草食獣などが先まで歩いたフリをして、別の道に入る技法)をかけ、下山するつもりだ。

 リューヤは分れてから少し走り、少し戻ってから道無き山を滑り降りるように降りていった。


 下から別部隊がいなければ降りれるが・・・・


 リューヤは山の途中で下を確認した。予想に反して多くの人の気配があった。これでは陽子も捕まっているだろう。


 人数の少なそうな所を突破するしかないな。


 リューヤは出来るだけ木々を揺らさないように山を移動し、人数の少ない所を探した。


 ここならいける。


 リューヤがそう判断して降りようとした瞬間、上から追いかけて来ている部隊の一人と目が合った。

 その男はリューヤを確認し、トランシーバーを取り出して誰かに連絡を入れた。恐らくリューヤを包囲するつもりなのだ。


 最悪だ・・・・


 リューヤは一挙に山を駆け下りて突破するしかないと考えた。

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