第28話「第三の男」
動き出す運命・・・・・リューヤはリーンを救う事が出来るのか?
「その宝珠とやらを俺はどこに取りにいけばいいんだ?」
リューヤは少し決心したような口振りになっていた。
「中国山脈、G山・・・そのどこかに宝珠に至る道があります。」
「山か・・・・・」
リューヤがそう呟くと、紫炎の横にある白い蝋燭の炎が微かに揺らめいた。
「そこで宝珠をとってきてあんたに渡せばいいのか?」
「そうですね。あなたが扱いに困れば私が預かりましょう。」
紫炎は薄く微笑んだ。
「これで話しは終わりかな?」
「いえ、その道を探す為の小道具があります。」
紫炎は懐中から、三つの数珠を取り出した。赤、青、黄色の三種類だった。ニスでも塗っているのか酷く光沢があった。
「これは?」
「腕に嵌めておいて下さい。それぞれの数珠がきっとあなたの力となるでしょう。」
リューヤは三色の数珠を受け取り、腕に嵌めた。なんとも言えない感覚を受ける。α能力が微かに反応しているのだ。自分の力が増幅される感覚だった。つけていて悪い感じはしない。
「では、宜しくお願いします。」
そう言って紫炎は深々と頭を下げた。その直後に後ろのドアが開き、風が吹き抜けた。
振り返るとそこには鈴と鋼がいた。
「陽子さんと西城さんが門のところでお待ちです。お急ぎください。」
リューヤは導かれるまま門まで歩き、佐藤と西城に合流する。
「うまくいったのか?」
「俺次第だろうが・・・・アレクシーナ様の秘密は守れるよ。」
「そうか。」
リューヤが車に乗り、西城が車を走らせ始める。
「?」
リューヤが何かに反応する。
「どうした?」
西城が粗暴な調子で聞いた。
「何か、嫌な感じがした。もう感じないけどな。」
「そうか・・・・」
リューヤは一抹の不安を覚えながら紫炎の館を後にした・・・・・・
「いい加減姿を御現しになったらいかがですか?」
男が紫炎の講堂の扉を開けた。紫炎の横には鈴と鋼が身構えていた。
「紫炎。我々を裏切るつもりか?」
「我々ではなく「あなた」をでしょう。」
「宝珠を奴に渡すつもりとはな・・・・」
「いけませんか?」
「いや、その方が計画が進む。」
「あなたの思う通りにはいきませんよ。」
男は不敵な笑みを浮かべた。
「どう動こうと所詮籠の中の出来事だ。紫炎・・・お前もボウーヤもそれを思い知るだろう・・・」




