第27話「伝説の宝珠」
リーンの死を告げられたリューヤに課される新たな任務は、紫炎からのものだった。リューヤはリーンを救う事が出来るのか!鮮烈の第27話
「それが本当なら俺はあんたの依頼を受けざるをえない。」
リューヤは観念するように言った。紫炎が頷く。
「俺に何をさせたいんだ?」
「少し突拍子もない話なのですが」
「?」
「伝説の宝珠を探して頂きたいのです。」
「伝説の宝珠?」
「その宝珠を持った物はあらゆる願いを叶えられると言われるものです。」
「・・・・・・そんな物があるのか?」
リューヤは途端に馬鹿馬鹿しい思いに捉われた。伝説は只の伝説だ。そんな都合のいい物があるはずもない。伝説に残っているような物はトレジャーハンターが探し尽くしているはずだ。よしんばそんな物がまだ残っていたとしても、長い年月をかけて探されて見つからなかった物が、リューヤ一人の手で発見出来るわけもない。
「あります。そして私はその宝珠の隠し場所に至る方法も知っています。」
「なら、なんで自分の手に入れない。そんな便利な物があるなら、自分で取りにいけばいい。」
紫炎は首を振った。
「宝珠は持ち主を選ぶのです。認められない者は宝珠に近づく事すら出来ません。」
「俺にその資格があって、あんたには無いって言うのか?」
「可能性の問題です。あなたは私よりは遥かに高い確率で宝珠に近づく事が出来るでしょう。」
「それを手に入れてあんたに渡せばいい?」
「私が持つよりアレクシーナ王女か、あなたが持つ方が適任と思われるのですが・・・・」
「自分より見知らぬ俺やアレクシーナ様を信じるのか?俺には分からないな・・・」
リューヤにはこの少女の精神構造がどうなっているのか分からなかった。そんな便利な道具があるのなら、自分が持ちたいと思うのが普通だろう。よしんばその怖さを考えているにしてもアカの他人に持たせる事は考えられない。
「私には宝珠を制御する事は出来ないでしょう。今の所、私が見出せる適任者はあなたとアレクシーナ王女だけです。」
「アレクシーナ様はともかく、俺はどうだろうな・・・きっと好きなように使う。」
「そうでしょうか?」
紫炎は涼しげな目でそう言って続けた。
「そうですね、あなたはまずリーン・サンドライトの命を救おうと考えるでしょうね。そして、それは結局全ての命を救う事に繋がると思います。」
リューヤは立ち尽くしたまま、紫炎の言葉を聞いた。




