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第19話「日本へ」

訓練の終わりかけたリューヤの元に一通の手紙。

リューヤ・アルデベータ、日本へ向かう

「大方コツを掴んだみたいだな」

 ミハエル・コーターは食事の席でリューヤにそう言った。

「教師のおかげだよ。」

「ふふん。心にもない事を言う・・・・」

「いや、本音さ。」

 リューヤはスプーンを口に運びながら言った。

「親父がまともに動けなくなって以来俺もロクに動いていなかったが、それを差し引いてもたいしたものだ。後はどれだけ経験を積むかだが・・・今のままでも一対一での普通の戦いでは無敵だろうさ。」

「そう願いたいね・・・」

「ん?」

 ミハエルが反応すると同時にリューヤが反応する。

「誰か訓練された人間が来る。」

「女・・・だな。この気配・・・リッターさん?」

「なるほど覚えがある・・」

 二人が食事を済ますと同時にノックの音が聞こえた。

「リッター・フォーンイールドです。リューヤ・アルデベータはいますか?」

「中にいる。入ってきてくれ。」

 ドアが開き、リッターが中に入り込んだ。

「リッター少佐(先のテロ事件の功績が認められ階級があがった)・・・・お久しぶりです。」

「僅か3週間弱だというのに変わったわね・・・ごぶさたしてます。」

 リッターはベットに横たわるロード・コーターと椅子に座っているミハエルに敬礼した。

「そうですか?」

「見違えたわ。」

「期待通りに動けるといいと思ってますよ。」

「きっと大丈夫ね・・・ところであなたはアレクシーナ様に特別の忠誠を誓えて?」

(あの話なのだろうか・・・?)

「王族ではなくアレクシーナ様個人にということですか?」

「そうよ。」

「取りあえずの所はですね・・・」

「そんな曖昧な気持ちでは今回の任務は無理よ。」

「誓えばいいんですか?」

「そうね。あなた自身の心に誓ってちょうだい。」

「分かりましたよ。」

 リューヤは目を閉じて何事かを呟いた。

「これでいいですか?」

「合格よ。唐突だけど日本に行ってもらうわ。」

「え?」

「あなたの故郷よ。詳しい話は後でするわ。すぐに用意をして頂戴。」

「はい。」

 リューヤは自分の着替えなどをバックに仕舞い込みはじめた。その間、 ミハエルはミハエルらしくなく少しマゴマゴし、リッターの方を向いて言った。

「リッター大尉久々だね。」

 ミハエルは言った。

「そうね。本当に久しぶりだわ・・・」

「リューヤを送り届けた後、酒場で一杯どーだい?」

「油断すればいつ刺されるか分からないわよ。」

「君と一緒なら本望さ・・」

「相変わらず口が巧いのね。」

「奢るからさ。」

「大事な先輩を口説かないでくれよ。」

 リューヤが口を挟んだ。

「だそうよ?」

「ふん。都合のいい時ばっかり年下ぶりやがる。」

「そんな事はないさ。」

「ところで、リューヤの訓練はうまく行ったの?」

 リッターは話題を変えた。

「そうだな。大概の事は覚えたな。厳しい訓練に耐えてきただけの事はある。」

「そう。良かった・・・・」

「終わりました。」

 リューヤの声が響いた。

「それじゃ行くわよ。」

「はい。」

「お世話になりました。」

 リッターはロードとミハエルの二人のコーターに礼を言った。

「お世話になりました!」

 リューヤが敬礼し、ミハエルが敬礼を返す。

「苦しい訓練によく耐えた。そしてよく能力を身につけた。」

 ロード・コーターはベットから起き上がりそう言って敬礼を返した。

「いつでも来いよ。次は酒でも飲みながらゆっくり話そう・・・訓練の事以外をな・・・・」

 ミハエル・コーターがそう言うのを聞いて、リューヤは再び敬礼し、17日間を過ごした山小屋を後にした。

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