第18話「動き」
山小屋でα能力者としての訓練を受け、成長していくリューヤ。丁度、その頃アレクシーナ・クライの元に一通の手紙が届く・・・・・新展開への期待のこもった第18話
アレクシーナが発って15日が過ぎた。
リューヤはその間α能力の応用をマスターする事に心血を注いだ。
精神を静かに保つ訓練として座禅を行い、午前と午後に一時間ずつミハエル・コーターと組み手を行った。
リューヤの吸収の早さはロード・コーターもミハエル・コーターも驚く程のものだった。
「天才だな・・・・」
地に伏したリューヤにミハエルはそう声を掛け、続けた。
「僅か15日で我々の出来る殆どの事をマスターしてるよ。」
「それでも・・・・・・あんたには勝てない。」
リューヤは荒い呼吸のまま言った。
「小技の差、ようは経験の差さ。俺は親父と死ぬほど組み手をやってる。半月程度で抜かれちゃ困るさ。」
ミハエルはリューヤに手を差し出した。リューヤはその手を握る。
ミハエルの力を借りてリューヤはなんとか立ち上がった。肩で息をしている状態だった。
「食事にしよう。もうすぐ日も暮れる。」
「ああ。」
リューヤはそう答えると、ゆっくりと山小屋に向かった。
アレクシーナ・クライは自室で届いた手紙を読んでいた。
三通目の手紙を読み始めてすぐにアレクシーナの顔はみるみる怒気を孕んでいった。
全文を読むとアレクシーナは椅子に座り、ふうと溜息をもらす。
落ち着け
落ち着く事がまず第一だ。
アレクシーナはそう思いテーブルの上にある水を口元へ運んだ。そして、何か思い立ったように立ち上がり、便箋を取り出して何事かを書き始めた。
十分程アレクシーナは手紙を書く事に没頭した。
もしこの事が知れれば全ては終わりだ。
アレクシーナは手紙を書き終えて、再び息をついた。
そしてもう一度深く息を吸込み、こんどは電話をかける。
「リッター・フォーンフィールドは今日来ているな。」
「はい。」
「すぐに私の自室まで来るように伝えてくれ。」
「は!」
アレクシーナは返事を聞いて、すぐに電話を切った。




